色々な分野の世界一。右上から「世界最強の緩まないハードロックナット」「持ち歌数世界一の歌姫初音ミク」「世界初の味覚センサ」「世界唯一の炭素繊維製より軽い木製自転車」

写真拡大 (全3枚)

日本の製品で「世界一」と言ったらどういうものを思い浮かべるでしょうか。
自動車?
テレビ?
実は、世界に占めるシェアの割合で見ると自動車は23%、テレビは38%とそう多くはありません。

では真の世界一は何か。例えばビデオカメラやデジタルカメラのシェアは世界で89%です。この圧倒的なシェアは世界一と言えるでしょう。その中の一眼レフカメラに至っては100%です。自動車の中でもハイブリット車は91%となっています。売り上げ規模は自動車などに比べると小さいながらも、こういった分野こそ「日本の製品は世界一」と言えるのではないでしょうか。

12月6日から未来館で開催されている「THE 世界一展〜極める日本!モノづくり〜」は、そんな古今東西日本の「世界一」の分野を集めた企画展示になります。

とは言ってもどんなものがあるのか、さっぱりわかりませんよね。実は全部で200点以上の「世界一」が展示されています。誰しもが知っているところではチキンラーメンや、ウォークマン、そして「持ち歌世界一の歌手」こと初音ミクが。あまり知られていなさそうなところでは、水族館の分厚い透明な巨大な水槽や、味を数値化できる味覚センサなどもあります。

残念ながら実機が動いているデモはないのですが、味覚センサは面白いです。その食材の甘味、うま味、塩味、苦味、コクを数値化します。じゃあいったいこれで何ができるかというと、あれです。「プリンに醤油をかけるとウニの味になる」ということが本当に科学的に正しいということを証明できてしまうのです。今回の展示では「麦茶と牛乳と砂糖でコーヒー牛乳の味になる」を展示してあり、レシピも公開されていました。ちなみに牛乳100cc、麦茶30cc、砂糖5gでした。興味のある方は是非やってみましょう。

こういった日本の「世界一」は、おもてなしの心や日本人の昔からの習慣がその源になっているものがたくさんあります。例えば今の情報化時代に欠かせないマイクロプロセッサ。これが作られた経緯を乱暴にまとめると、こんな感じになります。

みんなそろばんを使っていた→そろばんより大きい電卓は売れない→じゃあ小さい電卓を作ろう→そのためにはマイクロプロセッサが必要だ

こうしてビジコン社とインテル社が共同開発したIntel4004が、世界初のマイクロプロセッサとなり、今の情報化社会を支えているのです。日本人がそろばんを使っていたから今日があると思うと、面白いですね。

もちろん日本の職人の超絶技巧を元に作られている「世界一」もたくさんあります。プレス内覧会でも披露された打ち出し板金で作られたアルミのバイオリンやチェロは、新幹線と同じタイプの特殊なアルミ合金をハンマーで何度も叩いて造り上げたもの。見た目が美しいだけでなく、見事な音色を奏でます。リハーサルで演奏された様子はこちらで見ることができます。

また、桂由美デザインによる2着のウェディングドレスもすごい。真珠が13262個使われているドレスもさることながら、8デニールの太さ(髪の6分の1の太さ)の絹を使ったウェディングドレスは総重量わずか600gだそうです。1平方メートルで5gの生地というのも職人技で作られています。なお、会期中の2014年3月3日までは真珠ドレスが、2014年3月5日から5月6日まではシルクドレス(最軽量ドレス)が展示されます。

他にも日本古来の木造建築物に使われている「くさび」にヒントを得て作られた、絶対に緩まない「ハードロックナット」のように、昔の技術を今の職人が生かして造り上げた世界で唯一のものもあります。とにかく展示点数が多く、また思いも寄らぬものが日本の世界一だったりもする驚きがあるので、たっぷり時間を確保して見に行くのがオススメです。
(杉村 啓)