【オピニオン】「仕事と生活の調和」は画餅に帰すか−日本人材ニュース
 長時間労働が大きな問題になっている。パートを除く一般労働者の総実労働時間は02年の1996時間から06年には2023時間に増加している(毎月勤労統計)。パートも含めた所定外労働時間は02年の137時間から155時間(06年)に増加しているが、一般労働者だけであればさらに増えているのは間違いない。いうまでもなく長時間労働は心身の健康を蝕む。事実、過労死・過労自殺は増加しており、最近の「名ばかり管理職」訴訟の増加も長時間労働問題が背景にある。

 現在、仕事と生活の両立を目指すワーク・ライフ・バランスの推進が官民上げて叫ばれているが、はたして長時間労働に歯止めがかかるのか。かけ声だけでブームに終わりはしないかと危惧を感じないでもない。

 というのは長時間労働を発生させる原因と対策に労使の共通の認識がないのではないかという疑念があるからだ。

 原因については様々な観点からの分析が行われている。それは大きく個人の側に帰するものと会社側のマネジメントを含む働かせ方の2つに分かれる。

 個人の問題として指摘されるのがサボタージュ説だ。本来、勤務時間内に終わる仕事量にもかかわらず、だらだらと仕事をするために残業をせざるをえないというものだ。最近では学生時代に夏休みの宿題を期限ぎりぎりまで引き延ばした経験を持つ人ほど長時間労働が多いという経済学者の分析も出ている。

 残業代という金銭的利益を得るためという指摘もある。これは...(もっと読む


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