「クリスティン・ファン」の名でも知られる方芳(Facebookより)

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「彼女とは数回、身体の関係を持った」

【写真を見る】「政治家に色仕掛けを使うこともできる」と豪語──中国“美女スパイ”、華やかなドレス姿やプライベートショット

 11年前、FBI(米連邦捜査局)の聴取でそう認めたのは、のちに大統領選にも出馬することになる民主党の若手有望議員だった。

 検事出身で2013年に初当選し、トランプ大統領の弾劾裁判では、下院を代表して有罪を訴える"検察官役"も務めたエリック・スウォルウェル元下院議員(45)。2019年には民主党の大統領選にも出馬し、今年のカリフォルニア州知事選にも名乗りを上げた野心家だが、4月、複数の女性から性的暴行などを告発され撤退。その後、議員も辞職した。

 その騒動からわずか4か月後の今年8月、今度は10年以上前の"もうひとつのスキャンダル"が、機密解除されたFBI文書によって白日の下にさらされた。中国の"美女スパイ"、方芳(ファン・ファン)をめぐるハニートラップ疑惑だ。

「クリスティン・ファン」の名でも知られる方芳は、2011年にカリフォルニア州立大学イーストベイ校に入学。同年頃からカリフォルニア州ベイエリアの政治家たちに接近し、当時まだ地方議員だったスウォルウェルとも知り合った。その後、選挙戦の資金集めを手伝ったり、議員事務所にインターン候補を紹介したりするなど、急速に距離を縮めた。

 海外ジャーナリストが解説する。

「2人の関係は政治活動の支援だけにとどまらず、肉体関係へと発展。スウォルウェルは2015年のFBI聴取で、彼女と『数回』関係を持ったと認めています。

 さらに翌年の聴取では、方芳が夜、連絡もせず突然彼のアパートを訪れ、そのまま肉体関係を持ったこともあったと説明。この時、スウォルウェルは睡眠薬を服用していたため、『ほとんど覚えていない』とも話しています。

 方芳とスウォルウェルの関係自体は2020年に米政治メディア『Axios』が報じていましたが、今回初めて、本人がFBIに『数回』関係を持ったと認めていたことが明らかになりました」

「奇妙だと思った」中国旅行へ誘う方芳

 機密解除された FBI文書が一般公開されたのは8月17日。当時、カリフォルニア州知事選の民主党予備選で最有力候補だったスウォルウェルは、文書公開に先立ち、FBI長官に公開中止を求める書簡を送っていた。スウォルウェル側弁護士は「彼を中傷し、カリフォルニア州知事選への立候補を妨害しようとする明らかな企み」と主張したが、文書は公開に至った。

 さらにFBI文書には、ハニートラップ疑惑を彷彿とさせる方芳自身の発言も残されている。

「方芳は、覆面捜査官に対し、自らを『若くて美人』と評し、その気になれば『政治家に色仕掛けを使うこともできる』と豪語。その一方で、スウォルウェルから『中国版CIA(中国国家安全部、MSS)とつながっているのでは』と冗談を言われたと明かし、『政治家を誘惑するなら、MSS職員本人ではなく売春婦を雇うだろう』と煙に巻いています」(同前)

 2人は肉体関係を持ったものの、恋人同士にはならなかった。一方、方芳はスウォルウェルにたびたび中国行きを勧め、さらに彼の父親や家族にも中国旅行を持ちかけていた。後になって父親からその話を聞いたスウォルウェルは、「奇妙だと思った」とFBIに説明している。

 方芳が接近していた政治家は、スウォルウェルだけではない。米中西部の少なくとも2人の市長とは恋愛・性的関係を持っていたとされるほか、国家情報長官を務めたタルシー・ギャバードの資金集めにも関わっていた。

FBIは "二重スパイ"として方芳取り込みを検討していた

 さらに驚くべきは、FBIが方芳を、中国側の情報を引き出す"二重スパイ"のような情報提供者として取り込もうとしていたことだ。「Rusty Thumbs(ラスティ・サム)」というコードネームをつけ、2013年には覆面捜査官を接触させ、協力者として使える人物なのか、ひそかに適性を探っていた。

「FBI文書には、方芳の両親が『中国国家安全部(MSS)の情報機関員として知られている』との記述まであります。方芳自身について、担当官は『金と権力を強く求め、自己中心的・自己愛的な傾向がある』と分析。こうした性格が、協力者としての適性に影響する可能性を指摘していました。

 しかし最終的に、方芳を情報提供者として取り込むことを断念。その後、捜査の焦点は方芳が関わったとされる選挙献金疑惑へと移り、捜査が進む中で方芳は2015年に米国を去っています」(同前)

 一方、スウォルウェルは、今年相次いで浮上した性的暴行などの疑惑をめぐってもFBIの捜査を受けており、8月15日にはサンフランシスコ国際空港で携帯電話を押収されている。翌日には、妻と3人の子どもと暮らしていたワシントンD.C.の自宅にもFBIの捜索が入った。本人はいずれの性的暴行疑惑も否定しており、現時点で逮捕・起訴はされていない。

 かつて大統領を目指し、国家機密を扱う情報特別委員会にも名を連ねた民主党のスター議員。性的暴行疑惑をめぐってFBIが自宅を捜索した翌日には、今度は11年前に中国の"美女スパイ"との肉体関係を認めていたことまで報じられた。

 華々しかった政治家人生は、思わぬ形で再びFBIのスポットライトを浴びている。