安否不明の日本人一家は中国に入り車でネパールへ 専門家は「また下流域に大変な災害起きる可能性」指摘
ネパールと中国の国境付近で発生した大規模な土石流では、死者が490人以上に上り、日本人観光客5人を含む1500人以上が安否不明となっている。FNNは、特に被害の大きかったネパールの現状を取材するため、土石流のきっかけとされる氷河の崩落現場から55キロほど離れた町に向かった。捜索活動が難航する中、現地では二次災害への懸念も高まっている。
土砂によって道が寸断
大規模な土石流が発生してから2日。現地では懸命な救助活動が続けられる中、FNNは28日、日本メディアとして初めて被害を受けた町を取材した。
杉村祐太朗記者:
この先、土砂によって道が寸断されています。ショベルカーを使って土砂を撤去する作業が行われています。周辺には多くの人が状況を見守っています。上流に住んでいて、住めなくなってこちらに避難してきた人も多いようです。
復旧作業が進む先にある建物は、屋根まで泥まみれの状態になっていた。
甚大な被害をもたらした今回の土石流。
これはその威力がよく分かる、国境付近のラスワ郡で撮影された新たな映像だ。
危険を知らせる笛が鳴り響く中、濁流が押し寄せた。建設途中の水力発電用のダムに流れ込み、さらに勢いを増して辺りを飲み込んだ。
登山の名所や巡礼地などが点在するネパール。
下流の町で見られたのは、帰路を断たれた観光客らの姿だ。
観光客:
水が一気に吹き込んで、汚れた泥が4階建ての高さまで上がってきました。私たちは命からがら逃げました。
ドローンが捉えた土石流の爪痕
大量の土砂などによって至る所で道路が寸断し、捜索活動は難航している。
ドローンが上空から撮影したのは、一面泥に覆われた町だ。
川沿いにあった建物は壁が流され、部屋の中が見える状態となっていた。
また、重機を使って泥を取り除きながら安否不明者を探す作業や、救助犬を使った捜索活動の様子も確認できた。
28日の取材中にも、ネパール軍の兵士が被災地域に向かっていた。到着したのは、土石流が起きた川が見える高台の町だ。
当時の様子について住民は「前はきれいな川だったが、洪水で濁ってしまった。今回の洪水であの山が削られたわ」と話した。
被害の大きかった場所に向かうと、土砂で寸断された道路の復旧作業が行われていた。様子を見守る人の中には、友人の家が流されたと話す人もいた。
住民:
子供を迎えに外に出ていたので、友人家族は助かりました。
現地当局などによると、これまでにネパールと中国で合わせて492人が死亡し、1500人以上の安否が分からなくなっている(28日午後5時時点)。
安否不明者名簿に日本人5人
ネパールの首都カトマンズの病院には、家族や友人の安否を確認しようと多くの人が訪れていた。
ネパール当局はSNSなどを通じて頻繁に情報発信し、安否不明者や救助された人の氏名などを公開。安否確認のための情報提供を求めている。
27日に公表された安否不明者の名簿には、日本人5人も含まれていた。
名簿に記載されていたのはローマ字で、ヤマモト・トシタカさん、ヤマモト・リュウトさん、ヤマモト・カヨコさん、ヤマモト・カナコさん、ヤマモト・ハヤトさんの5人の名前だ。
旅行会社によると、5人は子ども3人を含む一家で、19日に大阪から中国に入り、車でネパールに入国した後、連絡が取れなくなっている。
新たなリスク「自然のダム」決壊の懸念
そのネパールでは、二次災害の懸念も高まっている。
今回の土石流をもたらしたきっかけとされるのが、ヒマラヤの山岳地帯で発生した氷河の崩壊だ。
東京大学大学院の渡邉英徳教授による衛星画像の分析から、新たなリスクが浮かび上がってきた。
標高6000メートルから7000メートルの峰が連なるあたりを見ると、以前は山に白い氷河が覆っているのがわかる。
しかし発災後には茶色い岩肌が見え、氷河が崩落したのがわかる。
崩落はどれほどの規模だったのか。
東京大学大学院・渡邉英徳教授:
幅1キロ、長さが2キロ、高さが1.2キロの範囲が一気に崩れ落ちていることがわかります。大変な量が崩れ落ちたということが言えますよね。
崩落した大量の氷河は、水や岩石などを巻き込みながら下流に押し寄せ、中国側の国境検問所の方向へ。
建物を上回る高さの土石流が、一気に建物を飲み込んだ。
建物や橋はすべて姿を消し、一面土砂で覆われている。
渡邉教授は、場所によっては高さ100メートルのあたりまで濁流や水しぶきが上がったと分析する。
依然、多数の安否不明者がいるネパールで今、二次災害への緊張感が高まっている。
国境付近の映像。中央に見えるのが、今回の氷河崩落によって新たにできた「自然のダム」だ。
中国当局は、今後雨が降って水があふれれば、決壊するリスクが高まると発表している。
渡邉教授は、この自然のダムは、氷河が崩落したエリアのすぐ近くにあると分析する。
東京大学大学院・渡邉英徳教授:
今後、また雨が降っているので、上流からどんどん水が流れて、湖が大きくなっていくわけです。今ふさいでいるものを乗り越えて水が決壊してくると、また下流域に大変な災害が起きる可能性があります。
今後さらに事態が悪化すれば、捜索活動にさらなる支障が出る恐れもあり、警戒が高まっている。
(「イット!」8月28日放送より)

