小沢一郎氏が一転、古市憲寿氏と和解ムード これは「大人の対応」なのか
「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎代表が2016年6月27日、社会学者の古市憲寿氏の「無礼質問」をめぐる騒動について、「私たちはもう前を向いています」などと「和解」をアピールする文章を党公式サイトに掲載した。
ネット上では、「小沢さん大人だ」「一枚どころか百枚上手の対応」と評価する声も出ている。また、検索件数の推移を調べることができるサービス「Googleトレンド」でも、「小沢一郎」の検索回数は騒動を受けて急伸。小沢氏の側からみれば、参院選(7月10日投開票)を前に「いいアピール」の機会を得たともいえそうだ。
党は「小沢代表の名誉を棄損」と抗議
騒動の発端は、6月19日に行われたドワンゴなどネット配信業者10社主催による「ネット党首討論」での一幕だった。党首討論の司会を務めていた古市氏は、小沢氏に対し「再婚相手が見つかったか」などとプライベートな質問をぶつけた。この質問に対し、小沢氏は「それは今日のテーマでしょうか」とムッとした様子を見せた。
その20分ほど後になって、古市氏はスタッフから渡された紙を読む形で、「先ほど小沢代表に対しまして大変失礼な発言をしました」と平謝り。そうした古市氏の態度に対し、小沢氏は「お詫びするなら、きちんとしなさい」などと激怒するなど、小沢氏と古市氏の関係はこじれた。
この騒動を受け、討論会の主催者側は21日になって、「番組内で不適切な発言がありました」という謝罪文を発表する事態となった。
しかし、「生活」はこれでも収まらず、25日に古市氏と主催企業のドワンゴに対し、
「参院選直前の非常に重要な時期であるにもかかわらず、政策や選挙とは無関係な内容の質問を小沢代表に行い、小沢代表の名誉を棄損し、党首討論を混乱に陥れた」
などと、弁護士事務所を通じて抗議したことを公式サイトで発表した。
一方、翌26日放送の情報番組「ワイドナショー」(フジテレビ系)に出演した古市氏は、
「映像見返したら、すごい失礼だった」
「自分の言葉で謝らなければ意味がないと思った」
など、これまでになく強い反省の弁を口にした。
すると、当の小沢氏は27日、先述の公式サイトに「古市憲寿氏に関して」と題する文章を掲載し、
「ダウンタウンの松本人志さんとのやりとりの中で、古市氏が自分の言葉でお詫びをしたかったと言われたのをお聞きしました」
と綴った。さらに、「私たちはもう前を向いています」と一転、態度を軟化させ、「和解ムード」を表明したのだ。
その上で、古市氏に対しては、「将来ある有能な方ですので、是非前を向いて頑張っていただきたいと思います。応援しています」とのエールも送った。
「小沢一郎」の検索回数が10倍に急上昇
こうした小沢氏の「大人の対応」をめぐり、ツイッターやネット掲示板では、
「これは大人の対応で素敵だね」
「古市は小沢氏に一枚どころか百枚上手の対応を取られたな。早いうちに素直に謝っておけば良かったのに」
「でも小沢氏にはきちんと謝罪するべきだと思う」
などと評価する声や、古市氏へ正式な謝罪を求める意見が目立った。一方で、「選挙が無かったら大人の対応もないと思うけど」「プロレスだよプロレス」などと、小沢氏側の「思惑」を推測する声も出ている。
ただ、今回の騒動を受けて、小沢氏への注目度が上昇したことは確かだ。「Googleトレンド」で「小沢一郎」というワードの過去30日の検索回数の推移をみると、党首討論が行われた6月19日には前日の4倍に。古市氏との騒動が各メディアに報じられた20日には、18日と比べて検索数は10倍近くに急伸した。
今回の小沢氏の対応を受け、「生活」は古市氏らに対する「抗議通知」を撤回するのかどうか。J-CASTニュースは27日、この件について党事務所に取材したが、「担当者不在なのでわからない」という回答が返ってきた。