先制点を決める岡崎。ハットトリックを達成した。(Photo By Tsutomu KISHIMOTO)

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どんより曇って時折小雨が降る中東の空の下、2022人の観客を集めたグループリーグ最終戦、サウジアラビア対日本は、日本がゴールラッシュを見せて5−0と大勝した。日本は前回大会準決勝で2−3と敗れた借りをたっぷり返した。

連敗してすでに大会からの敗退が決まっていたサウジアラビアは、初戦の敗退で監督が交代し、2戦目の敗戦後にサッカー協会長の交代が発表されるなどチームを取り巻く環境が激変していた。

対する日本は引き分けでもトーナメント進出が決まる状況だった。だが、松井が右足の肉離れでチームを離れることになり、また本田圭も左足首負傷で先発メンバーを外れた。松井の代わりに右サイドに入ったのは岡崎、トップ下は柏木が務め、グループリーグ突破を目指した。

両者の置かれた状況の差は、試合開始後すぐに現れた。8分、遠藤からのロビングパスに岡崎が抜け出し、飛び出したGKの頭上をふわりと抜いて先制点を挙げる。サウジアラビアはチェックが甘く、日本は思い通りにゲームを支配した。

日本がシリア戦との違いを見せたのは13分、左サイド香川のパスに逆サイドの岡崎がヘディングで合わせて追加点を奪う。なかなか追加点が奪えずに苦しんだ前の試合とは違って、日本は2点目を奪ったことでサウジアラビアの動きをますます鈍化させることに成功した。

さらに、この日の日本には詰めの甘さがなかった。先制し、突き放し、トドメまで奪ったのだ。19分、長友のクロスを前田が丁寧に押し込み3点目。その後もサウジアラビアを攻め続け、前半を終えた。

後半、ザッケローニ監督はこの日警告を受けて次の試合に出場できなくなった内田に代え、伊野波を投入する。すると51分、その伊野波が右サイドからクロスを上げ、前田がGKの直前でヘディングして4点目を決めた。

その後、しばらく両チームとも停滞したものの、最後は76分、ペナルティエリアで前田からのパスを受けた岡崎が鋭くターンして抜け出し、ゴールラッシュを締めくくった。

本田圭と松井を欠きながら大量得点、岡崎はハットトリックを決め、ワントップの前田も2ゴール。柏木と本田拓にも出場機会を与えるなど、日本は余裕の戦いぶりを見せながら1位でグループリーグ突破を決めた。

だが、懸案事項は残った。まず、鋭い動きは見せているものの、香川にゴールが生まれない。この日もアシスト後は次第に動きが小さくなり、良さを十分生かせなかった。10番に早く1点がほしいところだ。さらに、この日、温存した本田圭がどこまで回復するかも、次節を占う大きな要因であることは間違いない。そして、準々決勝で対戦するカタールは両サイドからの攻撃を得意とする。その相手に対して本職の右SBを欠くことは不安要素となる。なにより相手はホームの後押しを受けて2戦目から立ち直り、勢いを増しているのである。そのアジアカップ準々決勝、日本vsカタールは日本時間の1月21日、22時25分にキックオフ。


レポート/森雅史