宝物の結婚生活をなぜ手放す?と批判が殺到

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 TBS出身のフリーアナウンサー・山本里菜(32)が8月6日、離婚したことを自身のインスタグラムで発表した。その際に綴られた、あまりにも綺麗で前向き過ぎる言葉が、読んだ人々にモヤモヤ感を与えると話題になっている。たとえ著名人であっても常にきれいごとばかりを言う必要はないし、同様に、SNSを通じて発信できるようになった一般人も、様々な感情が交錯する人生の転機においては周囲の目を気にせず本音を述べていいのではないか――。背景にあるのは、そんな世の中の空気感のように思える。【中川淳一郎(ネットニュース編集者)】

【画像】離婚報告で物議を醸したフリーアナウンサー・山本里菜氏の姿

宝物は手放さないでしょう

 山本アナの「夫婦で話し合いを重ねた結果それぞれの道を歩むこととなりました」は、離婚の定型句であり、相手とも合意したうえで、自ら判断したことが伺える文面である。

宝物の結婚生活をなぜ手放す?と批判が殺到

 しかし、「ともに歩んできた道は宝物です」の一言が、ネット上で多数のツッコミを受ける結果となった。「いや、宝物みたいな素晴らしいものならどうして手放すの?」という感想を多くの人が持ったわけだ。あとは「それぞれの道を歩むのは、顔を合わせたくないような関係になったからで、そういう相手と過ごした時間は本当に宝物なのかしら」もあった。

 著名人は、自身の「ステイタス」が仕事上重要である。それは、番組や広告や特集などで「素敵なカップル」「ママタレ」「イクメン」「おひとりさま生活を満喫」「おしどり夫婦」「幸せな一家」といった属性に合う人がアサイン(割り当て)されるからだ。

 だからこそ、“仮面夫婦”や“別居状態”ということが世の中に漏れ伝わり、実際のところ夫婦仲が破綻していたとしても、CMの契約期間中は企業の会見イベントでは「今日もラブラブでした」などと言う。とはいえ、昨今のオーディエンスは裏事情を耳にしている場合も多く、そこで殊更にポジティブな言葉が飛び出すと鼻白むのである。山本アナの場合、「宝物」発言に続けて、「お互いに大切な存在ですし応援しあっていきたいと思っております」という文言が加わったことで、「きれいごと感」が増してしまったようだ。

 当然のことだが、いくら著名人であろうとも、“離婚”や“グループ脱退”といった展開は起こり得ることである。それは一部のファンを悲しませたり、仕事相手を困らせることに繋がるかもしれない。だが、著名人である以前に、彼らも一人の人間であり、感情があることは今の時代、誰もが理解している。かつては「アイドルは排泄をしない」といった極端な論もあったが、あくまでも著名人が高嶺の花だった時代のことである。アイドルは「会いに行ける」存在となって久しく、ブログやSNS、YouTubeを通じて直接話しかけてくれるなど、グッと身近な存在になった。

退職エントリ

 だからこそ、綺麗事など言わない方が、より親近感が湧き、好感度が高まるのだ。2000年代後半以降、若者が会社を辞める時に、決意表明とでも呼ぶべき「退職エントリ」をブログやnote等に長文で書くことが流行った。こんな感じである。

“この度、私、田中一郎は2年半勤めた株式会社〇〇を円満に卒業することとなりました。この2年半、素晴らしい上司と同期の仲間、そしてクライアント様に恵まれ、日々成長を実感できました。この体験は私の人生において燦然と輝く一生の財産であり、出会ったすべての方々に感謝の念を抱くことしきりです。

(ここで具体的な感動エピソードをお世話になった人の名とともに多数ちりばめる)

 これからは株式会社××にて、〇〇で学んだEコマースのノウハウを活用し、これまでにない新しいサービスを開発していく所存です。〇〇での2年半がなかったら、このように発奮することもなかったですし、やはり、最初に戻りますが、素晴らしい方々に囲まれたことにより、成長がかなったのだと思います。

 これからも〇〇の皆さまとは切磋琢磨しながら、業界の発展に貢献できれば、と思います。本当にありがとうございました。これからも未熟な私をご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げますとともに、皆様のお多幸を心よりお祈りいたします”

 実にキレイな挨拶文だが、基本、「社内の人間関係や、従事する仕事の内容、給与明細に記された金額が気に入らないから会社を辞める」というのが多くの人が抱く感情であり、先ほどの文面を額面通り受け取るわけにはいかない。一般人もこのような言い換え話法が上手になっている。

言葉の裏の真実は見抜かれている

 退社→卒業、新たな道、次のステップ ※解雇された場合は、多分何も書かない

 未婚カップルが別れる→友達に戻り、互いを高め合う関係を続けたい

 破産→様々な気付きと学びがあり、ゼロからの再出発でむしろ闘志が湧いた

 退学→本当にやりたいことを見つけ、夢を叶えるための第一歩

 離婚→互いに次のステージに行くため前向きな決断

 友人関係の終焉→お互いのステージが変わり新たな挑戦をしたくなった

 勘当→自立を促され奮起し親元を離れた

 ミュージシャンの脱退→ソロで挑戦したい気持ちが芽生えメンバーも後押ししてくれ、卒業することにした

 これらの言葉を読んだ場合、「あぁ、職場の人間関係に悩んでいたし給料も安かったみたいだし(退社)」「彼、モラハラ気質で彼女は苦しかったんだろうな(カップル)」「あの人ビジネスヘタクソだったもんな(破産)」「勉強苦手だったもんな(退学)」「一年目から夫婦関係冷めきっていたし、W不倫してたからな(離婚)」「卒業後、二人の社会的地位が変わり過ぎたもんな(友人関係終了)」「ドラ息子で親のスネかじりまくってたからな(勘当)」「楽屋で何も話さないって聞いてたしな(脱退)」

 このようなことは見抜かれているのである。もちろん、不満や恨みを赤裸々に書く必要はないものの、実態を知っている人を白けさせぬためにも、ツッコミを受ける美辞麗句はやめ、単に事実を報告すればいいだけである。本音については、仲が良く口が堅い友人に言うだけでいい。もちろん、相手が明確に悪い場合は、そのことは著名人だろうが一般人だろうが言ってもいい。

 その意味で見事だったのが、東出昌大・杏夫妻の離婚発表時の連名でのコメントだ。東出の不倫が原因だったわけだが、双方の事務所が2020年8月1日に発表したコメントは離婚の事実と、この一言があった。

〈今後は子供達の親として成長し、協力しあう関係を築いていきたいと思います。多くの方々にご迷惑、ご心配をおかけしてしまいましたがどうぞ温かく見守っていただけますと幸いです〉

 あくまでも子供のために成長・協力し合うと書いている。余計な感情はまったくこもっていないが、東出よりも子供のためである、という宣言に杏の秘めたる怒りと突き放す様子は感じることができた。ただし、東出を糾弾しない大人な対応もしている。まさに人生の別離発表における見本である。

ネットニュース編集者・中川淳一郎

デイリー新潮編集部