自身の失敗論を語ったジャーナリストの津田大介

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Twitterで30万人近いフォロワーを抱え、多様なメディアを縦横無尽に駆け回るジャーナリスト、津田大介。常に新しいプロジェクトを立ち上げ、挑戦をし続ける彼は「失敗することが大前提」と語り「成功率が12%あれば僕には十分」という。彼の“ポジティブ失敗論”から見えてくる、失敗を恐れない心の持ち方とは?

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彼の自身に対する評価は、実は低い。ライターとしては「そこまで筆が立つタイプではない」、コメンテーターとしても「僕より優れている人はたくさんいる」と評す。ただ、失敗して学んでいくことで「コンスタントに78点〜83点くらいの仕事はできる」と自負している。

78点〜83点。その数字の心は一体何なのか?「すごい人って本当にすごい。僕は何かの仕事で100点を取れるようなことは一生ないと思うんです」。もちろん、「100点を目指さない」という意味ではない。「100点を目指そうとはするのは大事だと思うんです。ただ、大学教授や研究者、政治家、官僚…と、名刺を1年間で3000枚も配るほど大勢の人と会っていると、『こりゃかなわない』って思う人ばかりなんです」。津田はマルチに仕事をこなしているからこそ、各ジャンルの“頂点に近い仕事”に触れているのだ。

なかでも舌を巻いたのが、10年以上前にインタビューした堀江貴文さんだった。「態度は横柄だけど、言うことは簡潔で的を射ている。なんて頭がいいんだ!って。最近だと東浩紀さんとかロボットクリエイターの古田貴之さんとかもそう。そういう人たちと触れると『自分が100点なんて到底無理。90点もおこがましい』と思わざるを得ないんです」

数多くの“すごい人”と会ってきたからこそ、自分を勘違いせずにいられた、と言う津田。コンプレックスを感じて縮こまるのではなく、そこで彼はこう思ったという。「そんな人たちが『やらないこと』で勝負するしかない。頭がいい人って、泥臭い行動をしない。新規プロジェクトを立ち上げる時、頭が良すぎると『この案件は成功率が12%くらいだろう』と事前に分かってしまう。つまり失敗する確率は88%もある、ということ。すると、効率面を考えて立ち上げないんです。でも僕は『成功率12%なら十分高いじゃん!100回やれば12回も成功するんでしょ?』って思うんです(笑)」

頭のいい人は、意外と“動く人間”が少ない、ということに気付いたのだ。「もちろん、闇雲に動いたら迷惑だけど、動けるって、それだけで希少価値がある。だから“頭の良さ”ではかなわないけれど『動ける』という点では、そこそこのレベルまで行けるだろう、と。で、もし失敗しても、自分の中には経験やノウハウが残りますから。ある時期から新しいことをやることに悩まなくなりましたね」

成功率が12%あれば成功できる――。津田が語る“ポジティブ失敗論”には、仕事への向き合い方の“ヒント”が隠れている。【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】

※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです