痩せ薬「マンジャロ」で失神したセクシー女優…「ガリガリ体型」になっても依存してしまう理由
糖尿病患者のための薬を注射して減量する―そんな危険なダイエットが若い女性の間で流行している。一体何が彼女たちを駆り立てるのか。
失神してもやめられない「マンジャロ」
目が覚めると、病院のベッドの上だった。自宅で友人と過ごしていたところ、意識を失い、救急車で運ばれたようだ。失神して救急搬送されるのは、これで2度目になる。医師は彼女に告げた。
「このままだと、自力で何も食べられなくなり、口にチューブを入れて栄養を流し込むだけの生活になりますよ」
たしかに周囲からは「ガリガリだ」と心配される。それでも、鏡に映る自分は、どうしても太って見える。
セクシー女優の百合川みおりさんをここまで追い込んだのは、一本の注射だった。薬の名は、マンジャロ。本来は、2型糖尿病の治療薬である。ところが、その強力な体重減少効果に美容医療業界が目をつけ、「痩せ薬」として転用されているのだ。内科医の桑島巌氏が解説する。
強力な体重減少効果と副作用
「マンジャロは、食欲を低下させる薬です。人間の体には、食後に分泌される『GLP−1』というホルモンがあり、血糖値を下げたり、満腹感を高めたりする働きを持っています。マンジャロは、このGLP−1の効果を高め、かつ長持ちさせる薬です。糖尿病治療においては心筋梗塞や脳卒中のリスクを下げる効果が報告されており、むしろ積極的に使用を推奨される薬の一つです」
本来、マンジャロの処方を受けるための保険診療上のハードルは高い。保険診療で認められるのは、2型糖尿病のみである。
ところが、全額自己負担の自由診療であれば話は別だ。医師の判断さえあれば、処方を受けられる。桑島氏はこう警鐘を鳴らす。
「副作用には、悪心や嘔吐といった消化器系の症状のほか、重篤なものでは、急性膵炎、腸閉塞なども報告されています。自由診療で安易に処方されているのは問題です」
では、どれほど簡単に手に入るのか。本誌記者が実際に受診してみた。
電話一本で「マンジャロ」を入手できてしまう
ネットで「マンジャロ」と検索すると、「最安値」を謳うオンラインクリニックが次々とヒットする。その中の一つのサイトを開いてみると、受付は24時間365日対応。ちょうど15分後の診療枠が空いていたので、そのまま予約した。時間になると、すぐに電話がかかってきた。
「オンライン診療」と聞くと画面越しに顔を合わせるイメージを持つ人も多いだろう。しかし、実際は音声だけのやり取りだった。問診で聞かれたのは、身長と体重、そして年齢のみ。カメラがないため、いくらでも嘘の数字を申告できてしまう。
問診に続いて、薬の量の相談に移った。マンジャロは最少量の2.5mgから始め、段階的に増量して体を慣らしていくのが一般的とされる。記者は「初めての使用なので、一番少ない量から試したい」と伝えた。ところが返ってきたのは「より効果的なのは5mg。そちらで処方しましょう」という言葉だった。頼んでもいないのに、倍の量へと誘導してきたのだ。1ヵ月分の価格は4万円ほどという。
定期的な診察なしに大量に入手可能
次は処方期間の相談に移った。「まとめて買ったほうが、安くなりますし、長期間の投与が効果的です」と勧められたのは12ヵ月分。慎重な投与と管理が求められるはずの薬が、電話一本で一年分も処方された。
定期的な診察もなしに、一度に大量の薬を入手できる。この杜撰さが、さらなる問題を生んでいる。使い切れずに余った薬剤が、個人間取引で流出しているのだ。医療ビジネスに詳しいライターの奥窪優木氏はこう語る。
「SNSを見ていると、『マンジャロを安くお譲りします』といった投稿を目にすることが珍しくありません。また、手元に余ったマンジャロが知人間でシェアされるケースも頻発しています」
では、この薬に手を伸ばすのは、どんな女性たちなのか。
【後編を読む】「髪の毛が抜け、寝たきりに」痩せ薬「マンジャロ」の恐ろしい副作用、それでも止められない20代女性たちの本音
「週刊現代」2026年8月3日号より
【つづきを読む】「髪の毛が抜け落ち、寝たきりに」痩せ薬「マンジャロ」の恐ろしい副作用、それでも止められない20代女性たちの本音

