30日未明にカリアリ戦!! 好調・本田圭佑のプレーを現役イタリア人監督が徹底分析
ミランは昨季、セードルフ監督の下で4-2-3-1、今季はインザーギ監督の下で4-3-3を採用しており、監督とシステムが変わっても、本田は右の攻撃的ポジションで起用されてきた。しかし昨季と今季では、本田自身のパフォーマンスに雲泥の差がある。
昨季は1月からの5か月間で18試合(先発16試合)に出場し、1ゴール・2アシスト。ところが今季は6試合で4得点・2アシスト(※10月17日時点)。この違いはどこから生まれたのか。
結論から言えば、最大の理由は起用法や戦術ではなく、ミランやイタリアサッカーへの順応だ。パフォーマンスの点では、現在のそれが本来の姿であり、昨季は様々な要因が絡み、能力を十分に発揮できなかった。
現在のミランにおける本田の位置付けは「攻守に貢献する左利きの右ウイング」。ビルドアップでは右サイドに開き気味の位置を取り、SBまたは中盤から足下にパスを受ける場面が多い。重心が低く、強靭な肉体を駆使したキープ力を備えるため、滅多なことではボールを失わない。
そして、そこからライン際を縦に持ち上がるのではなく、ゴールに向かって斜め方向に仕掛けるのが、最も多いパターンだ。ただ、この形からフィニッシュの場面を作り出しているかと言えば、そうではない。
これは、相手DFが左足で仕掛けるコースを切って対応してくるうえ、本田が相手をドリブルやフェイントでかわしても、完全に抜き去るだけの瞬発力がないため、1対1の突破からシュートやアシストまで持って行くのが難しいからだ。
本田の重要なレパートリーのひとつが、近くの味方を使ったワンツーであり、パス交換からエリア内に侵入し、シュートやアシストにつなげる。しかし、ワイドに開いたポジションでは近くに味方がおらず、コンビネーションで突破を試みる機会は少ない。
それゆえ右サイドでボールを持った時、相手を抜き切らずにクロスを入れるか、そうでなければ安全策を取って、サポートに入ったSBやインサイドハーフにボールを戻すか、そのいずれかを選んでいる。
いい形で攻撃に絡むのは、むしろ前に攻め残っている状況からのカウンターだ。4ゴールのうち、キエーボ戦の直接FKを除く3ゴールは、いずれもカウンターでゴール前に入り込み、フィニッシュに絡んだもので、持ち前の得点感覚やシュートセンスが生きたゴールだった。
とはいえ、ここで強調したいのは、どのゴールも「右ウイング」というポジションには関係なく、中央寄りでプレーしている時に生まれたものだということ。そして、6試合で6本という本田の総シュート数が示すように、残念ながらフィニッシュに絡む頻度が高いとは言えない。
一方の守備に関しては、相手SBが上がった時に自陣深くまで戻る仕事をこなしており、攻撃陣のなかで守備の貢献度は最も高い。インザーギ監督が右ウイングで起用している理由のひとつも、この献身的な守備にあると見て間違いない。
総合的に見れば、右ウイングとしての本田のプレーは、間違いなく及第点を上回る水準にある。しかし、ここまでの分析を見ても分かるように、本田にとってこのポジションが、持ち味を発揮するうえでベストかと言われれば、疑問符が付く。
本来、「左利きの右ウイング」に期待されるのは決定的な場面を作る仕事だろう。具体的に言えば、サイドから単独でエリア内に入り込んでフィニッシュに絡む突破力、オフ・ザ・ボールで裏のスペースに走り込んでスルーパスを引き出す動きだ。しかし本田には、まさにその部分で物足りなさが残る。カウンターからのフィニッシュでは貢献しているが、ビルドアップからの攻撃では、決定機につながるプレーをほとんど見せていないのは動かしがたい現実だ。
昨季は1月からの5か月間で18試合(先発16試合)に出場し、1ゴール・2アシスト。ところが今季は6試合で4得点・2アシスト(※10月17日時点)。この違いはどこから生まれたのか。
結論から言えば、最大の理由は起用法や戦術ではなく、ミランやイタリアサッカーへの順応だ。パフォーマンスの点では、現在のそれが本来の姿であり、昨季は様々な要因が絡み、能力を十分に発揮できなかった。
現在のミランにおける本田の位置付けは「攻守に貢献する左利きの右ウイング」。ビルドアップでは右サイドに開き気味の位置を取り、SBまたは中盤から足下にパスを受ける場面が多い。重心が低く、強靭な肉体を駆使したキープ力を備えるため、滅多なことではボールを失わない。
そして、そこからライン際を縦に持ち上がるのではなく、ゴールに向かって斜め方向に仕掛けるのが、最も多いパターンだ。ただ、この形からフィニッシュの場面を作り出しているかと言えば、そうではない。
これは、相手DFが左足で仕掛けるコースを切って対応してくるうえ、本田が相手をドリブルやフェイントでかわしても、完全に抜き去るだけの瞬発力がないため、1対1の突破からシュートやアシストまで持って行くのが難しいからだ。
本田の重要なレパートリーのひとつが、近くの味方を使ったワンツーであり、パス交換からエリア内に侵入し、シュートやアシストにつなげる。しかし、ワイドに開いたポジションでは近くに味方がおらず、コンビネーションで突破を試みる機会は少ない。
それゆえ右サイドでボールを持った時、相手を抜き切らずにクロスを入れるか、そうでなければ安全策を取って、サポートに入ったSBやインサイドハーフにボールを戻すか、そのいずれかを選んでいる。
いい形で攻撃に絡むのは、むしろ前に攻め残っている状況からのカウンターだ。4ゴールのうち、キエーボ戦の直接FKを除く3ゴールは、いずれもカウンターでゴール前に入り込み、フィニッシュに絡んだもので、持ち前の得点感覚やシュートセンスが生きたゴールだった。
とはいえ、ここで強調したいのは、どのゴールも「右ウイング」というポジションには関係なく、中央寄りでプレーしている時に生まれたものだということ。そして、6試合で6本という本田の総シュート数が示すように、残念ながらフィニッシュに絡む頻度が高いとは言えない。
一方の守備に関しては、相手SBが上がった時に自陣深くまで戻る仕事をこなしており、攻撃陣のなかで守備の貢献度は最も高い。インザーギ監督が右ウイングで起用している理由のひとつも、この献身的な守備にあると見て間違いない。
総合的に見れば、右ウイングとしての本田のプレーは、間違いなく及第点を上回る水準にある。しかし、ここまでの分析を見ても分かるように、本田にとってこのポジションが、持ち味を発揮するうえでベストかと言われれば、疑問符が付く。
本来、「左利きの右ウイング」に期待されるのは決定的な場面を作る仕事だろう。具体的に言えば、サイドから単独でエリア内に入り込んでフィニッシュに絡む突破力、オフ・ザ・ボールで裏のスペースに走り込んでスルーパスを引き出す動きだ。しかし本田には、まさにその部分で物足りなさが残る。カウンターからのフィニッシュでは貢献しているが、ビルドアップからの攻撃では、決定機につながるプレーをほとんど見せていないのは動かしがたい現実だ。