香川真司 (写真:フォート・キシモト)

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日曜日の試合でエヴァートンに敗れたため、マンチェスター・ユナイテッドはとうとう来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権すら獲得できなくなってしまいました。その試合には香川真司も出場し後半途中までプレーしていましたが、ゴールも決定機演出もかないませんでした。
 
今の香川のパフォーマンスは、ドルトムントのときの50パーセント程度だと僕は思っています。現状を心配する人たちから、冬の移籍期間に香川はマンチェスターを離れるべきだったのか、あるいはシーズンが終了した後に移籍して出ていったほうがいいのかと聞かれることがあります。
 
冬に移籍したほうがよかったのか、というと「No」でしょう。ワールドカップを前にチームを移り、環境を変えるというのはリスクがあります。それに、実はこの調子が悪いマンチェスター・ユナイテッドに残ったからこそ、できることがあるのです。
 
タイトルや出場権獲得という大きな目標がなくなってしまった以上、あとは個人の事情を考えてプレーできます。もうチームとして達成しなければいけないことがないため、とにかく出場機会を得るということに集中できるのです。そして試合に出ながらワールドカップに向けたコンディションの調整ができます。もしタイトルがかかっていたら、もっと無理をしなければならないはずです。
 
ではシーズンオフになったらすぐ移籍したほうがいいのか。それも違うと思います。ワールドカップで活躍すれば、どんな監督も香川を使わざるを得ません。今後はもうワールドカップのことを考えて調整できるのですから、大会で活躍し、そこで自分の価値を上げてから残留か移籍かを考えればいいでしょう。ドルトムント移籍もささやかれていますが、決して焦って決断しなければならない話ではありません。

災い転じて福となす。今はマンチェスター・ユナイテッドにとっても香川にとっても大変な時期ですが、ぜひそのことを反対に生かしてワールドカップの活躍に結びつけてほしい。香川の実力を世界に見せつけ、イングランドでの立場を築いていってほしいと思っています。