みんなの通信をオラにわけてくれ!auの新通信「CA」は元気玉みたいなもの? 1分でわかるスマホ通信高速化の必殺技
KDDI(au)が発表した2014年夏モデル。スマートフォン6機種とタブレット2機種、合計8機種の投入となる。そのうち、スマートフォン5機種とタブレット1機種、合計6機種については、新しい通信方式に対応した。
その名も、「キャリアアグリゲーション(略してCAとも呼ぶ)」だ。また、UQコミュニケーションズが提供する「WiMAX 2+」にも対応している。今回、日本ではじめて商用導入される「CA」について説明しよう。
●電波を束ねてより高速な通信を実現する次世代技術
いままで別々の運用だった電波を束ねて高速化するCA技術
そもそも、「CA」とはなんだろうか。
これは、異なる周波数の電波を束ねて、データ通信を行うことができる技術のことである。従来は1種類の周波数帯の電波を利用して通信している。つまり、複数の周波数帯に対応していても、実際に使われるのは、その中のどれかひとつの周波数帯というわけだ。しかしながら、それでは電波の利用に限界が出てしまう。無線通信は、ひとつの周波数帯に対して「幅」が設けられている。この「幅」が広い(数字が大きい)ほど、広い道路と同様に渋滞しにくい、高速な通信が可能となる。
それなら、ひとつの周波数帯の幅を広くすればいい。と、思われるかもしれないが、実際はそういうわけにもいかない。日本では、総務省によりそれぞれ割り当てられた周波数を利用しサービス提供している。各社に割り当てられている電波の「幅」が決まっているため、自由に電波の幅を広くするということはできないのだ。これでは、通信速度が頭打ちになってしまう。
そこでKDDIが導入した技術が「キャリアアグリゲーション(CA)」である。これは、異なる周波数帯の電波を束ねることで、その「幅」を広くしましょうというものだ。
●CA導入で具体的にどの程度速くなるのか
それでは、実際に「キャリアアグリゲーション」を導入することにより、どの程度速くなるのだろうか。
現在、KDDIでは以下の電波を主に利用している。
800MHz帯の電波を10MHz幅(下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)
2.1GHz帯の電波を10MHz幅(下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)
(※ごく一部のエリアにて15MHz幅や20MHz幅のエリアもあり、2.1GHz単体で下り最大150Mbpsのエリアも存在する)
の2つだ。
これらを束ねることで、下り最大75Mbps かける2 = 下り最大150Mbpsとなる。
つまり、ある周波数帯の5GHz幅の電波(下り最大37.5Mbps分)を2つ合わせて10MHz幅の75Mbps、さらに別の周波数帯の10MHz幅を足すことで下り最大150Mbpsとなる。この理論、なんだかキン肉マン世代には懐かしい気がする。
ちなみに、上りは最大25Mbpsのまま。
理論上では束ねた分だけ高速化されていく
つまり、理論上ではあるがキャリアアグリゲーション技術の導入により下り最大の速度が倍になるのだ。
したがって、組み合わせる周波数の下り最大速度分、通信速度が速くなるというものである。さらに、利用できる「幅」が広くなるということは、混雑時にも速度が低下しにくいことに繋がる。道路で例えると、狭い道路よりも広い幹線道路のほうが同じ交通量でも渋滞しにくいということとなる。
さらに既存の電波を拡張するわけではなく、束ねるので、拡張が難しいと言われている都市部でも早い段階で高速通信の恩恵を受けられるようになる。
●CAはKDDI独自のものなのか?
今回の発表でKDDIが大々的に発表し、独自のロゴも披露した「キャリアアグリゲーション」は、KDDI独自技術なのだろうか。
答えは「否」である。
auのホームページ上でも独自技術かのような取り扱いだがそうではない
この技術自体は、次世代通信のLTE Advancedを構成するものの一つになっており、今後はNTTドコモやソフトバンクモバイルも導入することを示唆している。
したがって、時期の違いはあれども、今後は徐々にCA対応スマホやタブレットが登場してくるだろう。
その中でKDDIがわざわざロゴまで作成して発表したことの背景には「日本初」にこだわったためと思われる。しかしながら、特別新しい技術ではないのだが、まるで独自開発かのごとくロゴまで作るのはしたたかだと感じる。
CA導入により、下り最大150Mbpsになるという謳い文句だが、今後はさらに束ねる電波を増やすことで、下り最大300Mbps、450Mbpsと増えることも期待できる。今後は通信速度が今までの進化スピードよりも早く、通信が速くなっていくだろう。
布施 繁樹
その名も、「キャリアアグリゲーション(略してCAとも呼ぶ)」だ。また、UQコミュニケーションズが提供する「WiMAX 2+」にも対応している。今回、日本ではじめて商用導入される「CA」について説明しよう。
●電波を束ねてより高速な通信を実現する次世代技術
いままで別々の運用だった電波を束ねて高速化するCA技術
そもそも、「CA」とはなんだろうか。
これは、異なる周波数の電波を束ねて、データ通信を行うことができる技術のことである。従来は1種類の周波数帯の電波を利用して通信している。つまり、複数の周波数帯に対応していても、実際に使われるのは、その中のどれかひとつの周波数帯というわけだ。しかしながら、それでは電波の利用に限界が出てしまう。無線通信は、ひとつの周波数帯に対して「幅」が設けられている。この「幅」が広い(数字が大きい)ほど、広い道路と同様に渋滞しにくい、高速な通信が可能となる。
それなら、ひとつの周波数帯の幅を広くすればいい。と、思われるかもしれないが、実際はそういうわけにもいかない。日本では、総務省によりそれぞれ割り当てられた周波数を利用しサービス提供している。各社に割り当てられている電波の「幅」が決まっているため、自由に電波の幅を広くするということはできないのだ。これでは、通信速度が頭打ちになってしまう。
そこでKDDIが導入した技術が「キャリアアグリゲーション(CA)」である。これは、異なる周波数帯の電波を束ねることで、その「幅」を広くしましょうというものだ。
●CA導入で具体的にどの程度速くなるのか
それでは、実際に「キャリアアグリゲーション」を導入することにより、どの程度速くなるのだろうか。
現在、KDDIでは以下の電波を主に利用している。
800MHz帯の電波を10MHz幅(下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)
2.1GHz帯の電波を10MHz幅(下り最大75Mbps、上り最大25Mbps)
(※ごく一部のエリアにて15MHz幅や20MHz幅のエリアもあり、2.1GHz単体で下り最大150Mbpsのエリアも存在する)
の2つだ。
これらを束ねることで、下り最大75Mbps かける2 = 下り最大150Mbpsとなる。
つまり、ある周波数帯の5GHz幅の電波(下り最大37.5Mbps分)を2つ合わせて10MHz幅の75Mbps、さらに別の周波数帯の10MHz幅を足すことで下り最大150Mbpsとなる。この理論、なんだかキン肉マン世代には懐かしい気がする。
ちなみに、上りは最大25Mbpsのまま。
理論上では束ねた分だけ高速化されていく
つまり、理論上ではあるがキャリアアグリゲーション技術の導入により下り最大の速度が倍になるのだ。
したがって、組み合わせる周波数の下り最大速度分、通信速度が速くなるというものである。さらに、利用できる「幅」が広くなるということは、混雑時にも速度が低下しにくいことに繋がる。道路で例えると、狭い道路よりも広い幹線道路のほうが同じ交通量でも渋滞しにくいということとなる。
さらに既存の電波を拡張するわけではなく、束ねるので、拡張が難しいと言われている都市部でも早い段階で高速通信の恩恵を受けられるようになる。
●CAはKDDI独自のものなのか?
今回の発表でKDDIが大々的に発表し、独自のロゴも披露した「キャリアアグリゲーション」は、KDDI独自技術なのだろうか。
答えは「否」である。
auのホームページ上でも独自技術かのような取り扱いだがそうではない
この技術自体は、次世代通信のLTE Advancedを構成するものの一つになっており、今後はNTTドコモやソフトバンクモバイルも導入することを示唆している。
したがって、時期の違いはあれども、今後は徐々にCA対応スマホやタブレットが登場してくるだろう。
その中でKDDIがわざわざロゴまで作成して発表したことの背景には「日本初」にこだわったためと思われる。しかしながら、特別新しい技術ではないのだが、まるで独自開発かのごとくロゴまで作るのはしたたかだと感じる。
CA導入により、下り最大150Mbpsになるという謳い文句だが、今後はさらに束ねる電波を増やすことで、下り最大300Mbps、450Mbpsと増えることも期待できる。今後は通信速度が今までの進化スピードよりも早く、通信が速くなっていくだろう。
布施 繁樹