「速球は打てない」――米球界の“前評判”を覆した村上宗隆の驚異的進化 “1147億円男”も凌駕する打力を物語る「一流」の数字

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適応力の高さで自慢のパワーを存分に発揮している村上(C)Getty Images

 村上宗隆ホワイトソックス)は、歴史の扉をこじ開けている。

 現地時間8月14日のタイガース戦で5試合ぶりとなる今季27号ソロを放った村上は、自身が持つ日本人メジャーリーガールーキーイヤーでの本塁打記録を更新。年間30発超えも現実的な目標として捉えている。

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 堂々のルーキーイヤーを送っている。右太もも裏の肉離れのために負傷者リスト入りした和製大砲だったが、ここまでの年間成績は、打率.235、27本塁打、出塁率.370、長打率.539、OPS.909と非凡な打撃センスを存分に発揮。3年連続で100敗以上を喫し低迷していたホワイトソックスの快進撃を支えている。

 もっとも、メジャー開幕前の彼に対する評価は極めてシビアだった。

 昨年12月に2年総額3400万ドル(約53億6300万円=当時のレート)の契約が交わされた際には異論が噴出。過去2シーズンでの空振り率(36%)の高さを引き合いに出され、各球団のスカウティングリポートでは、NPBよりも平均球速が上がるMLBでは「速球が打てない」との烙印も押された。実際、ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMも「球速に対する対応力に懸念があったことは承知していた」と告白したほどだった。

 しかし、村上は周囲の疑念を吹き飛ばし、見事に米球界にアジャストした。彼が残している圧倒的な数字が下馬評の“間違い”を物語る。

 MLBのあらゆるデータをまとめている『Savant』によれば、95マイル(約152.8キロ)以上の速球をハードヒットした割合は両リーグ断トツトップの59.7%を記録。また、30打席以上に立った144選手を対象とした97マイル(約156.1キロ)以上の速球に対するOPSの割合も、ヨーダン・アルバレス(アストロズ)やフアン・ソト(メッツ)らも凌ぐ両リーグトップの1.249をマーク。まさに一流の水準にある。

 無論、本人の努力なしには達しえない領域だ。村上は開幕前から丹念にメジャーの一線級投手たちの速球と向き合ってきた。春先のスプリングトレーニングでは、最新のAI解析とトラッキングデータを使った実戦的な投球を再現できる打撃マシン『Trajekt Arc』を用いた練習を幾日も続けた。それを目の当たりにしたホワイトソックス首脳陣が「素質を感じた」(打撃コーディネーターを務めるライアン・フラー氏談)と認めるほどの姿勢が結果に繋がったと言えよう。

 投球に対する全体の空振り率はMLBワースト2位(33.4%)と相変わらずではある。それでも「打てない」と非難する者は誰もいなくなった今の村上には“欠点”を補って余りあるだけの適応力とパワーがある。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]