ネパール土石流 被災地への国際支援が急務だ
ヒマラヤの町に突如現れた巨大な濁流が、橋や建物をあっという間にのみ込んでいく。
逃げる間などなかっただろう。現実とは思えぬ衝撃的な映像に、言葉を失う。
ネパールと中国の国境付近で大規模な土石流が発生した。死者は500人を超え、約2500人が行方不明という。
被災地は、中国西部チベット自治区とネパールの首都カトマンズを結ぶルートにあり、観光や巡礼で多くの外国人が訪れていた。不明者のうち700人以上が外国人とされ、日本人旅行者5人と連絡がとれていない。
人命救助と不明者の捜索が急務である。だが、現場はけわしい山岳地帯のうえ、土石流で道が寸断され、橋も破壊された。通信状態が悪く、被害の全容をつかむことすらままならない。
現場には医療機関が整備されていないため、負傷者の一部はヘリでカトマンズに搬送されているが、なお多くの人々が取り残されているという。
しかも被災地を流れる川の上流は土砂でせきとめられ、大量の水がたまっている。決壊すればさらに深刻な二次被害が予想される。監視態勢の強化も急がれる。
今回の土石流は、ヒマラヤ高地にある氷河が何らかの原因で崩壊して引き起こされた可能性が高い。被災地の近くでは、昨年にも同様の土石流が発生した。地球温暖化との関連を含め、原因究明と対策強化を進めねばならない。
ネパールでは昨年、政治家の汚職に抗議する大規模なデモが発生して首相が辞任するなど、政情不安が続いた。3月にシャー政権が発足したが、これほど大規模な災害に一国で対応できる体制が整っているとは言い難い。
国際的な協力が不可欠である。米国やインドなどは捜索隊の派遣を打診したが、ネパールは混乱が生じるとして断っているという。生存者の捜索は一刻を争う上、多くの外国人も被災した。ネパールは捜索隊を受け入れるべきだ。
今後は、支援物資の搬入に向けた道路の復旧などが課題となる。すでに各国や国際機関、民間支援団体が相次いで支援を表明しており、国連による調整も必要になるだろう。ネパールと連携を強化して難局を乗り切ってほしい。
日本では最近、飲食業などで働くネパール人が増え、在住者は昨年末時点で国別で5番目に多い約30万人に上っている。家族が被災した人もいる。日本もできる限りの支援を行いたい。
