アブラモビッチは2011年の散財が何のタイトルにも結び付かず監督をまた一人解任したこともあり、今年は静かだ。シティは、UEFAにFFP正式導入の2014-15シーズンを前に、収支をチェックされる2012年、2013年の会計がどうなるかを懸念している。この移行期間の間も、オーナーがそれをカバーするのであれば、4,500万ポンドまでの損失しか認められていない。オーナーのアブ・ダビは、カルロス・テヴェスとの衝突があったにせよ、マンチーニはシェイク・マンスールが買収以来3年半の間に投じてきた8億ポンドの投資でリーグタイトルを勝ち取るべきだ、と判断した。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リバプールは、利益を上げようとするアメリカ人オーナーが保有しており、トロフィーによる自らのアドレナリンのために資材を投じたりはしないことから、彼らが出費を抑えているのは驚きではない。フェンウェイのオーナーであるジョン・ヘンリーは、キャロル獲得のためにニューカッスルに支払った金額は、トーレスの移籍金で得た金額に紐付いている、と語った。多くの出費をしながら、リバプールの収支はトントンだった。

こうしたメガクラブを除けば、プレミアリーグは以前に比べて安定化の傾向が強まっている。トッテナム・ホットスパー、ニューカッスル・ユナイテッド、ストーク・シティ、アストン・ヴィラ、サンダーランド、フラム、ウォルバーハンプトン・ワンダラーズなどは、資金力のあるオーナーの下でも、慎重に資金を使い、湯水のような出費には断固とした姿勢をとっている。デイビッド・モイーズが嘆くようにエヴァートンには使う資金は無く、降格圏内に沈むクラブがパニックに陥っての出費も少なくなってきた。

UEFAは、FFPが既に移籍金の高騰を抑えると言う目的のために機能し始めていると考えており、各クラブにも徹底を奨励している。比較的静かだった移籍市場の動きだけで判断するのは早計だが、選手にかけるコストについて、新たな慎重なアプローチができてきているのだ。絶え間のない野望や、金持ちの我慢弱さ、苦闘する者の必死さが実際の価値以上に金を使わせることは、穏やかになることはあってもなくなることはないだろう。

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スパーズの名前もチラリと出てきたけど、スパーズの場合は監督交代のサイクルがやってくる可能性があることも影響してるかな、と。今は脱税の件で裁判中だけど、本当に代表監督になれば、後任監督が好みの選手を獲るための資金はプールしておく必要がある。ベテランのレンタルが多いのもそういうことなんだな、と。