茨城・大子町の特産「八溝わさび」産地守る 協力隊が後継者に 幼なじみの二人
「八溝わさび」は、同町上野宮の八溝山麓で、八溝川湧水群の清水を生かして育てる沢ワサビ。棚田のように水を流す「畳石式」と呼ばれる方法で、農薬や肥料を使わずに育てる。水温は13〜15度と1年を通して温度差が小さい豊かな湧水が、香りと辛みに優れたワサビを生む。
転機は石塚さんと佐藤さんの協力隊着任。石塚さんは農業を志す中でワサビ栽培に関心を持ち、佐藤さんを誘って静岡県を訪ねた。ワサビ農家から話を聞き、美しい景観に触れ「茨城でこの景色をやりたい」と決意。今の師匠である戸辺洋一さんと出会った。
「一番は景色に引かれた。茨城でワサビを栽培したいと改めて思った」と石塚さん。地元の笠間市から大子町へ1年間通った後、協力隊に応募。石塚さんは25年6月、佐藤さんは26年5月に着任した。
初めてワサビ田を見た佐藤さんは「この景色を1人で作ったという驚きがあった。だからこそ守りたい」と感じた。ワサビ田は山深く、獣が出ることもあるため「作業は1人より安心できるし、倍の速さ」と二人三脚で進める佐藤さん。1株ずつ手で苗を植え、最盛期に近い8アール前後まで作付けを戻した。
ワサビは、町内の飲食店に卸し、ワサビ丼やピザの食材として味わえる。古民家カフェ「ダイゴカフェ」は、ワサビとアボカドを合わせた奥久慈わさび丼が人気だ。飲食店向けと個人向け販売が中心だが、道の駅などへ出荷も視野に入れる。
SNS発信 加工販売も視野
「戸辺さんが守り続けてきたものを受け継いでいく。そのストーリーや人としての思い、全てが付加価値になる」と目を輝かせる石塚さん。ワサビをPRしようと、ホームページの作成や交流サイト(SNS)で動画配信も担う。
生産量拡大に加え、加工や販売、観光資源の活用も視野に入れる。後継者を増やすため、町内でワサビ栽培に関心を持つ人と情報交換し、「組合のような形になれば、静岡や長野と戦える」と仲間づくりにも力を入れる。
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