【オピニオン】職務・役割に基づく賃金制度で、エイジレスな雇用社会を−日本人材ニュース
 今年5月、日本経団連が『仕事・役割・貢献度を基軸とした賃金制度の構築・運用に向けて』と題する提言を発表した。従来の年功的賃金制度を払拭し、仕事・役割を基軸とする賃金制度への転換を呼びかけたものだ。従来の年功・職能資格給は年齢とともに賃金が上昇する傾向にあるが、職務・役割給は携わる仕事やポストで賃金が決定し、総額人件費管理がやりやすいというメリットがある。

 すでに大手企業を中心に仕事・役割給の導入が進みつつある一方、年功に関係ないだけに賃金格差も生まれている。

 日本経団連21世紀政策研究所の企業調査(08年3月)によると、大卒ホワイトカラーの月額給与の最高給与と最低給与の格差は35歳で40%、45歳で60%もついている。回答企業の中では45歳の最高額は平均額の2.2倍というところもある。

 仕事・役割給の普及は、米国の職務給ほど厳格ではないにしても労働市場における賃金相場形成に寄与していく可能性もある。大企業での勤続年数や職務・役職だけではなく、企業における職責・役割(等級)が市場価値を決定する重要な要素として注目される時代になるかもしれない。

 仕事・役割給の効用はそれだけではない。非正規社員の安定的処遇や65歳定年延長も可能になる。定年延長になれば総額人件費が増加することになり、二の足を踏まざるを得ない企業もある。

 そのためには少なくとも管理職層に対しては従来の年功・職能給を廃止し、仕事・役割に基...(もっと読む


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