まさかの犯人登場、三つ星あっさり転落で大荒れの『キルラキル』11話。しかし脅威の安定感を誇る蟇郡とマコの会話を見れば、なにか糸口がつかめる……かも!

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ぼくは今、『キルラキル』スタッフが何を出してきても、素直には信じられないよ!
穿って見て、楽しんでます。
マコと流子と蟇郡以外に対しては。

そこにやってきた「怒涛の展開」と話題の11話です。
確かに怒涛でした。関連主要キャラはほぼ全員登場したくらい。

しかし一番気になったのは、蟇郡とマコのやりとり。
今回は二人をを中心に、『キルラキル』ってどんなアニメなのか、改めて見てみます。

●マコと蟇郡の奇妙な関係
なぜ蟇郡はマコを気に入っているのか。
会話の端々を追ってみます。

犬牟田「(色々難しい解説)」
マコ「つまり流子ちゃんはすごいってことだねー」
蟇郡「犬牟田の煩雑な情報を満艦飾が一言にした。これが純音だな?」
犬牟田「それは単純バカだね」

今までも4話や8話などで、マコの発言を認めている蟇郡。
マコ自体は非常に少ない語彙で、シンプルな発言しかしません。
しかし、彼は一言でまとめるマコを大いに評価しています。

マコ(かわいい)の「すごいってこと」という発言は、間違ってはおらず、解答でもない。
これを蟇郡は、犬牟田が解説する乃音と流子の戦いに絡めて「純音」と評しました。

例えば乃音ちゃん(かわいい)の「アンコール」から「奏の装 ダ・カーポ」。
おかしいんですよ。なんで生徒がアンコールしているのか。そこに一切触れられていない。
裏を読み解いていけば、今まで乃音が残っていた一つ星生徒に練習させていた、という可能性が考えられます。
生命戦維のあり方を考えたら、意外と矛盾はなく、理由付けはできるはず。

ですが、その理由付けは割りと副次的なもの。蟇郡は犬牟田の解説も「煩雑な情報」と言いました。
全てを理解することが、必須ではない、というのが蟇郡の考え方です。

「マコの置かれている環境」=「『キルラキル』というアニメ」は、わざと煩雑にされています。
特に最近は色々な人の考え方が絡み合い、群像劇化してきています。
しかし、本来は極めてシンプルな一本の線があって、そこに多くの情報が絡み合っている状態です。

例えばマコの目を通してみると、話は極めてシンプル。
「流子ちゃんはすごい!」
「四天王3人に勝った!」
「すごい強い人が来たみたいだ」
これで十分。

美木杉視点なら「神衣の進化がはやすぎる」「最終手段を使わざるを得ない」「ますますややこしくなるね」。
皐月様視点なら「大体予定通りか」「なんだと……」「後はお前次第だ纒流子……」
多分どのキャラから見ても、毎話3点くらいでまとまると思います。

乃音の「楽音」を、流子が「純音」にして対抗したように、このアニメ自体の芯は全くぶれることなく「純音」でできている。
そこにたくさんの「楽音」を、細かく盛り込んでまぜこみ、「雑音」的な遊びも入れ混ぜている。
最後に「ケレン味」で演出して、自由さの幅を広げています。文字に寄りかかったりとか。
情報量は正直多いです。しかしそれらは「神衣とはなんなのか」「皐月様は何を考えているのか」「鮮血と流子の関係」、そして最終的には「着るのか着られるのか」を描くための、補助的なもの。

犬牟田視点が「補助」部分にあたります。
分析目線の犬牟田回(11話)があって、その後マコと蟇郡の純音視点(12話)が入ります。
どんどん情報と伏線が錯綜していく中、蟇郡がマコを認めるシーンが時折入ることで、この作品そのもののシンプルな部分にリセットされるのではないか。

この会話もいいですよね。
マコ「マコです! 満艦飾マコ! 劣等生だけど名前があります!」
蟇郡「自ら劣等生であることは認めるのか、その意気やよし!満艦飾!」
蟇郡が変身して、それにマコが乗って戦うとかしてください。

●11話の楽音部分を掘ってみよう
ここからは物語の「純音」以外の部分、「楽音」や「雑音」の見どころを拾ってみます。

・もう一つの勢力の登場
今までは「本能字学園」と「ヌーディストビーチ」二つの対立構造に、敵討をする「纒流子」という3勢力のぶつかり合いでした。
ここに、今回から明確にもう一つの勢力「リボックス社」が登場しました。
鬼龍院羅暁、皐月様のお母さんです。

と言っても、羅暁自体は今は別に皐月様に何もしていません。皐月様は以前神衣を着たことを報告しています。
ところが、グランクチュリエ(高次縫製師)の針目縫が、自ら神衣を見て絡んできています。
針目は「ぼくだよ、君のお父さんを殺したのは」と言って、あえて一話の流子と同じように片太刀バサミ回転させて煽ります。左右対称なので比較してみてください。

でもこれ、いくらなんでも証拠がなさすぎる。
針目の取り出した片太刀バサミは、形状は裁ちばさみの親指入れる方としてぴったりで、色は違います。
皐月様は羅暁(母)の差金だと思って取り乱しています。羅暁が針目に何を言ったかは判明していません。
本能字学園と犬牟田にはデータなし。針目縫も極制服を見たのは初めて。
ヌーディストビーチは針目のデータを持っていて、観測しています。

これが本当にしろ嘘にしろ、皐月様や四天王と流子がぶつかる必然性が、消失してしまいました。
「本能字学園」「ヌーディストビーチ」「リボックス社」「纒流子」……とは単純にいかなそうです。
皐月様は何を考えているのかの、ヒントも出てきました。

・羅暁の偉大なる存在感
背中に7つの星の傷を背負って、7色の後光を持つ女、鬼龍院羅暁。
そりゃー皐月様も光るわけだわ。

羅暁の持ちものをまとめると。
・本能字の敷地
・純潔(皐月様の神衣)
・生命戦維(秘密を知っているのは鬼龍院一族と纏博士だけだった)
皐月様のものだと思っていたものは、羅暁の手のひらの上。征服した傘下の学校が皐月様のもの、くらいでしょうか。
その割に父親は「花嫁衣装」だといって神衣・純潔を与えています。あれ、父どこいった?
羅暁の「私はあの子の気まぐれに付き合っているだけだよ」という台詞もポイント。
羅暁の持っている服はそれぞれに意志があるようで、あれが全部神衣だとしたら、現時点の皐月様や流子レベルで叶わない相手もバシバシ出てきそうです。
インフレどころじゃなくなったよ。まずは針目縫戦ですね。

・裁縫部って何者?
裁縫部の伊織、異常に皐月様との距離近い。
今回三つ星達は負けています。それをすでに改良する計画を立てている。
ということは、負けたから無星にするわけではなく、四天王は四天王のまま、というお考え。
こんな極秘事項を知っているのが、皐月様の他には伊織しかいない。
犬牟田よりも知っているってちょっと、どうなってるの?

過去回想シーンで、生命戦維に取り込まれてしまう人間の様子を、黄長瀬が見ていました。
あれがもし裁縫部だとしたら、彼は今後キーになりそうです。

・絆糸の仕組み
猿投山、まさかの指先一つでダウンさ。やられ方が皐月様中学生時代と同じというのも悲しすぎる。
目まで縫ったのに! もっと強くなって再登場してください。
極制服には「絆糸」と呼ばれる、服であるための組織を作る糸があることがわかりました。
それを切ればどんな極制服でも一瞬で崩壊。見きれるものでは当然ない。

……とはいえ、>絆糸を切れば生命戦維や極制服は意味が無いという可能性を出してしまったのは本当にでかい。
これが、神衣にも通じるのか。
少なくとも、極制服はどう頑張っても、一瞬で破壊される可能性が出てしまいました。
今までの本能字学園の戦いのレベルと、次元が違う物語に突入します。

頑張って落ち着いて見ていたけど、やっぱり急展開だよ11話!
ただ、四天王とマコがどんどん仲良しになっていくのは、一筋の希望だなあ。

『キルラキル』BD 1巻
「キルラキル」オリジナルサウンドトラック

(たまごまご)