ロンドン市内ピカデリーサーカス

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地理的にも歴史的にもライバル関係であるロンドンとパリ。ロンドンは王室に代表される歴史と伝統、パリはファッションの発信地といったイメージがあるが、実際それぞれの良さとは何だろうか? 両都市を比べた話題はしばしば人々の話の種にされたり、現地メディアでも取り上げられたりする。コネタでも現地の反応を参考にしつつ、分野別に比べてみた。

まず来訪者数で比べると、全体的にはパリが多い! 2013年パリは3230万人の観光客を受け入れ世界一の観光都市だった(パリ・イル・ド・フランス観光地方委員会)。それならばパリが完勝かと思いきや、外国人だけを比べてみるとロンドンが上回る。パリの1550万人(2013年)に対して、ロンドンは1600万人なのだ。日本の場合、日本全体で外国人旅行者数が今年1000万人を越えたくらいなので、両都市の観光産業の盛んさが分かるはず。

それゆえ人気観光スポットも多いが、ロンドンの場合はビッグベン、ロンドンアイ、大英博物館がトップ3、パリはエッフェル塔、ルーヴル美術館、凱旋門が占めている(ちなみにパリ市内にはないものの、ディズニーランド・パリが欧州で一番観光客を集めるスポット)。美術館の数はロンドンの240に対して、パリは153。ロンドンの主要な美術館が無料だが、パリは有料だ。

食についてはパリに分がある。ロンドンには約1万2000軒、パリには約9700軒のレストランがあるそうだが(トリップアドバイザー)、ミシュラン星付きレストランの数を比べると、ロンドンの61軒に対しパリは84軒と多い。近年ロンドンのレストランは、以前に比べおいしいところも増えているといわれるが、毎年きら星のごとくスターシェフが生まれるパリからは、まだ遠いようだ。

ただしファストフードならロンドンは負けない! 英デイリー・メール紙によれば、パリのマクドナルドは66軒だが、ロンドンは190軒と、ぶっちぎりに多いそうだ。ちなみに英国のお家芸、フィッシュ・アンド・チップスは毎年3億人前が英国内で提供され、一方でフランスはエスカルゴが毎年4万トン消費されるという。

交通はどうだろうか? ロンドンは世界で最初に地下鉄が開業した街だ。ロンドンから約40年遅れて、パリも地下経を持った。しかし線と駅の数ではパリが上を行く。ロンドン地下鉄「チューブ」が11本270駅を擁しているのに対し、パリ地下鉄「メトロ」は16本302駅ある。どちらも均一運賃で、チューブは1枚4.7ポンド(約800円)でメトロは1枚1.7ユーロ(約240円)。つまりメトロはチューブより駅と線の数が多く、運賃は安い。

市内路上に設けられた自転車貸出システムもロンドンは高い。ロンドンの「バークレイズ・サイクル・ハイヤー」が24時間2ポンド(約340円)であるに対して、パリの「ヴェリブ」は1日1.7ユーロ(約240円)。公共交通機関を利用する分には、パリの方が財布に優しい。

一方でタクシーだとロンドンに分がありそうだ。ロンドンキャブはその特徴的な外見で街のマスコット的存在になっているが、パリのタクシーは(たまにベントレーなど変わった車種が普通のタクシーとして走っているものの)一般的な乗用車が使われている。台数もロンドンは2万2600台でパリは1万6600台(ただし人口は、ロンドン約830万人に対してパリは約220万人)とロンドンが多い。

橋の数はどうだろうか。ロンドンはテムズ川、パリはセーヌ川と両都市とも川が街のシンボルになっている。ロンドン市内でテムズ川にかかる橋は15本。しかしパリ市内でセーヌ川にかかる橋は37本と倍以上ある。

この他にも、英百貨店ハロッズと仏百貨店ギャラリー・ラファイエット、英ザ・マル(バッキンガム宮殿とトラファルガー広場を結ぶ通り)と仏シャンゼリゼなど比べる対象は色々ある。ロンドンとパリはドーバー海峡の下を通る列車ユーロスターを使えば2時間半の近さにあり、近いがゆえにお互い気になる点も多いだろう。もしゴールデンウィークなどを利用して両都市を訪れる予定なら、自分なりの比較をしてみてはどうでしょうか? 
(加藤亨延)