急増する墓じまい「夏のお墓参りがしんどすぎる」物理的な負担きっかけに?専門家「冷静な選択を」

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「墓じまい」の件数は14年で2.4倍に

「『墓じまい』は本来、継承者がいない場合に同じ経営主体の合祀墓に遺骨を移す行為を指していました。しかしここ十数年で、継承者がいるのにお墓をしまう新しい墓じまいが増えてきました。

私どものお寺にも『墓じまいをしたいのですが……』と相談に来られる人は多いです。関係が良好な親族では安易に墓じまいをすることはほぼありませんが、親族会議も開かず強行してしまうケースでは、親族間に根深い確執があることが多い。お墓の問題というのは、家族関係の映し鏡なのです」(浄土宗僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳氏)

お墓に入っている遺骨を取り出すとともに墓石を解体・撤去する墓じまいは、「子供や孫に迷惑をかけたくない」などの理由からここ最近急増している。

厚労省の「衛生行政報告例」によると、'10年度には7万2180件だったのが、'24年度には17万6105件と、14年で2.4倍の増加である。

ひと口に墓じまいと言っても、合葬墓や納骨堂のような新たな墓に納める改葬や、散骨など様々な方法がある。先祖の墓、自身の墓を今後どうするかについても、この夏、家族と真剣に考えよう。

まずは遺骨を「継ぐのか」「継がないのか」から

「家族・親族でお墓のことを話し合う一番のきっかけは、物理的な負担感です。夏の酷暑の中でお墓参りへ行き、移動時間も含めて体力的にきついことを実感した後は、お墓の管理や負担をどうしていくか前向きな話し合いができるチャンスなのです」

そう語る葬儀・お墓・終活コンサルタントの吉川美津子氏によると、「遺骨を今後継いでいくのか、継がないのかという根源的な2択から、どちらかを冷静に選択することが先決」だと言う。

墓石の撤去費用の相場は、1平米あたり15万〜30万円ほど。一族が入る広い墓ともなれば、それだけで何十万円もの出費だ。また、遺骨を別の場所に移すには、法律に基づいて役所に「改葬許可申請書」を出す必要もある。

他にも現在の墓の管理者が発行する「埋蔵証明書」や、遺骨の次の行き先の管理者が発行する「受入証明書」を準備するなど、いざ墓じまいとなると半年はかかる。家族・親族でじっくり話し合って慎重に判断したい。

「私の寺では、ここ15年で30件ほど墓じまいをしています。60〜70代の檀家さんで、子供がいないとか一人娘が結婚して家を出るなどのケースが多い。親戚付き合いが薄い家も多く、ひとりの判断で墓じまいをすると、『いつの間にかお墓がなくなった……』と悲しむ親族もいます。後で揉めないよう話し合いは必須です」(僧侶で元国税査察官の上田二郎氏)

【後編記事】『「墓じまい」どこから始めるのが正解?【フローチャート】で流れ・相場・トラブルを一発回答』につづく。

「週刊現代」2026年8月17日号より

【つづきを読む】「墓じまい」どこから始めるのが正解?【フローチャート】で流れ・相場・トラブルを一発回答