ソウルより大邱、沖縄より地方の民宿…! 円安でも諦めない「プロの旅の極意」と裏ワザ大公開

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円安&物価高に勝つ! 「プロの旅」の極意

今年の夏休み、円安や物価高で「旅行」を諦めた人も多いのではないだろうか。大手旅行会社などが発表したデータによると、この夏はコロナ禍が明けて初めて、海外旅行だけでなく国内旅行も減少したという。

「旅行をするような余裕がない」という人が増えている一方で、富裕層は飛行機のビジネスクラスに乗って欧米などを旅行したり、ラグジュアリーホテルに泊まって優雅に過ごしている。旅行者の二極化が進み、旅行が「富裕層の特権」になりつつあるという見方もあるが、旅行好きは今も知恵を絞り、コストパフォーマンスがいい旅行先やルートを探し、国内外へ出かけている。

年間何度も自費で旅をするプロの旅行ジャーナリストが、その極意を指南する。

旅費を抑える「首都外し」の技

海外旅行を取り巻く現状は、真っ向から見ると厳しい。飛行機の燃油サーチャージは最高値を更新して航空券は高騰しており、欧米豪はもとよりアジアの主要都市ですら、現地でのホテルや食事代が円安の影響で跳ね上がっている。

’26年7月1日からパスポートの取得手数料が下がったが、同時に国際観光旅客税(出国税)が3倍になり、海外旅行リピーターには負担増の「悪税」とも言われている。

海外旅行の費用を抑える王道は「物価が安い国・地域」を選ぶことだが、あえて「首都を外す」のも有効な手段である。韓国ならソウルより釜山や大邱、タイならバンコクよりチェンマイ、ベトナムならハノイよりホーチミンやダナンを狙うのだ。日本からの地方行き直行便は便数が少なく運賃がやや高い場合もあるが、現地の交通機関を活用すればカバーできる。

たとえば韓国・大邱の場合、釜山の金海国際空港から直通の高速バスが1日何本もあり、片道約70分、運賃は11100ウォン(約1200円)で移動できる。大邱最大のターミナルである東大邱バスターミナルに着くため、その後の移動も便利である。釜山の空港には日本語の案内もあり、初めての利用でも安心だ。

筆者が大邱で宿泊したのは、お馴染みの「東横イン」である。シングル1泊朝食付きで6000円ちょっと。ソウルの東横インだと7500円ほどだが、値段以上に特筆すべきは「予約のしやすさ」である。ソウルの東横インは激戦で予約が取りづらいため、確実かつ安価に泊まれる地方都市のメリットは計り知れない。また、仁川空港から韓国各地の地方行き高速バスも多く、直接向かう手もある。

激安!「ソウル発券」の裏ワザ

交通費を抑えるテクニックとして、東京(羽田)や大阪(関西)から深夜に出発して早朝に着くソウル(仁川)行きの便を利用し、そこから第3国へ向かう「裏ルート」が旅好きの間で広まりつつある。

「ソウル発券」の国際線が日本発着よりかなり安いのは、もはや常識だろう。仁川空港は日本未就航の都市へ行く便が多く、選択肢が大きく広がる。

アメリカ本土行きであれば、ホノルル経由という手もある。ハワイアン航空が全米100都市以上に就航するアラスカ航空と経営統合し、日本航空(JAL)と同じ航空連合「ワンワールド」に加盟。路線ネットワークが格段に広がった。

ホノルルと全米各都市の間は国内線扱いとなるため、エコノミークラスの機内サービスはドリンクのみだが、有料機内食の事前予約が可能だ。乗り継ぎ時のトランジットやストップオーバーを利用して、ハワイを楽しむこともできる。

ちなみに、アラスカ航空グループの特典航空券をJALのマイルなどで発券する場合、燃油サーチャージは基本かからず、諸税だけで済むのも見逃せないメリットである。

インバウンドを避ける穴場宿探し

国内旅行の宿泊費が高騰しているのは、訪日外国人観光客(インバウンド)急増の影響が大きい。東京や大阪、福岡、札幌などの都市部では、週末や繁忙期になるとビジネスホテルのシングルですら「1泊15000円以上」というケースが珍しくない。

しかし、日本全国どこでも高い、というわけではない。車でしか行けない場所や、ローカルな路線バスしか通っていないような「インバウンドが行きづらい場所」は、まだまだ安いのだ。

逆に言えば、国際線の定期便が毎日就航している空港に近い場所は、インバウンドが利用しやすいために要注意である。たとえば沖縄(那覇)はアジアからの国際線が多いが、インバウンドは那覇市や豊見城市、空港からアクセスしやすい恩納村などのリゾートに集中している。そういったエリアを避ければ、安い宿が見つかることもある。

あえて地方の「民宿」に泊まるのも一手である。筆者が北海道・稚内へ行った際、稚内駅の周辺にはインバウンドが溢れており驚いたが、レンタカーで向かったノシャップ岬のさらに先にある民宿には、車で営業に回るビジネスマンの常連客しかいなかった。

温泉付きで1泊2食7000円ほどと格安で、周辺にはバス停があるので駅から行けないこともない。子どもの頃に泊まった民宿ならではの、旅の原体験を改めて思い出せる楽しさもある。

最安値を狙う! LCCとAI活用

旅費節約の切り札として取り上げられる格安航空会社(LCC)は、大手航空会社とは使い勝手が異なる。トラブルに遭遇しても影響が少ない路線や時間帯でまずは1度試してみるのがおすすめである。1度利用すれば、賢い使い方がよく分かるはずだ。

たとえば、シンガポール航空のLCC『スクート』は近年、インドネシアやマレーシアなどの地方都市に続々就航しており、東京や大阪からシンガポール経由で地方都市へ1回の乗り継ぎで行けるようになった。

拠点のチャンギ空港は大型商業施設を併設しているほか、主要観光地へのアクセスもいいため、長時間の乗り継ぎ待ちも十分に楽しめる。数あるLCCの中でも、シンガポール航空グループという点で信頼度は高い。LCCも賢く選びたい。

このように「定番の行き先や旅行スタイルをあえて外す」ことで節約につながるのだが、現地の治安や交通手段の安全性は徹底的に調べる必要がある。グローバル旅行アプリの定番『スカイスキャナー』では、AIと会話して最適な旅行先を探せる『Explore with AI』、遅延状況などがリアルタイムでわかる『フライトトラッカー』、限定値下げ航空券を見つけ出す『DROPS』などの便利ツールを次々と提供している。

言葉の壁や治安の不安がほぼない国内旅行においても、インバウンドに人気の行き先をあえて逆手に取り、彼らが行きにくいであろう場所を自ら“開拓”してみるのも一興である。

取材・文・写真:シカマアキ