100メートルを8.86秒で走れても工場ではネジ1本締められない…中国ロボット産業「希望の星」本当の実力
前編記事『習近平訪米を前に米国が制裁を連発…「中国包囲網」が強まるなか、BYDも減益に沈む中国経済の厳しすぎる現状』で見てきたように、米欧の圧力と内需低迷が中国を追い込んでいる。そんな中国が「希望の星」と頼むのが、ヒト型ロボット産業だ。
ロボットがウサイン・ボルト超え
不況にあえぐ中国経済にとって、希望の星はヒト型ロボット産業だ。
8月22~26日に北京で「第2回世界ヒューマノイドロボット競技大会」が開催された。
中国をはじめとした世界16カ国666チーム、合計2056体のロボットが集結。短距離走や重量挙げ、格闘など人間のスポーツを模した種目で性能を競いあう「競技型」、製造・組み立て、レストラン業務など特定の課題における実行能力を見る「シナリオ型」合計51種目が実施された。
世界からの注目を集めたのは中国のヒト型ロボットのパフォーマンスだ。100メートル走では人間の記録を破り、テニスや卓球などの分野でも高い能力を発揮した。
踊れてもネジは締められない
だが、中国国内ではロボット熱は冷めつつあるようだ。
中国の多くのメディアが最近、「中国のヒト型ロボットは華やかな展示会場を離れて、実際の工場に入る過程で技術的な限界にぶつかっている」と報じるようになった。中国企業はハードウェアで先行しているものの、ロボットを作業現場に投入するために必要なソフトウェアが不十分であることが要因だ。
最大の障害はデータ不足だ。人工知能(AI)はネット上にあふれる情報で能力を向上させることができるが、ロボットの場合、現場での経験の積み重ねが不可欠だ。このため、「踊りはできるが、ネジを満足に締められない」のが実態なのだ。
商用化に長い道のりがあるのにもかかわらず、投資マネーが殺到する様を見るにつけ、市場関係者は「ロボット・バブルが起きているのではないか」と眉をひそめている。
高齢化待ったなし
不景気の風は中国全土を覆いつつある。
中国メディアは「『中国経済が悪化しても大丈夫』と思われてきた上海でも、外貨、住宅、消費、雇用が同時に冷え込み、活気が失われつつある」と報じている。
上海市で急速に進む高齢化も心配だ。上海市の高齢化率(60歳以上の人口が全人口に占める比率)が昨年末時点で約38%となり、全国最高レベルになっている。
中国社会の高齢化は待ったなしだ。
中国政府によれば、昨年末時点で60歳以上の高齢者は3億2000万人となり、総人口の23%を占めた。2030年までに高齢者人口は3億9000万人に達し、高齢化率は約27%になると予測されている。だが、高齢化への備えは圧倒的に遅れ、定年年齢の引き上げも遅々として進んでいないのが現状だ。
日本にとって厄介な存在と化した中国だが、国力の衰退は明白だ。中国の挑発に乗ることなく、冷静な対応で臨むべきだ。
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