運転マナーが著しく悪いのはタクシーが多い。そして、バンコクではタクシーの割合が高い

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 かつてバンコクは渋滞が世界的に見てかなりひどいと言われていた。1990年代から経済発展が著しく伸び始めた2005年前後はそれこそ1m車が進むのに1時間以上かかることもよくあった。信号が延々1時間近く変わらないことも珍しくなかった。

 そんな時代も知っている筆者にとっては、この十年の間にタイの渋滞は緩和されたと感じているが、それでもやはり世界的に見れば渋滞は相変わらずひどい。「Forbes」の記事によれば、タイのバンコクは1位のメキシコシティに続いて混雑の激しい都市として紹介されている。混雑度を数値化し日中と夜間の平均で順位が割り出されているが、夜間においては群を抜いたひどさだという。(参照「The Top 10 Cities With The Worst Traffic In The World」)

 渋滞が悪化している可能性があるとすれば、インフラ整備への投資が増えていることが原因にあるかもしれない。タイは実質的にはかつてない大不況の真っただ中にあるという意見もあるが、見た目は内需拡大で好景気だ。少なくともデパートなどの商業施設は賑わい活気がある。見た目と実質のギャップは政府や自治体によるインフラへの投資があるからだ。バンコクでは老朽化した陸橋を修理し始めていて、半年以上の時間をかけて修理あるいは建て替えを行っている。それに伴う局地的な渋滞は確かに増えた。

 雨季の終わりの時期になるとバンコクの一部はスコールで冠水する。そのときも渋滞は悪化する。

 こうした理由以外に、筆者は3つほど大きな要因があると考えている。

◆1.バンコクの構造

 バンコクの道路は大通り「タノン」とそこから派生する小路「ソイ」で構成されている。現在の道路のほとんどは大昔は運河だったという。そして、ソイは大富豪や名士などの邸宅から運河に出るために造られた小川だったそうだ。そのため、現在でも多くのソイが行き止まりでほかのソイやタノンに行くことができない。要するに抜け道が少ないのである。

 それから、バンコクは一方通行が多い。ちょっと道を間違えてしまうとぐるりと大回りしないと戻ってこられなくなる。時間帯で一方通行になったり、現場にいる警察官の独断でそうなる不規則さもある。タノンでは中央分離帯を挟んで1車線だけ反対方向に進めるところもあるなど、とにかくルールが一定でなく、初めて通るドライバーに混乱が生じるのだ。

 それに加えて道路の質自体がよくない。バンコクはさすがに赤土むき出しの道はほとんどないが、補修せずに穴が開いてしまっている、妙な場所にマンホールのふたなどがあり滑りやすいなど、道路そのものがよくない。これにより、例えば冠水・洪水で道路の表面が見えなくなるとなにがあるのかがわからず慎重に走るようになり、渋滞が悪化する。

◆2.ざっくりした運転マナー

 タイ人ドライバーのマナーも悪い。東南アジアの中ではマシなほうかもしれないが、交通ルールに関するマナーや常識が著しく欠如しており、渋滞をさらにひどくさせている。

 例えば、合流点や交差点では我先にと頭を突っ込む。青信号で前が詰まっていてもできる限り交差点内に侵入する。交差点に入ってしまえば赤信号になっても信号無視には問われないからだ。合流点も先頭で一台ずつ交互に合流していけばスムーズになるにも関わらず、タイでは手前からどんどん入っていく。車が交わるポイントが増加するので、より時間がかかってしまう。

 それから、警察官が見ていなければなんでもありということも渋滞の原因になる。一方通行では逆走も平気でする。高速道路では降り口を間違ったからと路肩に停車し、バックする人も少なくない。

 運転免許取得はすべて免許センター(タイでは陸運局内にある)での試験になる。一応教習所もあるが試験対策を教えるだけに過ぎない。筆記試験はパソコンを使ったマークシート方式で、実技も発進・停止、縦列駐車、幅寄せくらいの基本中の基本のみ。かわいい女のコには試験官も甘いなど無茶苦茶である。