「ありのままの自分」で生きる秘訣

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 「人からどう思われているのだろうか?」と不安になったり、「自分の生き方は正しいのだろうか?」と疑問に思ったり、あるいはなんとなくモヤモヤした気分になったりと、私たちの人生は悩みの連続。
 これはおそらくどんな人でも共通のはずですが、困った時に、「自分の基本」に立ち戻ることができる人は、迷いや悩みから早く抜け出すことができます。
 『へそ道 宇宙を見つめる 使命を見つける』(サンマーク出版/刊)で明かされている「へそ道」は、この意味で悩みや問題に対処しやすい生き方。自分の根本を常に意識することになるこの生き方をどのように取り入れていけばいいのか。著者の入江富美子さんにお話を伺いました。後編となる今回は、入江さんに訪れたあまりにも劇的な転機についてです。

―そんな人生の転機となったのが2005年の大晦日とのことですが、どんなことがあったのでしょうか。

入江:順を追ってお話ししますと、「ビジョン」を生きても幸せになれないと思った私は、これからは「ミッション」を生きようと決めました。
ミッションを生きるというのは、これまでのように目に見えるものを追うのではなく、たとえ誰にも褒められなくてもいいから、この地球に生まれてきた自分の役割に気づいて、それを果たすという生き方です。
2005年当時、私は専門学校で芳香療法の講師をしながら心理学を学んでいたのですが、その時の牧師であり心理学者の先生が、「ビジョンではなくミッションを生きる方法があるよ」とおっしゃったのです。そしてその後、「でもね、ミッションを生きるのは大変だよ」と言いました。なぜ大変なのかと聞くと、ミッションは自分が行こうとしているのとは違う方向を示されるよ!とおっしゃったのです。

―なるほど。

入江:ですから、ミッションが示す方向に行けるのは全体の5%くらいだよと。だから、そちらには空席がたくさんあるんだよとおっしゃいました。それを聞いた時に、その空席が見えた気がして、絶対にそちらに行きたいと思ったんです。
そこで、私が「どうすればミッションを生きられますか?」と聞くと、「毎日『天が期待していることを実現させてください』と祈りなさい」と言われました。
さらに「ビジョンは自分から描くから力は自分持ちだよ。でもミッションは向こうからやってくるから力は向こう持ちだよ」と。その言葉に心が震えました。

―そして大晦日がくるわけですね。

入江:そうです。毎日祈り続けていたのですが、その頃は自分にとって人生でもっとも辛い数年間で、主人の会社の倒産や、私の流産、子どもの闘病といったことなど本当にいろんなことがうまくいきませんでした。心底弱っている時に、子どものころからかわいがってくれた祖母が亡くなったりと、気持ちの中で追い込まれていきました。
それまでずっと、正しく、間違いのないように生きようとしてきた私でしたが、その時ばかりはあまりに辛いことが重なりすぎて、まるで幼いこどものように泣きました。
その時、自分の中から、自分でも思いもよらなかった幼い頃の、怒りや恨みといった感情が溢れだしました。私はこういう感情は持っていないと思っていました。幼いこどもに戻っていた私は、いつものようにその怒りや恨みという感情をないものにしたり、ポジティブに捉え直すことができなかったんです。
しかし、その感覚をそのまま感じていると、不思議とその感覚はどこか懐かしいもののように思えました。正しく生きようと思ってきたけれど、こういう汚い感情を持っていたのが本当の私なんじゃないか、という気がしたんです。
それでも、理屈では、かわいがってくれた祖母への感謝の気持ちが心のどこかにあるはずですから、心の中にそれを探してみようとしました。しかし、自分の中に感謝の気持ちなんてかけらもなかったんです。本当に恨みつらみばかりで驚きました。その時初めて観念したんです。正しく生きたいと、思ってきたけれど、これが本当の私なんだ、こんな汚い心を持った私だけど、このままの私で生きていこう、感謝のない私でできることをしていこうと決めました。その時、はじめてありのままの自分を受け入れたのです。
その瞬間に、おへそがぐお〜〜と振動しはじめたんです。お腹の底から震えだし、そして感謝の気持ちが泉のようにわきあがってきたんです。「ありがとう〜〜〜」と。
それは一瞬のことでしたが、何時間にも感じる情報を受け取った瞬間だったのです。
そこからの奇跡のような私の人生の変化は『1/4の奇跡〜もうひとつの本当のこと」(三五館/刊)という本に書いたのですが、「これは作り話じゃないの?」と言われるほどに「向こう持ち」の人生になったんです。

―感謝の気持ちがなかったのに、どこからわきあがってきたのでしょうか。

入江:お腹の底からとしか言えないのですが、その瞬間は自分と世界との境界線がわからなくなるくらい一体感の感覚があって、それを今でも強烈に覚えています。
この経験から、感謝は「するもの」ではなく「溢れ出すもの」なんだとわかりました。感謝しなきゃと思って感謝するのではなくて、汚い心もネガティブな感情も持っているのが自分なんだとそのままの自分を受け入れた瞬間に感謝は溢れ出すんです、

―生きていくうえで、今のお話の入江さんのように、ありのままの自分を受け入れられるかというのはとても大事な問題です。これがなかなかできずに苦しんでいる人にむけてアドバイスをお願いできればと思います。

入江:自己受容とは、人生を豊かにするとてもやりがいのあることのひとつだと思います。「へそ道」では自分というものの捉え方を変えることで自己受容の深さが変わってきます。つまり、自分という限りのある人間でする自己受容には限界があると思うのです。
でも、お母さん、おばあちゃんよりももっともっと遡ったすべてのもとから「へそ」を通してつながって、いろんな人の思いが込められて生きているのが自分なんだ、無限のところからつながって今生きている自分なんだと思うと、自分というものの捉え方が変わり、自分が生まれてから今までの人生で自分を評価したり、価値判断するのではなく、もっと大きな視点で、ありのままの自分を受け入れられるのではないでしょうか。
 昔はお爺さんやお婆さんが「お天等様が見ているよ」「ご先祖様が守ってくれているよ」と目に見えないへその世界を当たり前の日常で教えてくれていたので、なんとなく目に見えない何かに守られている安心感があったものですが、今はそういうことを言ってくれる人が少なくなってしまいました。こういう世界観が自分の中に育っていれば、いざというときに自分が自分を支えてくれると思うのです。こどもたちにそのことを伝えるために絵本(『おへそのさき』七田教育出版)も出版し、おじいちゃんやおばあちゃんがいないご家庭でも親子で知っていただきたいなと思いました。そして大人もこどもも、そういう大きな世界があるということを思いだし、もしも自分自身の過去の失敗や嫌な思い出で傷ついているなら、昔の自分に対して「あの時はああするしかなかったよね」「それでいいよ」と、今の自分が、昔の自分の味方をするように声かけしてあげると、ありのままの自分を受け入れる助けになるはずです。

―先ほどお話に出た「ミッション」ですが、どのように見つければいいのでしょうか。

入江:まずは「ミッションを生きる」と決めることです。
たとえば、私は感謝のかけらもなかったからこそ、2005年の大晦日の体験を通して感謝はするものではなく、どんな自分であったとしてもありのままの自分を受け入れることで本当の感謝が溢れ出すのだと学びました。それをたくさんの人に伝えずにはいられないという思いが湧き起こりました。
人それぞれ通ってきた人生がありますが、その道のりの中にミッションを見つけるヒントがあるのではないかと思います。

―本書をどんな人に読んでほしいとお考えですか。

入江:全ての方に読んでいただきたいのはもちろんですが、ミッションを生きたいと望む方には是非読んでいただきたいです。中でもいろんなものに恵まれていると頭ではわかっていても、もっと他の生き方があると感じている人、自分の人生を思いきり日本や世界に役立てたいと考えている方に読んでいただけたらうれしいですね。

―最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

入江:この本で書いている「すべてのもととつながっている自分」を意識する生き方というのは、何かを身につけてすごい人になるということではなくて、本来の自分を知って、もともと持っていたはずの力を取り戻すということです。
色々なことがある人生ですが、「へそで生きる」生き方を思いだしていただいて、全てとつながっていることを意識できるようになれば、今がほっと楽な気持ちで、より一層の喜びを感じながら生きることができるようになります。人にも優しくなれます。
生きるのが大変で、どうすればいいかわからなかった私だからこそ、「へそ道」がいかに心に平安を与えるかを伝えられると思っています。その大事な部分の全てを書きましたので、ぜひ読んでいただき、さらに喜びを感じながら人生を生きていただけたらうれしいです。
(新刊JP編集部)

■入江富美子オフィシャルサイト (http://iriefumiko.com/)