脂肪肝を改善し、肝臓をいたわるには何を食べるといいか。肝臓外科医の尾形哲さんは「脂肪肝改善には、同じ熱量の糖質と比べて太りにくく、満腹感も得られる栄養素が欠かせない。その栄養素を含むお勧めの7つの食材は冷蔵庫に常備しておくといい」という--。

※本稿は、尾形哲『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)の一部を再編集したものです。

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■糖質を半分に減らしたら野菜は2倍に

脂肪肝を改善するために精製糖質を半分に減らしたら、必ず野菜を倍に増やしましょう。

私たちが行った臨床研究の結果から、肥満・脂肪肝患者さまは、野菜の摂取量が日本人の推奨摂取量の約半分であることがわかりました。

また、減らした炭水化物にも食物繊維が含まれているため、減らした分以上に食物繊維をとらないと、必ずといってよいほど便秘になってしまうのです。

では、どのくらいの野菜を食べればよいのでしょうか?

1日に少なくとも350g以上食べることをおすすめしています。野菜1日350gで、食物繊維の目標値である1日20g程度になるのです。

1回の食事で食べる野菜を1皿70gと換算し、1日5~6皿食べるのが目標です。

出所=『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

■野菜は生でとらなくていい

野菜は、必ずしも生でとる必要はありません。

たとえばビタミンC単体では熱に弱く、加熱すると単体では壊れてしまい、補酵素として働かなくなることが知られています。しかし、野菜の細胞内のビタミンCは、抗酸化物質との共存のため、加熱しても壊れにくいのです。

ビタミン、ミネラル、食物繊維の補給のために、安心して加熱した野菜をとってください。

具だくさんみそ汁、野菜スープを毎日食べることで、腸内環境も改善し、肝機能が改善していくでしょう。

写真=iStock.com/Koki Iino
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ただし、注意点があります。イモ類(ジャガイモ、サツマイモ)、カボチャ、トウモロコシは野菜ではありますが、糖質が多く、これらを食べる際には、主食の代わりとして食べたほうがよいでしょう。

■1食あたり20g~40g未満のタンパク質を

タンパク質は、①筋肉、内臓の原料となる②満腹感、満足感が得られる③同じ熱量の糖質と比べて太りにくいといった利点があり、脂肪肝改善のためには欠かすことのできない栄養素です。

肝臓をいたわる食事のためには、タンパク質と野菜(食物繊維)を優先的に食べる習慣をつけることが重要です。ただし、タンパク質も過剰にとると、長期的には健康を害することが報告されています。

では、どのくらいタンパク質を食べればよいのでしょうか?

外来では、1食少なくとも20gのタンパク質をとり、40gを超えないようにすることを指導しています。1日量の目安は、現在の体重(kg)の数字(g)を下限として、その1.3倍が上限です。

70kgの方なら、1日に70g以上を目標とし、91gを超えないようにしましょう。

タンパク質は、一度に多量にとるよりも、1日数回に分けてとるほうが、筋タンパク合成の観点から効率的です。1日量を3回に分けてとることが、よい食べ方なのです。

■常備したいタンパク質「神セブン」

では、何からタンパク質をとればよいのでしょうか?

病気のリスクを減らすためには、まず、植物性タンパク質が効率よくとれる、大豆を最優先とします。

動物性タンパク質は、次の順位でとることをおすすめします。

①魚②鶏③牛・豚です。赤身の牛・豚は、過剰にとると心血管障害、癌のリスクが高まることが報告されていますので、魚と鶏を優先的に食べましょう。

おすすめのタンパク質7食材を「常備したい神セブン」として図表2にまとめました。ぜひ、参考にしてください。

出所=『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

■「卵は1日1個まで」は昔の話

ところで、卵は肝臓によい良質なタンパク質を含んでいます。

以前は「卵は1日1個までにしないとコレステロール値が上がる」といわれていましたが、これは、1970年代に行われた古い研究結果を根拠にしていたものです。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(※1)は2015年に改定された際に、コレステロールの目標量(上限)の記載が消えました。食事中のコレステロールだけで血中コレステロール値が決まるわけではなく、従来考えられていたほど単純な関係ではないことが明らかになり、目標量は「十分な科学的根拠がない」とされたためです。

※1 「日本人の食事摂取基準」……厚生労働省が5年ごとに作成する「エネルギー及び各栄養素の摂取量の基準を示すもの」。国民の健康の維持・増進、エネルギー・栄養素欠乏症の予防、生活習慣病の予防、過剰摂取による健康障害の予防を目的としている。現在の最新版は2025年版。

■魚、鶏、牛・豚は100gにつき20gと覚える

どの食材にどのくらいタンパク質が含まれているかをいちいち本で調べるのは面倒ですよね。

簡単な覚え方を図表3にまとめました。ぜひ、覚えてください。

出所=『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

魚、鶏、牛・豚は100gにつき、20gのタンパク質が含まれるとざっくり覚えておくとよいでしょう。100gは手のひら片手分程度。コンビニで売られているサラダチキンは、1本100gです。

その他の高タンパク食材は、7g単位で覚えるとよいでしょう。

卵1個、納豆1パック(50g)、豆腐1/3丁(100g)、油揚げ1枚(30g)、ヨーグルト(150g)、6ピースチーズ2個でそれぞれ7gのタンパク質をとることができます。特に朝食に20g以上のタンパク質をとると、1日に必要なタンパク質をバランスよくとることができます。

■肥満・脂肪肝蔓延の元凶

超加工食品(Ultra-Processed Foods)(※2)。

あまり聞きなれない言葉かもしれません。しかし、私たちの身の回りにあふれている、肥満・脂肪肝蔓延の元凶となっている食品のことです。

アメリカ糖尿病学会によりますと、超加工食品とは、「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる、常温で保存できたり、日持ちをよくしてある食品」のこと。

具体的には、スナック菓子、菓子パン、カップ麺、ハンバーガー、ケーキ・クッキー、ドーナツ、アイスクリーム、ミートボール・チキンナゲット、高カロリーの清涼飲料などです。

超加工食品はどのくらい肥満に影響を与えているのでしょうか?

※2 超加工食品……NOVA分類という、食品を加工の度合いで四つに分類した食品分類法の中の一つ。ブラジル・サンパウロ大学公衆衛生学部のカルロス・モンテイロ教授らが考案した。超加工食品は人の健康を脅かすとしている。

■同じ食材なのに500kcalも差が出る

アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究チームは、超加工食品と健康の因果関係を実証する次のような実験を行いました。

研究チームは、男性10人と女性10人の健康な成人、計20人のボランティアの協力で、NIH臨床センターの実験室で4週間の生活をしてもらい、超加工食品と最小加工食品を2週間ごとに摂取してもらいました。

どちらの食事もカロリー・炭水化物・タンパク質・食物繊維・脂肪・塩分などの含有量は同じに設定され、参加者は食べる量を自由に決めることが許されました。

尾形哲『ダイエットも健康も 肝臓こそすべて』(新星出版社)

その結果、超加工食品を食べると最小加工食品を食べたときに比べて1日に平均500キロカロリー多く摂取し、体重も増えることが明らかになったのです。

超加工食品は、食べても満腹にならないように、糖分、脂肪、塩分量が調整されて作られています。食べ始めると、やめられないように設計されているといい換えてもよいでしょう。

脂肪肝を改善したい方、健康的にやせたい方は、ここに挙げた食品を、まず半分に減らしましょう。あまりに日常食となっているため、ゼロにするのは難しいかもしれません。脂肪肝や耐糖能の程度に応じて、できる限り減らすことをおすすめします。

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尾形 哲(おがた・さとし)
肝臓外科医
長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。医学博士。一般社団法人日本NASH研究所代表理事。1995年神戸大学医学部医学科卒業、2003年医学部大学院博士課程修了。パリ、ソウルの病院で多くの肝移植手術を経験したのち、2009年から日本赤十字社医療センター肝胆膵・移植外科で生体肝移植チーフを務める。さらに東京女子医科大学消化器病センター勤務を経て、2016年より長野県に移住。2017年スタートの「スマート外来」は肥満解消と脂肪肝・糖尿病改善のための専門外来。著書に『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす7日間実践レシピ』『専門医が教える 1分で肝臓から脂肪が落ちる食べ方決定版』『専門医が教える肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(いずれもKADOKAWA)などがある。 尾形哲監修「脂肪肝改善 無料公式LINE」
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(肝臓外科医 尾形 哲)