「私も女性になる」…元NBA選手の「ドラフト挑発」
米プロバスケットボール(NBA)で11シーズンにわたってプレーしたベテランセンター、エネス・カンター・フリーダム(35)が10日(現地時間)、「来シーズンの米女子プロバスケットボール(WNBA)のドラフトに参加する」と宣言した。カミングアウトしたわけでも、遅れて自身の性自認に気づいたわけでもない。生物学的には明らかに男性であるフリーダムが奇行ともいえる決断をしたのは、「女性選手」の基準を明確に定めていないWNBAの制度上の抜け穴と偽善を指摘するためだ。
WNBAはリーグと選手会の団体協約(CBA)に基づいて運営されているが、規則には性別について「女性選手のみプレーする資格がある」とだけ記されている。何をもって女性とするのか、その生物学的・医学的基準は明確ではない。2022年にNBAのボストン・セルティックスで現役を引退したフリーダムは、この隙を突いた。フリーダムは「自ら定めた性自認が、別途の検証手続きなしに認められるのであれば、私はWNBAでプレーするためのすべての条件を満たしている」として、ドラフトの参加申請書に署名した。以前からトルコや中国の人権問題について堂々と声を上げてきたフリーダムは、「誰かを嘲笑する意図はない。ルールがすべての人に平等かつ公正に適用されているのかを問うものだ」と指摘した。元NBA選手で、共和党の上院議員予備選に出馬しているロイス・ホワイトも、「バスケットボールのためなら、女性に性自認を変えることもいとわない」とし、「(WNBAに入団するなら)女性のチームメートと喜んでロッカールームを共用する」と話した。
フリーダムとホワイトの宣言は、現在WNBAを中心に浮上している米国の社会・文化的対立の延長線上にある。この論争の火種となったのは、インディアナ・フィーバー所属のフォワード、ソフィー・カニンガムだ。先月、ESPNとのインタビューで「少女たちが生物学的男性とコートで競うことがないよう、トランスジェンダー選手の女子スポーツへの出場を禁止すべきだ」と発言したことが引き金となった。その後、ドナルド・トランプ米大統領とJ・D・バンス副大統領が公然とカニンガムを擁護した。
一方、リーグ内部の反応は否定的だ。WNBA選手会はカニンガムの発言について「トランスジェンダー・コミュニティーを悪者扱いするものだ」と非難する声明を発表した。ミネソタ・リンクスのシェリル・リーブ監督も「トランスジェンダーの子どもたちも私たちの仲間だ(Trans Kids Belong)」と書かれたTシャツを着用し、批判に加わった。しかし、いずれもフリーダムやホワイトをチームメートとして受け入れるかどうかについては沈黙している。WNBAコミッショナーのキャシー・エンゲルバートも「リーグの価値観に沿う方向で検討する」との原則的な立場を示すにとどまり、その後は静観している。競技場の外では「トランスジェンダー選手の出場容認」をめぐり、賛成派と反対派が対抗する形で、連日集会を開いている。
世界のスポーツ界の判断基準はWNBAとは正反対だ。これに先立ち、陸上、水泳、自転車などの主要な国際競技連盟が相次いで、トランスジェンダー選手の女子カテゴリーへの出場を禁止した。国際オリンピック委員会(IOC)も、性別の区分を「生涯に一度受ける性別検査の結果」に基づくものとした。その結果、2028年ロサンゼルス(LA)夏季五輪の女子の部には、生物学的女性のみが出場する。
米国内でも、トランプ大統領の行政命令により、学校スポーツや一般のスポーツ活動でトランスジェンダー選手の出場規制が強化されたが、プロスポーツは関連規定の対象外となっていた。関連規定が不十分なのは韓国のスポーツ界も同様だ。大韓体育会は独自の規定を設けておらず、住民登録上の性別または国際競技団体の規定に依拠している。
![性別移行した選手をめぐるWNBAの制度上の抜け穴と偽善を指摘するため、WNBAドラフトへの参加申請書に署名したエネス・カンター・フリーダム。写真はボストン・セルティックス時代。[AFP=聯合ニュース]](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/e/fe450_204_3fc84581_763f33bf.jpg)
