14日(土・現地時間)、オレゴン州ポートランドのローズ・ガーデンで行われるStrikeforce「Rockhold vs. Kennedy」に日本から廣田端人が出場する。

青木真也が頂点に位置する国内ライト級において、川尻達也がフェザー級に転向した今、廣田は北岡悟と共にトップ3に数えられるファイターだ。数々の名選手たちを輩出してきた修斗新人王を経て、CAGE FORCE、戦極、DEEPと3団体でライト級のタイトルを獲得。対戦相手を見ても、北岡と菊野克紀に直接対決で勝利しており、今回が満を持しての北米=ストライクフォース参戦となる。

その廣田に用意された相手は30戦以上のキャリア、ストライクフォースでも5勝1敗の戦績を誇るパット・ヒーリーだ。元々はウェルター級でチーム・クエスト所属という経歴から想像できるように、その戦い方はフィジカル+テイクダウンという典型的なレスリングスタイルだ。その一方でガードポジションからの仕掛け、ロックアップからのスイープも使いこなす。

ストライクフォースで唯一の敗戦となっているジョシュ・トムソン戦でも、粘り強くしつこいテイクダウンでトムソンを苦しめ、リアネイキドチョークを取られるまで明らかにポイントで優勢だった。ライル・ビアーボムと繰り広げた、これぞMMAレスリングの削り合いといえる攻防は、ヒーリーの戦い方を象徴した試合だったといえるだろう。

廣田としてはヒーリーのテイクダウンを、どれだけ阻止できるかが勝負の分かれ目だ。パンチでのフィニッシュが目立つ廣田だが、クリンチワークにも長け、四つ組み&差しの強さがパンチ主体の試合運びを支えている。

国内での試合では、この部分で対戦相手に主導権を握らせずに戦い続けることが出来たが、ヒーリーのような屈強なレスラータイプとの対戦はなかった。またCAGE FORCEでの試合経験もあるが、そこではヒーリーが得意とするケージレスリングの攻防が多かったわけではない。廣田にとってはヒーリーと相対することで初めて体感するものがあるはずだ。

ただし、廣田も昨年夏にジャクソンズMMAで長期トレーニングを積み、そこではジョン・ジョーンズのレスリングトレーナーからMMAレスリングの手ほどきを受けた。廣田と行動を共にした石渡伸太郎は、帰国後の試合でその成果を存分に発揮し、殴り合い上等の戦い方からテイクダウンを交えたスマートな戦い方に変貌を遂げている。

もともと器用なタイプの廣田もアルバカーキで学んだMMAレスリングを自らのスタイルに昇華しているはず。今年2月DEEPでの池本誠知戦では、池本との相性と試合展開もあり、らしさを見せる場面は少なかったが、ヒーリーとの一戦では、まさにテイクダウンの攻防が鍵を握ることになる。ジャクソンズMMAでの武者修行から約10カ月、再びアメリカに渡る廣田が米国で学んできたものが何かを問われる試合に挑む。
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