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いま、世界的な「抹茶ブーム」が沸き起こっています。輸出量はこの10年で3倍に急増。大分県内の観光地でも外国人客に大人気となっていますが、その裏で「ある異変」が起きています。

【写真を見る】空前の抹茶ブームで価格高騰 「煎茶」も値上がり 生産現場で起きている“異変”

湯布院に外国人殺到

大分県を訪れた外国人宿泊者数は去年、過去最高のおよそ120万人に。由布市湯布院町の抹茶ドリンク専門店には、朝から多くの外国人客が訪れていました。

(外国人客)「抹茶は何度も飲んだことがある。ほんのりした甘さと抹茶の味が好き」「妻が抹茶大好きなので持って帰ってあげたい」

海外で需要が増加し、空前の抹茶ブームを迎えていますが、大分県内では抹茶の原料となる「てん茶」を栽培している農家は、わずか数件です。

杵築市で茶葉の収穫から生産加工を手がけている高山勇治さん(57)は8年前、需要の高まりを見越し、「てん茶」の生産に乗り出しました。

きつき茶生産組合 高山勇治理事:
「ここはもともと荒廃園でお茶を生産していなかったところです。葉っぱが黄色から濃い緑になるんですが、それを刈り取って工場に持っていき、てん茶になります」

価格高騰に生産者も複雑な心境…

「煎茶」と「てん茶」も同じお茶の木から収穫されます。違いはその製法です。

緑茶に使われる「煎茶」は、蒸して揉み、乾燥させて完成します。一方、「てん茶」は収穫前に遮光シートで覆って、揉まずに乾燥させ、臼などで粉にします。

財務省が5月に発表した貿易統計によりますと、抹茶を含む緑茶の輸出量は去年、1万2612トンに達し、この10年間で3倍に急増しています。

しかし、海外需要による急激な抹茶の価格上昇に、生産者の高山さんは複雑な胸中を明かします。

きつき茶生産組合 高山勇治理事:
「今まで苦労して黒字化を目指してきたから、ありがたいことはありがたい。しかし、できればもうちょっと価格を抑えたところで広がってくれたらありがたい」

専門店では販売制限も

影響は、大分市内のお茶専門店にも及んでいました。

こちらの「若竹園」では、抹茶の販売価格が、おととし秋に比べて2.5倍に高騰。入荷量自体に限りがあるため、現在は個数制限を設けて販売せざるを得ない状況です。

若竹園 牧信太郎社長:
「かつて抹茶を入れていた店頭の冷蔵庫なんですけど、いまは使っていません。個数制限があるので別の冷蔵庫にしまっています」

さらに、店内で提供している抹茶を使った「ぜんざい」や「ソフトクリーム」といった一部商品も、去年の夏と比べて1割ほど値上げしました。

若竹園 牧信太郎社長:
「抹茶の価格はおそらくもう下がらないので、しばらくは続くと思います」

「煎茶」も値上がり傾向に

深刻なしわ寄せは「普段飲まれるお茶」にも。

儲かる「てん茶」へ生産を切り替える農家が増えたことで、今度は「煎茶」の生産量が減少。煎茶までもが品薄となり、価格が値上がりしているのです。

若竹園 牧信太郎社長:
「煎茶もいつ入ってくるのか、我々もまだ掴めていない状況です。量も減って値段も高くなったからといって、お客様がお茶離れしないような価格で、そして香りと味を保てるような仕入れをしていきたい」

世界的な抹茶人気という「追い風」を、農家や加工業者の安定的な経営にどうつなげ、日本の伝統である「お茶文化」をいかに守っていくのか――急激な市場の変化のなかで、今、大きな転換期を迎えています。