SmartNews問題で考える米国と日本のスタートアップの広報・サポート体制
年末に起きたiPhone用ニュースリーダー・アプリのSmartNewsの議論が未だ終わりません。年が明けても切り口を変えたエントリーが見られます。こうした議論については、他のエントリーを見てもらうとして、一連の流れの中で浮かび上がった、スタートアップの広報・サポート体制の課題について考えてみたいと思います。
まずは簡単にコトの経緯を説明します。SmartNewsは様々なサイトからのニュースを集約し、ローカルのキャッシュに保存しておくことで、iPhoneが圏外の時でもニュースが読めるというサービス。しかしこれが著作権上問題があるのではないかという話になりました。
ニュースを提供する多くのWebメディアは、UUやPVによる広告収入がライフラインなので、SmartNewsで見られたら金にならないのではないか? という不安も背景にはあるでしょう。中には、直接問い合わせをした人もいましたが、返答はなかったようです。
提供会社はこうした意見に対し、著作権専門の弁護士にも確認をとった結果、現行の著作権法上、当該サービスは合法の範囲内であるという見解を自社のWebサイト上で明らかにしました。その後は表面上、会社も、代表のTwitterもだんまり状態になっています。
僕自身はSmartNewsは使いやすいし、うまいなとも思いますが、合法か非合法なのかは法律の専門家ではないのでよく分かりません。ただ、感情論でも是か非かという議論が起きていることを考えると、このサービスの広報・サポート体制は問題があると感じています。まず広報としては、対応力が弱すぎますし、サポートとしては、問い合わせが「mailto:」しかないという不十分な状態です。
■Twitterも創業まもなくサポート体制を持つ
広報については多くのノウハウが必要になってきます。スタートアップがこのスキルを最初から持つのは困難といわざるを得ないでしょう。そのため、広報体制を整えるためには外部の専門企業とタッグを組むケースが多いです。
一方で、サポートは広報とは異なり、サービスの中身をよく知るスタッフが行うのが本来は望ましいと言えます。
人が人に対して何らかサービスを提供する以上、サポートをする必要がでてきます。無料のサービスやソフトウェアであっても、利用者側の疑問に答えたり、機能で対応したりといった顧客サポート体制を整えています。
たとえスタートアップ企業であっても、サービス提供者はサービス利用者の「?」に対応していく体制を整えなくてはいけません。とりわけ、B2CやB2B2Cの新規サービスにとっては、このバックエンドを視野に入れることはも
はや必要不可欠になりつつあります。
実際、TwitterやDropboxなど米国スタートアップ企業は、開始まもなくサポート体制を整えだしました。ところが、ほとんどの日本のスタートアップはサポート体制を整えていません。先述のSmartNewsを展開しているゴクロも問い合わせは「mailto:」しかありません。これはなぜでしょうか?
■サービスを提供する以上、サポートは必要不可欠
通常日本国内でユーザーに対するサポートをしていくには膨大なコストと人件費がかかります。そのため資金や人材に余力のないスタートアップは二の足をふむのです。しかし、米国ではこのコストと人件費を抑えるためのサービスを提供するスタートアップが登場しました。例えばTwitterやDropboxが使っているのは、Zendeskというサービスです。Zendeskでは、ユーザーに対するサポートをクラウド上で行えます。
ユーザーからの問い合わせにしっかり答えているか、また自社や自サービスについてソーシャルメディア上でどうつぶやかれているかなどを管理・対応でき、スターターというスタートアップ向けの料金プランは1年でたった20ドル (しかもこの20ドルのスタータープランの収益をZendeskは全額寄付している
そうです)。
そのZendesk社からサポートサービスの導入企業が2万5000件になったというリリースが18日に配信されました。2万5000件目はパーソナルクラウドサービスの「Evernote」だそうです。どの企業もユーザーとの対話を望んでいるでしょう。でも、成長する企業の多くは望むだけではなく、実際に行う。効率的に行うためにサービスを選び・導入する。ユーザーの幸福度が増すことで、結果自分たちにも利があることをわかっているからでしょう(投資家たちからの注目度も高いようで、Zendesk社は2012年9月に6000万ドルの資金調達をしてい
ます)。
もちろん、こうしたサービスはZendeskだけのものではありません。SupportBeeなど複数あり、企業側が選べる立場になっています。
Zendesk日本語版
編集長 中村祐介
まずは簡単にコトの経緯を説明します。SmartNewsは様々なサイトからのニュースを集約し、ローカルのキャッシュに保存しておくことで、iPhoneが圏外の時でもニュースが読めるというサービス。しかしこれが著作権上問題があるのではないかという話になりました。
提供会社はこうした意見に対し、著作権専門の弁護士にも確認をとった結果、現行の著作権法上、当該サービスは合法の範囲内であるという見解を自社のWebサイト上で明らかにしました。その後は表面上、会社も、代表のTwitterもだんまり状態になっています。
僕自身はSmartNewsは使いやすいし、うまいなとも思いますが、合法か非合法なのかは法律の専門家ではないのでよく分かりません。ただ、感情論でも是か非かという議論が起きていることを考えると、このサービスの広報・サポート体制は問題があると感じています。まず広報としては、対応力が弱すぎますし、サポートとしては、問い合わせが「mailto:」しかないという不十分な状態です。
■Twitterも創業まもなくサポート体制を持つ
広報については多くのノウハウが必要になってきます。スタートアップがこのスキルを最初から持つのは困難といわざるを得ないでしょう。そのため、広報体制を整えるためには外部の専門企業とタッグを組むケースが多いです。
一方で、サポートは広報とは異なり、サービスの中身をよく知るスタッフが行うのが本来は望ましいと言えます。
人が人に対して何らかサービスを提供する以上、サポートをする必要がでてきます。無料のサービスやソフトウェアであっても、利用者側の疑問に答えたり、機能で対応したりといった顧客サポート体制を整えています。
たとえスタートアップ企業であっても、サービス提供者はサービス利用者の「?」に対応していく体制を整えなくてはいけません。とりわけ、B2CやB2B2Cの新規サービスにとっては、このバックエンドを視野に入れることはも
はや必要不可欠になりつつあります。
実際、TwitterやDropboxなど米国スタートアップ企業は、開始まもなくサポート体制を整えだしました。ところが、ほとんどの日本のスタートアップはサポート体制を整えていません。先述のSmartNewsを展開しているゴクロも問い合わせは「mailto:」しかありません。これはなぜでしょうか?
■サービスを提供する以上、サポートは必要不可欠
通常日本国内でユーザーに対するサポートをしていくには膨大なコストと人件費がかかります。そのため資金や人材に余力のないスタートアップは二の足をふむのです。しかし、米国ではこのコストと人件費を抑えるためのサービスを提供するスタートアップが登場しました。例えばTwitterやDropboxが使っているのは、Zendeskというサービスです。Zendeskでは、ユーザーに対するサポートをクラウド上で行えます。
ユーザーからの問い合わせにしっかり答えているか、また自社や自サービスについてソーシャルメディア上でどうつぶやかれているかなどを管理・対応でき、スターターというスタートアップ向けの料金プランは1年でたった20ドル (しかもこの20ドルのスタータープランの収益をZendeskは全額寄付している
そうです)。
そのZendesk社からサポートサービスの導入企業が2万5000件になったというリリースが18日に配信されました。2万5000件目はパーソナルクラウドサービスの「Evernote」だそうです。どの企業もユーザーとの対話を望んでいるでしょう。でも、成長する企業の多くは望むだけではなく、実際に行う。効率的に行うためにサービスを選び・導入する。ユーザーの幸福度が増すことで、結果自分たちにも利があることをわかっているからでしょう(投資家たちからの注目度も高いようで、Zendesk社は2012年9月に6000万ドルの資金調達をしてい
ます)。
もちろん、こうしたサービスはZendeskだけのものではありません。SupportBeeなど複数あり、企業側が選べる立場になっています。
Zendesk日本語版
編集長 中村祐介