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仕事を続けたい?ならば道具になってはいけない。

コンピュータは人間の仕事を引き継ぐこともできるが、誰もがコンピュータに仕事を奪われるわけではない。実際、最近のMITの研究によれば、AIに対する怒りは、人々がハンマーを手にしてしまうほどまで達してはいない。そして機械を参らせる最善の方法は、人間が持つ独自のスキルで機械を補完することである。

言い換えれば、コンピュータに仕事を奪われたくなければ、道具にはなるなということだ。

実際、コンピュータが人の労働領域を奪っている

シリコンバレーのバブルな雰囲気に慣れてしまえば、誰もがテクノロジーの恩恵を受けるわけではないことを忘れがちだ。実際には、多くの人々はかつて(あるいは未だに)自分の仕事が海外に移されるかもしれないと怯えたように、今度は仕事がオートメーション化されてしまうことを恐れているはずだ。

テクノロジーが必ずしも労働を奪うわけではないが、人々が恐れを抱くのは当然だろう。

サンフランシスコ連邦準備銀行のエコノミストであり、労働者の生産性に関する権威であるジョン・フェルナルドは、あることを指摘している。テクノロジーは生産性を高めることを意図しているが、過去10年間の技術革新は、生産性の向上を大きく刺激することができなかったというのだ。なぜか?大部分には、これらの技術革新はテクノロジー業界自体に焦点を当てていたためだ。

The Economistが述べているように、サービス業といった他の業種に適用されれば、はるかに大きな利益をもたらすだろう。

また、自分の仕事が取って代わられる人には、深刻な失業をもたらすことも考えられる。しかし彼は明るい前途もあると、このように続けている。「テクノロジーが人を豊かにするような特定の職業で労働者に取って代わるとします。すると豊かになった人々は、テクノロジーに仕事を奪われた人々に新たな雇用を創出するような商品やサービスに投資するでしょう」。

素晴らしいことのように思えるだろうか?まあ、コンピュータに奪われるのがあなたの仕事の場合にはそうではないだろう。

ルール#1:道具になるな

MIT教授フランク・マックローリー、ジョージ・ウェスターマンとエリック・ブリニョルフソンらは、アブダビのマスダール研究所のユセフ・アルハマディとの共同研究を行った。彼らは2006年と2014年の研究からデータ解析を行い、テクノロジーに引き継がれたことにより価値が上昇した仕事上のスキルの種類を示している。

2006年には、成功するための7つのスキルはこのように考えられていた。

  • 肉体:動的強度、体全体の調整、物理的対象の取り扱い、手先の器用さ、四肢の動作スピード、スタミナ
  • 機器:機器のメンテナンス、設置、運用監視、修理、システム分析、トラブルシューティング
  • 管理:他人の仕事の調整、チームの構築/開発、部下の指導/やる気を引き出す、財源の管理、リソースの管理、仕事や活動のスケジュール管理
  • 知覚:カテゴリーの柔軟性、先を見る力、認知速度、選択的注意、閉口速度、視覚的な色の識別
  • 対人:適応性、他社に対する支援や世話、協力、信頼性、サービス指向、ストレス耐性
  • イニシアティブ:達成、独立性、イニシアティブ、イノベーション、持続性
  • 車両運転:自動車、暗視、周辺視野、音源定位、空間的定位の操作

2014年までに、望ましいスキルのリストは5つに縮小された。

  • 認知:複雑な問題解決、批判的思考、演繹的推理、口頭理解、閉口速度、言語表現
  • 肉体:機器のメンテナンス、指の器用さ、物理的対象の取り扱い、四肢の調整、反応時間、視覚的な色の識別
  • 管理:他人の仕事の調整、チームの構築/開発、部下の指導/やる気を引き出す、財源の管理、リソースの管理、仕事や活動のスケジュール管理
  • 対人:適応性、他社に対する支援や世話、協力、信頼性、サービス指向、ストレス耐性
  • イニシアティブ:達成、独立性、イニシアティブ、イノベーション、持続性

二つの比較により、著者らは、テクノロジーが導入される市場で必要とされ、高い給与を約束するようなスキルは、明らかに人間的なものであることを結論づけた。

そのような販売、顧客サービス、管理など、より複雑な対人相互作用は、人間の労働者のが得意とする領域のままである。人間がコンピュータに対して相対的な優位性を持っているこれらのスキルに職業がシフトすることが予想される。コンピュータは、対人タスクにおいては限られた能力しか示すことができないし、人間の顧客は他の人と対話するのを好む。

どっちがどっち?

しかし、「コンピュータ対応」でよいものと「人々が志向するもの」を区別するのは必ずしも容易ではない。

一例として、法的な契約の見直しは弁護士にしかできないと、我々は感じているが、研究してみると実際の結果は以下の通りになっている(弁護士の相対的な人間性を扱うジョークではない)。コンピュータは通常はるかに高い80〜90%の成功率を誇る一方、弁護士はかなり自尊心が高いにもかかわらず、契約の問題点を見つけることにはわずか55〜60%しか成功していない。

契約の見直しは退屈で何度も繰り返されることだが(例えば、一つ一つ見直しをするにあたり、補償や賠償責任の制限について細かく交渉しなければならない)、それは人間の仕事のように思える。明らかにそうではなくともだ。

いずれにせよ、コンピュータがわれわれの仕事を奪うことを恐れるよりも、おそらくわれわれの人間性を開発することにもさらに注力するべき時が来たのだろう。それは決してコンピュータに置き換えることはできないのだから。

トップ画像提供:spencer cooper

Matt Asay
[原文]