ハヨン(右)の自筆謝罪文(いずれも公式インスタグラムより)

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日本で人気を集める韓国女優ハヨンをめぐり、韓国で「親日派(日本統治時代に日本に協力した人物)の子孫」とする激しい批判が広がり、本人が自筆の謝罪文を発表する事態に追い込まれた。

彼女の曾祖父には日本寄りの行動や発言が確認されたものの、韓国政府や民間団体が作成した親日派リストには名前がなく、韓国内でも「子孫にまで責任を負わせるのは行き過ぎ」「親日派の範囲が際限なく拡大する」との懸念や、突然世論の袋だたきに遭ったハヨンに同情する声が上がっている。

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家系自慢が裏目に

ハヨンは2019年にドラマ「ドクタープリズナー」でデビューし、さまざまな役をこなす演技力で注目を浴びた。今年初めてラブコメディーである「恋は飴模様」で主演を射止めた。このドラマはNetflixで放送され韓国国内でランキング1位を獲得、日本でも人気を呼んでいる。

順風満帆に見えたハヨンが騒動に巻き込まれたのは、彼女がテレビ番組で漏らした一族に関する説明だった。

自分は曾祖父から4代続く医師一家である。特に曾祖父は日本で医学を学び、大韓帝国の初代皇帝、高宗の診療に携わった…。

ところが、この発言をきっかけに韓国のネットユーザーが曾祖父、安商浩の経歴を、よくもここまでというほど掘り起こした。

まず安商浩は、親日団体の評議員という役職にあった。また独立運動家、安重根に暗殺された伊藤博文を追悼する京城(現・ソウル)での集会の準備委員会に名前を連ねていたことも分かった。さらに当時の新聞に、「私は日本人と全く同じ」「朝鮮服は一着もない。食べ物も辛いものは少しも食べられない」と答えていたことが明らかになり、SNSを中心に批判が拡散した。

この事態を受けて、ハヨン関連のCMは非公開となり、新作ドラマに関するインタビューも中止となる騒ぎとなり、韓国メディアも「親日論争が起きている」と、連日取り上げる事態となった。

祖父は「親日派リスト」にない

韓国で「親日派」という単語は、単に日本文化を好む人を意味しない。日本による植民地支配に協力し、その体制から政治的、経済的利益を得た人物を指す。

韓国には「親日反民族行為」を規定した特別法があり、1006人がリストアップされている。さらに民間団体も独自の基準を設け、4389人の名前を掲載した「親日人名辞典」を作成している。

基本的には、積極的に植民地支配に協力した人物なのだが、ハヨンの曾祖父はこれに該当しておらず、「親日人名辞典」にも名前はない。

ファンクラブは「連座」に反対

植民地支配をしていた日本に近い行動をしていたことは確認できるが、そのひ孫にまで責任があるのか韓国内でも論議があり、ハヨンをかばう意見もかなりある。

彼女のファンクラブは、8月15日「曾祖父の親日的な行為は歴史的事実と資料に従って厳正に考えるが、その責任を子孫に連座させる方式には同意できない」との声明を発表した。ちなみに日本では選挙違反で連座制が一部導入されているが、韓国では憲法で禁止されている。

歴史学者として知られるシム・ヨンファンも「簡単に誰かを『親日派』と断定してしまえば、多くの人々が親日派になる。さらに親日派はどんな人間なのかという基準自体が消えてしまう」と、親日派という安易なレッテル貼りに懸念を表明している。

多くのメディアも「過去の歴史を十分認識せず、ハヨンが軽率に家系自慢をした」点を問題視しているものの、国内や海外の同情的な意見も紹介している。

韓国メディアによれば、ハヨンは謝罪文を発表した後も動揺しており、ドラマの撮影現場で涙を流すこともあるという。韓国では今年の年末から、「親日派」の財産の没収作業が本格化すると報じられているが、今回の騒動を機会に、「親日派」とはどういう人物で、どういう行為が当てはまるのか、冷静な論議が広がることを期待したい。

文/五味洋治 内外タイムス