「第二のチャンス」か「最後の市場」か “つまずいた”韓流スターが日本を頼る舞台裏
韓国で厳しくなれば、日本を目指す。このような“ルート”が韓国スターたちの間で繰り返されている。
その最新の例として関心を集めているのが、TBSのドラマ『DREAM STAGE』で中村倫也や池田エライザと共演した俳優イ・イギョンだ。
イ・イギョンは10月25日、東京・日本教育会館一ツ橋ホールで単独ファンイベント「2026 LEE YIKYUNG SHOW」を開催する。
彼自身も企画に携わり、トークやパフォーマンスを披露するという。VIPチケット購入者には、ハイタッチや団体写真撮影なども用意されるそうだ。
韓国の俳優が日本でファンミーティングを行うこと自体は、珍しいことではない。
それでも韓国メディアの見出しには、「国内活動が少なくなったイ・イギョン」「国内活動を中断した俳優イ・イギョンが日本で」といった言葉が並ぶ。そこには理由がある。

イ・イギョンは昨年、私生活に関する暴露がネット上に浮上した。所属事務所は「虚偽事実の流布、悪質なデマ」として法的措置を予告したものの、その後一部のバラエティ番組を降板し、出演が予定されていた番組への合流も白紙となった。
今年5月には税務調査に伴う追徴金の問題も浮上した。事務所側は、法人の経費処理に関する税務当局との解釈の差によるものであり、「故意の所得隠しや不正な方法による脱税ではない」と説明している。
現在も韓国の番組に一部出演を続けているため、韓国芸能界から追放されたというわけではない。
ただ、韓国での露出が低下する中で、日本のドラマや海外合作映画へ進出し、今度は東京で単独イベントを実施する。その動向を韓国メディア自体が「国内活動減→日本」と紐付けて報じている点は興味深い。
そして、こうした構図はイ・イギョンが初めてではない。
その代表例が、韓国の男性デュオUN出身であるキム・ジョンフンだ。

かつて韓国で俳優や歌手、バラエティと多方面で活躍したが、2011年に飲酒運転によって免許取り消し処分を受けた。2019年には元恋人との妊娠や金銭トラブルに関する訴訟が大々的に報じられた。さらに2023年末には、再度飲酒運転事故を引き起こして罰金刑を科されている。
本国での芸能活動は困難な状況へと追い込まれたが、日本との繋がりが絶えることはなかった。
2度目の飲酒運転に対する批判が渦巻いていた2024年1月にも、大阪と東京でバースデーファンミーティングを実施。その後も日本国内でライブやイベントを催し、ファンとの関係を維持している。
韓国で表舞台から姿を消しても、日本へ渡ればまだ立つべきステージが存在する。そんな実態を体現する人物のひとりといえる。
さらに象徴的な存在として挙げられるのが、元東方神起のユチョンだ。
過去のファン基盤と再始動の場2019年、薬物使用に関する疑惑が持ち上がった際、ユチョンは会見の場を設け、「使用していたなら芸能界を引退する」との趣旨で無実を主張した。
しかし、その後の精密検査で陽性反応が確認され、最終的に懲役10カ月、執行猶予2年の有罪判決を受けた。
一度はみずから引退を表明したものの、約1年後に活動を再開。そして、その再始動の重要な拠点となったのが日本であった。
2024年2月には横浜でディナーショーを開催し、そのチケット価格は5万2000円に設定された。同年12月には日本デビューミニアルバム『Where I Walk』もリリースされ、その後も日本での動きは途切れていない。2026年を迎えても公演やイベントを継続して開催し、本人のSNSでも日本における活動状況を頻繁に投稿している。

韓国国内では本格的な芸能界復帰が厳しい。それでも、日本にはかつて東方神起時代から彼を応援し続けてきたファンが根強く存在する。
言い換えれば、日本は単なる「第二の市場」にとどまらず、最後まで残された巨大な市場なのである。
さらに極端な事例も存在する。
FTISLANDの元メンバーであるチェ・ジョンフンは、女性に対する集団暴行事件で有罪となり、懲役2年6カ月の実刑に服した。2021年に満期出所している。
その彼が芸能界再開に向けた動きを見せた場所は、韓国ではなかった。
2024年、日本のファンコミュニティサービス「FANICON」へ公式チャンネルを開設し、「5年ぶりに皆さんに挨拶する」と日本のファンに向けてメッセージを発信したのだ。
当然ながら、韓国国内では「なぜ日本で復帰するのか」と厳しい批判の目が注がれた。しかし本人にとってみれば、自分を待ち望む人々が残る場所を選択するのは合理的な判断なのだろう。

なぜ、韓国で挫折したスターたちは日本を目指すのだろうか。
答えのひとつはきわめて単純だ。日本には、今なおチケットを購入してくれるファンが存在するからだ。
韓国のテレビ番組に復帰を果たすには、テレビ局のみならず広告主や世論といった多様な障壁を乗り越える必要がある。
一方で、日本で既存のファンを対象にファンミーティングやライブを実施する場合、韓国でのテレビ復帰と同等の高いハードルをクリアする必要はない。
しかもユチョンやキム・ジョンフンのように、過去に日本で強固なファン基盤を形成したスターであれば、年月が経過しても応援し続けるファンが残っている。
日本におけるファンイベントは、テレビ出演やCM起用とは異なり、不特定多数からの好感度を必須としない。今なお自身を支持してくれるファン層へダイレクトに届けることができれば成立するのだ。
韓国での居場所が失われつつあっても、日本であれば公演を企画できる。ファンから直接的に収益を得る機会も創出可能なのだ。
それゆえに、「日本ファンは最後の財布なのか」といういささか批判的な見解すら浮上してしまう。
無論、イ・イギョンを刑事事件で有罪となったユチョンやチェ・ジョンフンと同等に扱うことは不適切だ。私生活に関する噂について所属事務所は否定しており、現在も韓国で放送中の番組に出演している。
それでも、「韓国で活動が減った俳優が日本へ」という構図を韓国メディア自らがニュースとして取り上げた事実は象徴的といえる。
韓国での扉が閉ざされかけても、日本には別の扉が開かれている。それが韓国スターにとって“第二のチャンス”を意味するのか、それとも最期まで自身を支える日本ファンに依存する“最後の市場”となるのか。
いずれにせよ、韓国で挫折したスターの避難先として幾度となく日本が選ばれる構図は、今も変わらず存在している。
(記事提供=スポーツソウル日本版)

