【オピニオン】労働分配率に占める人件費の再考を−日本人材ニュース
 景気回復にもかかわらず賃金が上がらない―。今年こそ大幅賃上げを、と期待された春闘だったが、結局、蓋を開けて見れば期待を裏切る結果となった。日本経済新聞社がまとめた主要企業の賃上げ率は1.74%と前年をわずかに0.09ポイント上回る水準にとどまった(3月24日)。労働組合の連合の調査(3月末)でも1.97%と前年比0.03ポイントアップにすぎない。


 確かに今年に入り経済環境は急変した。サブプライムローン問題に端を発した米経済の失速や急速なドル安・円高の進行が賃上げに対する経営側の姿勢を萎縮させたのは事実だろう。

 しかし、あくまでも先行き懸念であって現在の業績の実態に直接影響を与えているわけではない。

 なぜ賃金は上がらないのか。90年代半ば以前までは会社業績がストレートに賃金に反映されていたが、90年代後半以降はその関係が完全に崩れてしまっている。その原因は失われた10年の間に経営者に染みついたコスト意識、とりわけ人件費コストに対する敏感すぎる削減意識である。

 人件費削減のために正社員をリストラする一方、賃金の安い非正規社員で代替してきた。その結果、今では正規社員に占める非正規社員比率は33%を超えている。

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