「500万円の慰謝料が欲しい」65歳母が疑う「35歳息子の浮気相手」驚愕の真相
「我が子にまつわる調査依頼が増えています。そこで感じるのは、特に“母と息子”の間で大人になっても甘える関係性が多いということ。母が息子に対する思いが強いと、息子は『母がなんとかしてくれるだろう』と安易な行動を取りがちです。その結果、母の心が病むこともあります」こう語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。
山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは、65歳の専業主婦・雅代さん(仮名)。夫は会社の経営者で裕福な暮らしをしている。息子の浮気相手を調べてほしいという珍しい相談だ。
息子が浮気相手から「500万絵の慰謝料」
雅代さんから連絡があったのは、午前9時。「息子の浮気相手を調べてほしい」といいます。2時間後にカウンセリングルームに来た雅代さんは、高級ブランドのバッグとツイードのワンピースを身に纏い、いかにも裕福な家庭の奥様という雰囲気でした。
雅代さんの夫は、金融や不動産関連の会社を運営しており、38歳の娘と35歳の息子がいます。今回の問題の発端となる息子は、小学校から大学までの私立一貫校に通い、7年前に同級生と授かり婚し3人の子供の父でもありました。飲食店の経営をしつつ、父親の所有する高級マンションに暮らし、家賃や光熱費は免除、毎月50万円の生活費まで支給されているといいます。
容姿端麗な息子はモテており、雅代さんは息子に愛情を注いでずっと守ってきました。だからこそ息子の浮気相手が妊娠し「500万円の慰謝料がほしい」と言ってきたことを相談され、浮気相手が本当に妊娠しているのかを調べてほしいと言ってきたのです。息子は母親がお金を払えばいいと思っているようなのですが……。
「息子は何でも相談してくれる」
息子は雅代さんに、浮気相手の詳細を話していました。雅代さんは「娘は何も言ってくれないけれど、息子はなんでも話してくれるいい子なんです」と何度も話していました。息子のことを説明するたびに「お姉ちゃんは〇〇しない」という枕詞をつける。娘は自立し、雅代さんを「毒親」と拒絶しているから、「コントロールできない他者」として認識していると考えられます。
一方、息子はトラブルも含めてすべてを報告する。おそらく雅代さんは、「自分の思いどおりになる自分の分身」と捉えているのでしょう。心理的な境界線が欠如しており、息子のトラブルを自分ごととして考えるあまり、心の調子が崩れてしまうことが考えられます。思いどおりになっているのではなく、すべての厄介ごとを片付けてもらうために話しているようにしか見えませんし、もし「すべて」を報告していたら、今回の前に浮気を知っていると思いましたが、口にはしませんでした。
本当に妊娠しているのか
息子の浮気相手は、息子が経営するバーの常連で、現在32歳。広告代理店の子会社に勤務しており、店から近いコンパクトなマンションに住んでいます。息子と一緒に写っている写真もあり、ロングヘアで容姿が整っている。そして、どこか雅代さんに似ています。
雅代さんに「浮気相手は妊娠何ヵ月なんでしょうか?」と質問すると「わかりません。息子は陽性反応が出た検査薬の写真を見たし、あれは妊娠していると思っているので、妊娠だけは事実だと思います」という答えが返ってきます。
雅代さんからは、「会社員以外の裏の顔を突き止めるためなら、いくらでもお金を使ってかまいません」と言われています。とはいえ、会社に勤務しているなら、平日に大きな動きがないことが多いです。
まずは金曜日の朝、浮気相手のマンションの前で張り込みを始めました。朝10時に出てきた浮気相手は、足取りも軽く徒歩30分程度のオフィスに入って行きました。そして20時に退勤すると、渋谷駅で下車して、牛丼チェーン店で定食を食べた後、あるバーに入って行きます。
妊婦がバーに行くのかと思いましたが、店の前で待機。余所者が入っていくと注目される店だと判断したからです。バーは人気のようで、20〜30代のおしゃれな人が、複数出入りしていました。
浮気相手がすぐに出てくるのかと思ったら、出てきたのは深夜2時。おそらく最後の客なのでしょう。女性はかなり酩酊状態で、筋肉質な男性に支えられています。男性は店の鍵を閉めて、女性を支えるようにして、店から徒歩2分ほどのマンションに入って行きました。これは介抱なのか、恋愛なのか全くわかりませんが、土曜日の夕方まで動きはありませんでした。
こんなに酔っぱらうのは妊婦ではないです
17時に男性と共に出てきた浮気相手は、タクシーで自宅に帰宅。キスやハグなどは全くありませんでしたが、ここまで長時間過ごすのは特別な関係があるといってもいいのではないかと感じます。
以上を雅代さんに報告すると「よかった。本当によかった。こんなに酔っ払うのは妊婦ではないです。バッグに妊娠マークもありませんし、この人は絶対に妊娠していない。息子に報告します。ありがとう。また何かあったらお願いしますね!」と大喜びしていました。
妊婦はお酒を飲まないほうがいいのはもちろんですが、お酒を飲むことがあるかもしれません。それでも雅代さんは「妊婦はお酒を飲まない」という思い込みで判断しています。そこに息子と共に自分自身を守りたいという、心の状態が表れているように感じました。
そして、私が「差し出がましいのですが、雅代さんご自身、息子と心が繋がりすぎてることにより、心がすり減ったり、パンク状態になっている可能性が高いです。一度カウンセリングなどに行ってみたらいかがでしょうか」と提案しました。
他人から見ると息子はトラブルメーカーです。このままでは雅代さんは都合が悪いことが起こるたびに相談され、探偵に依頼する依存状態になる可能性も高いと思ったのです。
「昔から娘にもよく言われていましたが、いざ他人のあなたから言われると心にずしんときますね。でも、私は大丈夫だと思いますよ」
浮気相手と弁護士同伴で話しました
それから2週間後、雅代さんから「浮気相手と弁護士同伴で話しました。そもそも妊娠しておらず、ほっとしました」と連絡がありました。なぜ息子さん本人ではなく、雅代さんが浮気相手と話をするのかとも思いましたが、それは雅代さんと息子さんの関係性の問題です。
調査後、どのようになったのか、雅代さんは興奮気味に話し始めます。
浮気相手と息子は、半年前に息子が経営するバーで出会い、お互いに心惹かれあって何度も性行為をしていました。息子は結婚しているにもかかわらず「俺はバツイチ」と話していたそうです。浮気相手がすぐに性交渉に応じる性格であることがわかると、お店のトイレでことに及んでいたことも。酔って突発的に始める性交渉のときに、きまって息子は避妊をしなかったとか。
それが度重なるうちに、浮気相手は「大切にされていない」と怒りを覚え「妊娠した」と嘘をついたのです。友人がチャット内で共有した陽性の妊娠検査薬の写真を、息子に見せたそうです。ちなみに友人は不妊治療をしていたとのこと。喜びと共に友人に共有した写真が、このように使われるとは思ってもいなかったでしょう。
息子がまさかの「上乗せ金額請求」
心に後ろめたいところがある息子は、陽性反応が出ている妊娠検査薬の写真を信じ込んでしまう。そして浮気相手は「おろすから、慰謝料と共に200万円欲しい」と言います。女性は「500万円はさすがに請求しません」と言っていたそうです。つまり、息子は雅代さんに対して、300万円を上乗せして「出してほしい」と請求。300万円は自分で使うつもりだったのでしょう。
このことから、息子にとって雅代さんは「自分を受け入れ、金銭的・社会的ピンチから無条件で救い出してくれる都合のいい存在」であることがわかります。そして、息子が雅代さんに多くを話すのは、信頼関係があるからではなく、「そうしておけば後始末をしてくれる」と思っているから。すべてを話しているのではなく、都合の悪いことは話していなかったこともわかります。つまり雅代さんは「息子を愛している」のに、息子は悪いことをしてもいっさいとがめないATMとして「母を利用している」だけ。こういう関係を、今後も続けていては、家族みんなが不幸になるのではないかと改めて思いました。
さらに驚くことも語り始めました。雅代さんは浮気相手に「あなたの嘘で探偵を雇うことになった。費用を払って欲しい」と言ってしまったそうです。すると浮気相手から「あんたの息子は最低。これネットにばら撒いてもいいなら、払うよ」と、息子の寝顔や息子の裸の写真、性的な器具の写真などを見せてきたそうです。さらに、浮気相手に行った性加害ともいえる行為について並べられ、録音まで聞かされて、心臓が止まりそうになったとか。
それは当然です。浮気相手が嘘をついて慰謝料をもらおうとしたこともほめられたことではありませんが、そもそもは雅代さんの息子が独身だと嘘をついて関係をもち、さらに避妊をしなかったのがきっかけなのです。大学時代に妊娠させてしまった相手にも、「避妊をせずに性行為をした責任」と問わなかったことが、ここまで続いているのではないかと感じました。
雅子さんが最初にとがめるべきは、息子です。それは大学時代にさかのぼって、そうだったのです。避妊をしないでセックスをしたら、妊娠する可能性があること、感染症が写る可能性があることを、大学生のときの息子は認識するチャンスがあったのに、そこに目をつぶってしまっていました。
改めて、雅代さんに「きちんとした医療機関のカウンセリングに行ったほうがいいですよ」と勧めたところ、「前にもアドバイスいただきましたよね。今回のことで、いろんなことに気づきました。主人と相談して行くかどうか考えてみます」と話していました。
このことがきっかけになり、雅代さんの夫が息子の行動に目を向けたり、母と息子の関係を整えたりしてくれればいいと心から願いました。息子は大人なのです。母が長年続いた関係を変えることは、夫や娘といった第三者の視点がないと難しいものです。時間をかけて雅代さんと息子がいい形になることを願わずにはいられませんでした。
今回の調査料金は45万円(経費別)です。
