大英博物館と仏ルーブル美術館、両都市とも魅力的な施設を多く抱えている

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パリが世界一の観光都市の座を明け渡した。ロンドン市長の諮問機関ロンドン・アンド・パートナーズによれば、2013年にロンドンを訪れた外国人観光客は1600万人だという。これは2012年に1590万人を記録したパリやニューヨーク、バンコクなど他のライバル都市を超え、世界でもっとも外国人観光客が訪れた都市になった。

ライバルのパリを抑えトップに立ったロンドンは喜んでいる。今回の結果にロンドン市長は、「五輪効果だ」と現地メディアに答えた。五輪開催の翌年は、人々の開催都市に対する興味は薄れる傾向にあるが、ロンドンはそのジンクスを破り、2013年上半期で8%の観光客の伸びを示した。大英博物館やテート・モダン、ナショナルギャラリーといった市内の有名観光スポットは、多くの外国人観光客を引きつけ、加えて英国全体では、外国人観光客は年明けから9ヶ月間で11%増加し、2500万人となった。

仏フィガロ紙はロンドン市関係者の話を引き合いに、ロンドンのイメージは五輪により大きく変わったと伝える。街は美しくなり開かれ、躍動的で、ロイヤルファミリーやビーフイーター・ジンといった、今までのありきたりなイメージから抜け出すことに成功したのだ。

ロンドンを訪れる外国人観光客の多くは、欧州の人々が中心だ。次いで北米、そして他の地域が続くという。外国人観光客は、2013年上半期で50億ポンド(約8600億円)を英国に落とした。その中心はウエストエンドと呼ばれるロンドン西部で、ショッピングやレストラン、観劇に観光客はお金を費やす。またロンドンは、五輪や王室記念事業で沸いた活気を継続させるため、様々なイベントを行い、観光客を呼び込み続けている。

一方で、宿命のライバルに抜かれた格好のパリは、現時点で世界一の都市を決めるのは早急だと異を唱える。パリ市助役で観光を担当するジャン・ベルナール・ブロ氏は仏メディアに対し、パリの2013年の外国人観光客数はまだ出そろっておらず、2012年より5〜7%の増加は確実だと答えた。この予測が正しければ、2013年にパリは1660万人から1700万人を迎えたことになり、ロンドンの上を行くことになる。

どちらが世界で一番魅力的な街なのか。両都市は英国とフランスという歴史的にも競い合ってきた国の首都だ。最近では2012年の五輪で、優位と伝えられた前評判を覆しロンドンがパリから五輪を奪った。パリは伝統的に欧州文化を引っ張ってきた自負があるものの、近年はロンドンの勢いに押され気味でもある。ロンドンとパリ、両者ともプライドにかけても負けられない。
(加藤亨延)