高校2年夏、平塚学園高との神奈川大会決勝を制し、祖父の渡辺元智監督と握手を交わす渡辺佳明=2013年7月、横浜スタジアム

 とにかく負けず嫌いな人だった。1993年の選抜大会。優勝候補として臨んだ甲子園で初戦負けを喫すると、チームはその夜、現地移動用のバスで横浜に帰ると言い出した。入社したての記者は戸惑うばかり。「短い出張になってしまって申し訳ない」。渡辺さんはそう言い残し、最後に自分も狭いバスに乗り込んだ。

 礼儀正しく、懐の深い人でもあった。新人記者のころから、渡辺さんには取材を断られたことがない。静岡県での合宿に伺ったところ、そのまま泊まっていくことに。夜、野球のことなど何も分からない記者に、熱く熱く、そしてはるかに年下なのにお酒が入っても敬語で、いろいろな話を聞かせてくれた。