残業続きで荒れ放題の1DKにやって来たのはメイド!? 疲労困憊の女性教師が笑顔と自分を取り戻していく癒やしの物語【書評】

【漫画】本編を読む
『1DKメイド』(川端あた/KADOKAWA)は、仕事に追われて心も部屋も荒れ果てた女性教師と、突然現れたメイドとの共同生活を描いた日常漫画だ。不思議な設定ながら、読後は心があたたかくなっている癒やしの物語である。
主人公・上原スイは中学校で働く教師。家事も自分のケアすらも後回しにして、深夜におよぶ残業や休日出勤を繰り返す毎日を送っていた。それゆえに疲れ果てて帰宅しては眠るだけの日々のため、ひとり暮らし1DKの部屋は散らかり放題だった。そんなある日に突然、メイド・朝顔が現れたことでスイの日常は少しずつ変わり始める。
教師は生徒のことを優先しなければならず、心身ともに負担の大きい仕事である。加えて、スイはなかなか自分の授業や生徒とのコミュニケーションに自信が持てずに苦悩する。頑張り屋だからこそ無理を重ね、助けを求めることが苦手になっていた。日々仕事に追われている人は、そんなスイの姿を自分に重ねてしまうだろう。そんなとき、朝顔がくれるさりげない気遣いや「できない日があってもいい」という言葉が読み手の心をも優しくほぐしてくれるのだ。
時には自分を甘やかすことが、よりよく生きるための必須の技術なのかもしれない。本作は、誰かに頼ってもいいこと、自分を労わる時間も大切な人生の一部であることを教えてくれるだろう。毎日気を張って頑張り続けている人は、休憩も兼ねて本書のページを開いてみてほしい。
文=練馬麟
