ABS秋田放送

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コメ余りを背景に、今年の新米は取引価格の下落が懸念されています。

農業機械を中心にコメ作りのコストが増加する中、すでに稲刈りが進む西日本ではJAが農家に支払う概算金が採算ラインを下回る事態となっています。

こうした中、大潟村で大規模にコメ作りをしている農家は、政府の場当たり的な政策を批判し、主食の安定供給と担い手不足に対応するため国は基盤整備に力を注ぐべきだと訴えています。

毎朝、2時間から3時間かけて田んぼの見回りをしている大潟村の農家・涌井徹さん77歳。

出穂期といわれる今の時期はイネから緑色の穂が出てきます。

涌井さん
「これはいま花が咲いている」「1つ(の穂)に2個ずつくらいかな」

白く可憐なイネの花。

穂が出た後に晴れの日が続くとおいしいコメができるといわれています。

こちらの田んぼでは、乾いた田んぼに種もみを直接まく、「乾田直播」と呼ばれる方法でコメ作りをしています。

10代のころから約60年コメ作りをしてきた涌井さんにとって初めての試みでしたが、大きな手ごたえを感じています。

涌井さん
「収量が最低11~12俵くらい 多分取れるだろう。来年、直播の面積を5倍6倍に増やしていって」「ここ10年、20年くらい前から気温の変化 (温暖化)がある。まさに高温、いわゆる温暖化の時代は、秋田においては直播きが当たり前の時代になる」

一方足元では、おととしから続く令和のコメ騒動が尾を引いています。

去年の高騰から一転、JAが集荷時に農家に仮払いする「概算金」はすでに稲刈りが進む西日本で大幅に下落。

国の認定団体が示す生産コスト、60キロあたり2万円を下回る金額が次々と提示されています。

県内の概算金の見通しについて、JA秋田中央会の小松忠彦会長は先月上旬、秋田放送の取材に対して次のように語っています。

JA秋田中央会 小松忠彦会長
「おそらくコメのコスト指標、それを若干上回る程度の概算金しか今年は提示できないのかな」「肥料、資材というものが燃油も含めて上がっている中で採算割れというのが起きるし」「廃業という形が加速する、そういった危険性を今はらんでいる。非常に危ない状況だなというのが今本当に実感として思ってます。」

一方涌井さんは、混乱の要因として目先の需給調整に終始する農政と政府の矛盾した対応を挙げ、批判しています。

涌井さん
「備蓄米を引き上げれば適正価格に戻る」「内閣は備蓄米を買うことにしても(物価高対策で)ギリギリ後まで引っ張る。国は米価にコミットしないと言ってるけどコミットしっぱなしなわけよね」

その上で、涌井さんは主食であるコメの安定供給と農家の担い手不足に対応するため、国が関与すべきなのは、価格ではなく基盤整備だと強調します。

涌井さん
「いま一番問題なのは、いま70歳前後の年齢が一斉にリタイアするのが10年後その時に完全に間に合わなくなる」「(離農者の増加で)自分たちの食べる米を生産する構造が大きく変化している」「食管法を戻して、国が米価を決めてもらえないかという議論がまた出てくるがしかし、それだけではまたダメなんですね。コメというのは、国がコミットする場所があるとしたら、これ(引き継ぎやすい)農地の基盤整備なんですよ」

※8月10日午後6時15分のABS news every.でお伝えします