【評伝】渡辺元智さん死去 最後まで勝負の人 礼儀正しく、懐深く

とにかく負けず嫌いな人だった。1993年の選抜大会。優勝候補として臨んだ甲子園で初戦負けを喫すると、チームはその夜、現地移動用のバスで横浜に帰ると言い出した。入社したての記者は戸惑うばかり。「短い出張になってしまって申し訳ない」。渡辺さんはそう言い残し、最後に自分も狭いバスに乗り込んだ。
礼儀正しく、懐の深い人でもあった。新人記者のころから、渡辺さんには取材を断られたことがない。静岡県での合宿に伺ったところ、そのまま泊まっていくことに。夜、野球のことなど何も分からない記者に、熱く熱く、そしてはるかに年下なのにお酒が入っても敬語で、いろいろな話を聞かせてくれた。
