多くの人工甘味料は、人間の体では消化・吸収されない構造になっています。そのため、カロリーとして体に蓄積されないのですが……実は、消化されないままダイレクトに「腸」まで届いてしまうのです。つまり、私たちの腸内に住んでいる細菌たちと、直接接触することになります。

2026年に『Trends in Microbiology』という学術誌で発表された最新のレビュー論文では、これが「ディスバイオシス(腸内細菌のバランスやコミュニティが崩れること)」を引き起こすきっかけになる可能性が指摘されています。(※2)

たとえば、代表的な人工甘味料であるサッカリンに関する研究では、以下のような腸内環境への影響が報告されています(サッカリンの研究の多くはマウスなどの動物実験や、日常の摂取量を上回る高用量での研究となっています。ヒトを対象にした研究では、影響は個人差が大きいこともわかっています)。

●特定の細菌が過剰に増加し、逆に良い働きをする乳酸菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)が減少してしまう
●腸内細菌のはたらきが変化し、エネルギーの吸収や糖の代謝に影響する可能性が指摘されている

さらに気をつけたいのがその先です。このような腸内環境の乱れが引き金となり、血糖値のコントロールがうまくできなくなる状態を引き起こす可能性があります。血糖値が急激に上がりやすくなると、血管が傷つくだけでなく、余分な糖が脂肪として蓄積されることに……。

「カロリーゼロだから痩せる!」と信じていたはずが、知らず知らずのうちに腸内環境を荒らし、逆に太りやすい体質を作っているかもしれないなんて、ちょっとショックですよね(筆者的には、ちょっとどころじゃないですが……)。

◆良い悪いで割り切らない! 賢い付き合い方

ここまで読むと、「じゃあ人工甘味料はダメなの?」「普通の砂糖の方がいいの?」と思われたかもしれません。ですが、良い悪いで割り切ることができないのが正直なところです。

なぜなら、やはり砂糖の摂りすぎも、肥満や腸内環境の悪化に繋がります。「〇〇はダメ、〇〇ならいくらでもOK」というような、ゼロか百かの極端な思考は避けるようにしましょう!

大切なのは、二者択一ではなく、「甘みそのものとの付き合い方」を見直すことだと思っています。

腸内環境を労わるために、以下を意識してみてください。

・強い甘みへの依存を少しずつ減らす

人工甘味料の強い甘さに慣れてしまうと、味覚が鈍り、もっと甘いものを欲する「甘味依存」に陥りやすくなります。まずは、普段取り入れているゼロカロリー食品を、無糖のお茶や炭酸水に置き換える日を少しずつ作ってみましょう。