『名水と、蛍の里に盟主あり』……七田/天山のお酒を10種類をじっくりと味わうことのできる会でした。

写真拡大 (全3枚)

九州といえば、焼酎のイメージが強い。だけれども、実は、日本酒もとっても美味しいことをご存知だろうか? 『名水と、蛍の里に盟主あり』というキャッチに引きつけられる酒蔵。佐賀県にある天山酒造がつくる『七田/天山』。この『七田/天山』の会が、東京で開催された。

会場となったのは、京浜東北線の大森駅から徒歩2分ほどの場所にある日本酒のお店・吟吟。吟吟は、月に数回、蔵元が開かれており、今回で144回目。日本酒の作り手と近い、とても希少なお店である。

さて、今回は、天山酒造の六代目蔵元・七田謙介さんを囲みながら、10種類の天山酒造の造る日本酒を頂いた。

このお酒のポイントの一つは、“お水”。
「お酒よりも、仕込み水が一番美味しいです」と、七田さんが冗談を飛ばしていたが、とっても綺麗なお水でできているのを感じ取ることのできる味わい。

「酒蔵の前を流れる祇園川は、天山山系の水集める清流で、源氏ボタルの発祥の地とも言われています。5月の下旬〜6月上旬になると、10万匹もの蛍が飛び交います。自称、蛍の日本一の街。林の中で無数の蛍が光、初夏のクリスマスのような幻想的な雰囲気を作り出します」
このように七田さんは語る。本当に自然が豊かな場所で造られている日本酒。ちなみに、同じ水系の清水の滝は、日本の名水百選にも指定されている。

もう一つのポイントは、“お米”。
酒米も、主に佐賀県産の良質な酒米を使用。酒造好適米の代表とも言われる山田錦に関しても、地元の農家と直接契約栽培。“天山酒米栽培研究会”も開催しており、十数件の農家とどうしたら美味しいお米をになるかを研究しているという。

「元々、天山というブランドでやっており、今でもメインブランドは、天山。2001年からは“七田”という自分の苗字をつけたブランドを始めました。お米のうまみを全面に引き出そうということで、お米の旨みと酸味のバランスを意識しながら造ったお酒です」
と、七田さんが言うように、豊かな自然の元でのお水と、こだわりのお米。この2つがお酒の味を特徴づけているといえる。

この日いただいたお酒には、お米を敢えてあまり磨かない、七割五分磨きで造られたお酒が多く取り揃えられていた。中には、平成14年の七田ができた当初のお酒も……。どのお酒も、研究が重ねられ、丁寧に、真摯に、酒造りに取り組んでいるのがわかる味。

七田さんご自身の理想の味わいを確立させるべく立ち上げたブランド「七田」から、これからも目を離すことができない。作り手の話を聞きながら、そのお酒を嗜む……とても有意義な時間であった。
(ナナ)