「チーム大西」の面々。左から、青木瀬令奈、安田美祐さん、安田祐香、中村心、大西翔太コーチ【写真:柳田通斉】

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NEC軽井沢72ゴルフ

 国内女子ゴルフツアー・NEC軽井沢72ゴルフ最終日が16日、長野・軽井沢72ゴルフ北C(6590ヤード、パー72)で行われ、安田祐香(NEC)が通算23アンダーでツアー3勝目を飾った。2位に7打差をつける圧勝劇。計26バーディーは、アニカ・ソレンスタムが保持していた3日間大会の最多バーディー優勝(24バーディー)を23年ぶりに更新する快挙となった。功労者には、姉でキャディーの美祐さん、大西翔太コーチに加え、33歳の先輩プロ・青木瀬令奈(リシャール・ミル)も名を連ねている。青木は安田だけでなく、多くの後輩たちに惜しみなく技術を伝授。そのマインドを本人に聞いた。(取材・文=柳田通斉)

 表彰式が終わると、青木は安田、美祐さん、大西コーチ、プロ2シーズン目の中村心と記念写真に納まった。「チーム大西」の面々だ。

青木「23アンダーはすごいよ。本当に良かったね」

安田「ありがとうございます。瀬令奈さんのおかげです」

 青木は大西コーチに2015年3月から師事。長く二人三脚で歩んできたが、24年シーズンから安田がチームの一員になり、今年6月から中村も仲間入りした。圧倒的な飛距離を誇るアマチュアの後藤あい(松蔭高3年)も大西コーチ、青木を慕っている。

 一緒に練習をしていると、青木は後輩たちの“異変”にすぐに気づくという。

「選手だからこそなんですが、見ていると(ストロークで)気持ち悪そうなのは雰囲気で分かります。私はコーチの勉強はしてないので、『この辺がちょっと雑になってる』『ここがもたついてるから、もうちょっとこうしたら』みたいなことを雰囲気で言っています。祐香にもインに引き過ぎていたことは伝え、それを大西コーチがかみ砕いて教えていました」

 後藤には、6月の宮里藍サントリーレディスの際に「キャディーをやってみる?」と声をかけた。自身のコースマネジメント、技術を目の前で見せるためだった。実際にバッグを担いだ後藤は、その気遣いに深く感謝していた。

「アプローチ、パターを全部教えてもらいました。感謝です。アプローチでは自分にない打ち方もされていましたし、お陰でロブショットとかも上手く打てるようになりました」

ツアー全体に広まる青木の姿勢

 その他にも、青木のインスタグラムやYouTubeチャンネルの動画を見て、「あれでパットが入るようになりました」と報告してくる後輩たちも多くいるという。

「自分よりランクが上の子にそうやって言われると、『そういうことをやってる場合じゃないのに!』と思ったりもします(笑)。でも、私的には『ギブ・ギブ・ギブ』の精神なんです。『ギブ&テイク』で何か返って来ることを期待しなくても、どこかしらでつながってくると思っています。『与えられることは与えて』という感じです」

 青木は、27歳だった20年に日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)プレーヤーズ委員長となり、22年までその大役を務めた。時はコロナ禍で選手の意見を吸い上げ、協会との橋渡し役になり続けた。20年シーズンは112日遅れで開幕したが、中断期間もSNSで選手たちの情報を発信。オークションで寄付金を集めるなど、中心となって動いた。退任後もJLPGAブライトナー(22年に制定)として「女子プロゴルフの未来をもっと鮮やかに、もっと美しく輝かせるための活動」(JLPGA公式サイトから)を担ってきた。

 文字通りのリーダーだが、押し付けではなく、優しく提案していくことが特徴だ。青木も「取捨選択は本人がすればいい」と思い、安田の「強み」をこう解説した。

「自分を持っているところです。いろいろと言われても、自分に合う合わないがすぐに判断できています。あとは動じなくなりました。ミスした後も切り替えがすごく上手くなったと思います」

 青木のこの姿勢は、ツアー全体に広まっている。会場では、若手たちが話しやすい先輩プロへ相談し、先輩が後輩の高等技術に感心してコツを教わる場面も垣間見える。

 今大会、金田久美子のキャディーを務めた国内男子ツアー2勝の塚田よおすけも実感を込めて言った。

「久しぶりに女子プロの試合を見ていますけど、昔より飛距離がすごいし、うまいし、見ていて面白い。あと、手を振ってくれたりしてかわいい。推しが3人増えました(笑)」

 この高め合い、楽しい「いい雰囲気」こそが、国内女子ツアーの強み。だからこそ、スポット参戦の桑木志帆が海外メジャー・全英女子オープンで優勝を飾る状況になったのではないか。「ギブ・ギブ・ギブ」。青木が言うように、その精神は大きなものへとつながっている。そう感じてならない。

(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)