「ｉＰｈｏｎｅ」を手に入れたいがために腎臓を売る少年が登場するなど、日本では考えられない“事件”がしばしば発生する中国で、またもやｉＰｈｏｎｅをめぐる新たな騒動が発生した。

　広東省東莞市にある電器工場でｉＰｈｏｎｅをなくした従業員が会社側の対応を不服として、自らに可燃性の液体をかけ抗議を行った。駆けつけた警備員ともみ合っているうちに火がついて、男性は全身やけどの重症を負った。

　火がついたのは「偶発的」だったと報じられたが、中国版ツイッター・微博（ウェイボー）で、アカウント名・ｄａｒｋｍｎｕｍさんは「焼身自殺による抗議」と表現した。

　ｉＰｈｏｎｅはロッカーに預けていたさいに紛失したとのこと。やけどを負った従業員に会社側が応急処置を行わなかったため、従業員２０００人が１４日、作業をボイコットして工場入口に集結、深夜に警察が鎮静化させるまで抗議を続けたという。

　ｄａｒｋｍｎｕｍさんは画像８枚もあわせて掲載。大勢の従業員が車を取り囲む様子など、生々しい様子を紹介した。

　この書き込みに対して、ほかのネットユーザーからはさまざまな意見が寄せられた。なかでも目立ったのは、「ケータイごときで焼身自殺をするか」という疑問だ。同様の疑問を抱えているであろう複数のユーザーからは「ｉＰｈｏｎｅをめぐって血を見る事件が多すぎる」という声も出た。さらには「精神病だ」という過激な意見まで見られた。

　また、何か問題が起きるとすぐ従業員が暴動まがいの行動を起こすことについて「中国投資における政治的リスクは、単に政府に由来するものではない」という分析もあった。

　一方、騒動を拡大させた原因とされる会社側の対応についても「負傷者を助けないのは道徳の欠如」とする批判もみられた。そして、「国民のモラルがすでにここまで劣悪なレベルに達したのか」と嘆くユーザーもいた。

　確かに、ｉＰｈｏｎｅに対する一部中国人の執着心は理解が難しいレベルにまで達しているように思える。彼らをそこまで突き動かす原動力は、いったい何なのだろうか。ステータスとして、高品質高価格なｉＰｈｏｎｅを持ちたいという願望は分からなくはないが、そのために自らのステータスを下げるような行為をしていては、本末転倒以外の何物でもない。

　なお、事件の舞台が日系企業で、日本人幹部が巻き込まれたことから、一部ユーザーからは「これも反日の一部か」といった感想も見られた。（編集担当：近間由保）（イメージ写真提供：（Ｃ）　Ｇｅｏｒｇｉｉ　Ｄｏｌｇｙｋｈ／１２３ＲＦ．ＣＯＭ）