あのベストセラー作家が本を書くのをやめた理由

写真拡大

 「あの時こうしていればよかった」
 「もっとがんばっておけばよかった」
 こんな後悔を誰もが持っているはずで、その悔しさを二度と味わいたくないという気持ちもみな同じでしょう。
 しかし、それでもほとんどの人は生活や生き方を変えられずに同じことを繰り返し、数年後にまた後悔します。一体どうすれば、後悔のない充実した人生を送れるのでしょうか。
 今回は『あなたはまだ本気出してないだけ』(朝日新聞出版/刊)の著者、小玉歩さんにインタビュー。その秘訣をお聞きしました。その後編をお送りします。

―「あとがき」で、しばらく本は書かないという趣旨のことが書かれていて、驚きました。これはしばらく本を書くネタを溜めるための充電期間と捉えていいのでしょうか。

小玉:そうですね。本を書くというのは、自分のなかにあるものを削り取っていくような作業でしんどいんですよ。いつのまにか執筆のスピードに自分の成長のスピードがついていかなくなって、次の本に書くべきものが自分のなかに残されていないという状態になってしまったので、一旦本を書くのをやめることにしました。

―言葉は悪いのですが“粗製乱造”的に本を出しまくる著者の方が多い中で、小玉さんの選択は異例というか、いささか生真面目すぎる印象すら持ちました。

小玉:ただ本を出したいのであれば、自分で書かずに半日インタビューしてもらった内容をもとに、執筆自体はライターに任せるという方法もあります。
でも、10冊本があるうちの3冊は真面目に書いて、残り7冊はそうやって自分で書かずいい加減に作った本だったとして、その7冊の方を手に取る人もいるわけじゃないですか。その人は、いい加減に作った本を読んで僕を評価する。僕はそういうのが我慢ならないんです。

―『あなたはまだ本気出してないだけ』をどんな人に読んでほしいとお考えですか?

小玉:主には20代、30代の若い方なのですが、「もっと自分はできるんじゃないか?」「もっといい人生があるんじゃないか?」と思いながら生きている人に、特に読んでいただきたいです。
よく「自己啓発書は栄養ドリンクみたいなもので、読んだその時はテンションが上がるけど、持続しない」という言われ方をされるのですが、僕はそれでいいと思うんです。
1000円ほどの本でテンションが上がるならもうけものじゃないですか。そこからどうするかは本人次第ですが、それは自己啓発書に限らずどんなことであっても同じわけですから。

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをいただければと思います。

小玉:ほとんどの人は、自分の人生は敷かれたレールの上を進むだけで、変えることはできないと思っているのですが、決してそんなことはありません。
今、自分の人生がうまく行っていないなら、それは能力が低いわけでも、環境に恵まれていないわけでもなくて、本気で何かに取り組んでいないからです。本気を出せば自分の人生は変えられますし、今の生活に納得がいっていないのなら、思いきって好きなことをやってみたほうが楽しくなるはずです。
思う存分やってみてダメだったら仕方ないじゃないですか。もしそうなっても、今の日本で食いっぱぐれることなどまずなくて、仕事は探せばいくらでもあるわけですから。
(新刊JP編集部)