4億年前の縦じまの地層が大規模に広がる須崎海岸は、西予ジオパークの大きな見どころのひとつ

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新橋にある愛媛県のアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」に行ってみたら、“四国西予ジオのめぐみフェア"なるものをやっていた。昨年9月に愛媛県西予市が日本ジオパークに認定されたことを機に、西予市の魅力をPRするために2月28日(金)までフェアを開催しているとのこと。でも…そもそもジオパークって一体何…?

調べるとすぐ「日本ジオパークネットワーク」というサイトを発見。そこには「ジオ(地球)に親しみ、ジオを学ぶ旅、ジオツーリズムを楽しむ場所がジオパーク。山や川をよく見て、その成り立ちとしくみに気付き、生態系や人間生活との関わりを考える場所」とある。「大地の公園」とも呼ばれるそう。そして日本には、33ヵ所の日本ジオパークがあって、うち6ヶ所が世界ジオパークと呼ばれ、それぞれ世界と日本のジオパークネットワークの委員会に申請し、認定の可否が決められるようだ。

さらに詳しく聞くため、「香川・愛媛せとうち旬彩館」に、四国西予ジオパークのことやジオパーク認定までの流れについて問い合わせてみた。

――ジオパークに認定されるためにはどんな条件が必要になるのでしょうか?
貴重な地質や地形が存在することはもちろん重要なのですが、生態系や人の暮らし、歴史文化、食、農林水産業で生産されているものも、どこかで大地とつながっている。そうした地域資源を守りながら、教育や観光交流、地域づくりなどに活用することがジオパークの主な目的です。

――なるほど。では認定のポイントとなるものとは?
ジオパークを地域の人たちが理解し、ジオパーク活動を始めているか、継続した活動ができうるのか、といったことがポイントになります。ジオパーク活動の実績を積んでから、申請書を『日本ジオパーク委員会』に提出し、後日、委員や関係者の前で10分間の公開プレゼンテーションを行います。その後、委員数名の方が現地審査に来られて、例年9月に行われる委員会で認定の可否が決まります。

――やはり認定されるまでには厳しい道のりがある模様。四国西予ジオパークは認定までにどれくらいかかりましたか?
2011年(平成23年)1月4日、市長の『西予市はジオパークを目指します』という一言でスタートし、認定されたのが2013年9月24日ですので、2年半ですね。

――さらに、4年に一度再審査があるそうで、その結果、認定が取り消しになる可能性も。なんとなく世界遺産にも通じるような…。四国西予ジオパークの一番の見どころとは?
日本列島の地質は、およそ2億5千万年前から始まる中生代より新しいものがほとんどですが、城川地区を流れる黒瀬川地域の地質からは約4億年以上前のサンゴ類や三葉虫の化石が発見されています。このような古い時代の地質に関する本格的な調査が日本で初めてこの地域で行われたため、これらの地層や岩石は“黒瀬川構造帯"と名づけられました。黒瀬川構造帯とそれに関連する地層の総延長は1,000キロを超え、九州、四国を通って関東まで続いています。その成り立ちには諸説ありますが、かつて南半球に存在していた巨大な大陸“ゴンドワナ大陸"の一部だったのではないかと考えている研究者もおり、未だに解決されていない日本列島の起源を探るためには欠かすことのできない重要な大地です。

約4億年以上前のサンゴ類や三葉虫の化石が発見されているとか、黒瀬川構造帯"のことも知らなかったので驚くばかり。また、こんな魅力もあるという。

「市内各地に数多く保存されている“地域の宝"を五感で感じることができることです。海抜0mから1,400mの標高差の中にリアス式海岸、盆地や段丘地形、カルスト高原などの多様な地形、多彩な自然環境が大切に保全され、私たちの祖先の営みや、海・里・山の多様な文化・食・暮らしを楽しむことができます」

今後、四国西予ジオパークはどんな場所を目指しているのでしょう?

「西予ジオパーク構想では、『私たちのルーツをたどる旅〜古大陸の軌跡と、海・里・山の原風景を楽しむ〜』というテーマを掲げました。貴重な地質を通じて未だ解明されていない太古の謎に思いを馳せ、海・里・山をめぐりながら、大地と人との物語や昔と変わらない風景に心安らぐ。そんな楽しみ方を提供したいと考えています」

まだ謎も多いとあって、訪れれば貴重な体験ができるはず。現在、認定を目指している地域も多数あるとのこと。ジオパークを楽しむ人たちも今後どんどん増えていきそうだ。
(田辺香)