北京市内全域でドローン保有禁止へ、小型機衝突が背景か…見つかると没収や罰金も
北京市は11月中旬から、上空の安全強化のため、市内全域でドローン(無人機)の保有を禁止する。
東京都の7・5倍あるエリアで家庭用の所持すら認めない厳格な規制となる。市中心部で起きた高層ビルへの小型機衝突が背景にあるとみられ、来年の共産党大会を前に習近平(シージンピン)政権は安全対策に神経をとがらせている。(北京 東慶一郎)
19日、北京市郊外のドローン大手の販売店では、小型カメラやその関連用品だけが販売され、客もまばらで閑散としていた。男性店員は「北京は規制がどんどん厳しくなって、うちの目玉商品のドローンは売ることもできないんです」と苦笑いを浮かべた。
北京市では5月から、新たな規定に基づき、ドローンの販売や無許可での飛行が禁止された。保有については1か所で3台まで認められていた。しかし、今月改定された規定では、11月15日から個人・法人を問わず、ドローンや主要部品の保有が一律に禁止された。
ドローンの保有者に対しては、施行日までに当局指定の業者に売却するか、廃棄処分にするかを求めている。回収に協力すれば補助金が支払われ、北京市の外に移すことも促している。
保有が見つかると、当局がドローンを没収した上で、個人は5000元(約11万5000円)以下、組織は5万元(約115万円)以下の罰金となる。
中国のSNSでは、「子どものおもちゃのようなのもダメなのか」「草木皆兵(草や木まで敵に見えておびえる)のようだ」といった疑問や批判が上がっているが、当局は次々に削除して不満の芽を摘み取っている。
規制強化はドローンだけでなく、有人飛行も対象になる。今月20日からは、北京と周辺の上空が「飛行禁止区域」に設定される。民間航空機や緊急救助活動を除く一部航空機が対象で、観光目的の遊覧飛行などが影響を受ける可能性がある。
規制強化の背景には、北京市中心部で起きた航空機衝突事案があるとみられている。6月26日、小型機が市内で最も高いビル(高さ528メートル)に突っ込み、操縦士の男性(当時66歳)が死亡した。当局は自殺だったと示唆して火消しを図るが、ビルから西約7キロには、国家指導者の執務・居住区「中南海」があり、様々な臆測が飛び交った。
習政権は、ドローンなど低高度の空域を利用するビジネスを「低空経済」と呼び、成長分野と位置づけてきた。だが、小型機の衝突以降、観光地でのドローンを使った空中ショーの中止が相次いでおり、経済より安全を優先する政権の姿勢が改めて浮き彫りになっている。
