お気楽主腐の萌え語り
みなさまはじめまして、天汐香弓です。
この度、「お気楽主腐の萌え語り」というタイトルで、腐女子的なお話を書かせていただく事になりました
腐女子が、多数のメディアに取り上げられていますが、そう言った腐女子について論じるではなく、1人の腐女子から見た、萌えの話が中心です。
BLもやおいも恋愛表現の一つだと思っていただけたら、幸いです。

このような世界に足を突っ込んだのは中学生の時でした。
当時、クラスに馴染めなかった私と懇意にしてくれた友人が持って来てくれた1冊の本。人気アニメの”同人誌”と呼ばれるものでした。
今でこそ、同人誌なんてアニメイトさんやまんだらけさんに行けば手に入りますが、当時は「OUT」などの雑誌を読んで通販をするか直接即売会に行くしか手に入れる方法はありませんでした。
どう言う経緯で手に入れたのかは知りませんが、好きなキャラクターがメインだからと言われてもらったその本の内容が「やおい」と呼ばれるものでした。

これだけなら、元々免疫があっただけじゃないの?と思われるかもしれません。

ですが、家に帰って読んだその本の内容は、男の子が男の子を好きになる事の苦悩が描かれていたのでした。
片思いぐらいしか経験のない私でも、好きになってはいけない、好きになった事を悟られてはいけない恋愛の苦しさが分かるほど、読みながらボロボロと泣いていまして……
そうして、腐女子が出来上がってしまったのでした。

恋愛にタブーはつきものですが、男同士の恋愛は相手にも、世間にもなかなか認めてもらえない。相手に知られてしまうと嫌われてしまうかもしれない。
だからこの胸にだけ気持ちを思いとどめてしまえたらいいのに。

「あ、これそこに置いといて」
そう言って手渡された本を受け取った瞬間、指先に触れた固い感触に心臓が跳ねあがる。
放課後の図書室は試験期間中と言う事もあり、レポート材料の本を借りに来る学生が多い。
手垢のついた本を返却用の棚に並べながら、まだ消えない感触を思い出したように指先を見つめる。
大学の図書館でアルバイトとして採用されたのは僕と彼の2人だけだ。
他にも司書がいるからそれなりに人がいるのだけれど、返却用カウンターにはいつも彼と2人でいる事が多い。
「ごめん、これも」
「ああ、うん……」
今度は指先が触れないように気をつけて本を受け取る。

彼の事を好きかもしれないと思いはじめたのは最近だ。
真面目で、決められた事をそのとおりにする彼の事は学部が同じと言う事もあり良く知っていた。
最初こそこんな几帳面な人と一緒にやっていけるか心配だった僕の気持ちは、彼を知れば知るほど変わりだしていた。
そして、彼の事が好きなんだと……そう気付いた。

気付いてしまうと今度は僕の方がどうしていいか分からなくなった。
「好きだ」なんて言えるはずもない。そんな事を言えば彼に嫌われるだけじゃなく、周囲の目も怖かった。
だから前より一層慎重に彼の前では振る舞わなければいけなかった。悟られないように、避けてしまわないように。

時々、だけど、肩を叩かれたりこうして本を介して触れたりすると上手く自分をセーブできない。
「これ、戻してくる」
「悪い。頼むな」
胸の音を聞かれたくない。そうなるとこうして席を立って棚に並んだ山積みの本を元の場所に戻しにいく。

片思いは辛い。そんな話を何処かで聞いたような気がする。
だけど、この片思いは辛すぎる。
溜め息をつき本を元の場所へと戻しながら、その一方で彼に会えない世界は嫌だとそう思う自分も嫌だった。


BLもやおいもフィクションの世界ですから、こうして片思いであっても話の中では報われないだけの恋では終わらない事も普通です。
でも、誰を好きになってもこんな感情ってあるかもしれない。そう思うと、少しだけBLもやおいも分かりそうな気がしませんか?

次回は、片思いだけじゃない。その後の話にも腐女子目線で切り込んでみたいと思います。

■ライター紹介
【天汐香弓】

携帯サイト【BL乱舞♂乙女の箱庭】などでBL小説を発表をしつつ、一方で小学生のお母さんをこなす主婦。
日課はBL小説のメルマガ配信。
色々なシチュエーションに出会う旅にBL変換させる事が趣味。



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