コメ生産者への前払い目安「概算金」、山形では前年比4割ダウン…コスト割れ「稲作を誰もやらなくなる」
JA全農山形は7日、生産者に渡す前払い金の目安となる2026年産米の「JA概算金」(60キロあたり)を決めた。
主要3銘柄全てで、過去最高額を付けた前年より約1万1000円(約4割)引き下げ、現在の算出方法となった15年以降で最大の下落となった。コメ余りの状況が背景にあり、新米価格にも影響しそうだ。
JA全農山形が同日、山形市内で開いた運営委員会で決定した。JA概算金は、生産者の資金繰りを支える目的で各農協に支払われ、各農協はこれを基に、経費などを差し引いた「生産者概算金」を決める。
JA全農山形によると、作付面積の約6割を占める「はえぬき」が前年比1万1000円減の1万7000円、ブランド品種「つや姫」が同1万1000円減の2万円、「雪若丸」が同1万1400円減の1万7200円。引き下げは21年以来5年ぶりとなった。
大幅下落は「令和の米騒動」の反動が背景にある。米価高騰を受けて国は昨年、備蓄米計59万トンを放出。一方で、消費者のコメ離れも招き、今年6月時点の民間在庫量は243万トンと積み上がっている。この状況に、JA全農山形は「消費者に受け入れられ、生産者も営農を継続できる価格水準が必要」としている。
同JAでは、販売状況が好転した場合、概算金の追加支払いを検討している。米穀集荷販売課の奥山定治課長は「取引先にも生産コストに見合った価格への理解を求め、適正価格での取引につなげることで生産者の営農が持続可能になるよう取り組んでいく」と語る。
生産者からは不安の声
概算金の大幅下落に生産者からは不安の声も上がる。鶴岡市で22ヘクタールを栽培する農業法人「治右衛門」の原田裕治社長(67)は「農機具そのものや部品代に修理代、肥料や農薬も2~3割上がっている。今時、下がるものはないのに、こんなに下がるのはどうなのか」と不満を語り、「今回の概算金ではコスト割れだ。稲作を誰もやらなくなってしまう」と心配する。
鮭川村で約40年、コメ農家を続ける男性(59)も「価格に振り回されているようだ。一定の変動は仕方ないが、安定した収入が得られるようになれば、継いでくれる人も出てくるのではないか」と話した。
一方、天童市のスーパー「フードセンターたかき交り江店」の村上兵太郎店長(43)は、コメ価格への影響を懸念し「乱高下が激しいと消費者の購買意欲も安定しない」と嘆く。25年産「はえぬき」(5キロ、税抜き)の価格は昨秋4380円まで上昇したが、今では特売で2780円。新米の価格設定について「生産者の利益も考えるとこれ以上は下げられない」と困惑する。
