「一般人が一等地に家賃も払わずに住むことに」 愛子さまの夫に立ちはだかる壁 「ご公務の際、夫の交通費や宿泊費は誰が負担するのか」
【全2回(前編/後編)の前編】
安定的な皇位継承に向けた皇族数の確保を巡る「立法府の総意」案が、先ごろ各党・会派に示された。皇室典範が改正され、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ案は採用される見通しだが、このままでは当事者であられる愛子さまの将来に「不都合」が生じかねない。
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6月8日、13の党・会派が一堂に会し、あらかじめ衆参両院の正副議長が取りまとめた「案」が示された。
「この日は各党が案を持ち帰り、後日開かれる全体会議で『立法府の総意』が決定すれば正副議長が高市首相に報告。政府による皇室典範改正の作業が始まることになります。政府は、国会の会期末となる7月17日までの改正案成立を目指しています」(全国紙デスク)
念のためおさらいすると、8日の総意案で示されたのは、(1)「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ」(2)「旧宮家の男系男子を養子に迎える」の2案である。

「高市首相はフランス・エビアンでのG7サミット出席などで、13日から外遊しました。会期末までの改正を目指すには、首相の出発前に立法府の総意を伝えなければなりませんでした」(同)
こうした日程上の制約もあり、
「2案はいずれも細部まで詰め切れていません。例えば(1)案では、配偶者となる男性や子の身分を一般人とするのか皇族とするのかについては触れられていない。また(2)案では、養子の対象を内々に15歳以上と想定しながらも、養親の範囲などで慎重な制度設計を求めている。さらに必要に応じて『一定年数ごとに見直すものとする』とも明記されています」(同)
「日本の歌を歌っていただけるのはうれしいですね」
とりわけ(1)案では、夫や子を皇族とすることに対し、保守派などから強い反対がある。一方、これまでの与野党協議で立憲民主党は「皇族とすべきだ」と主張。議論の溝は埋まらず、
「今回示された案でも、必要な場合は『適時適切な措置が講じられるものとする』と付帯決議で確認するよう求めている。肝心の部分は、おしなべて先送りにされてしまった格好です」(前出のデスク)
その同じ8日、天皇、皇后両陛下の長女・愛子さまは東京芸術劇場で「ウィーン少年合唱団」の公演に臨席されていた。
「これまでもご一家が親しまれてきた公演で、昨年は天皇陛下と愛子さまが鑑賞されています。今年は、上皇さまが沖縄への思いを詠まれた琉歌に上皇后さまが曲をつけられた『歌声の響(ひびき)』も披露。愛子さまは『日本の歌を歌っていただけるのはうれしいですね』と仰っていました」(皇室担当記者)
「本来話し合われるべき安定的な皇位継承を巡る議論が棚上げ」
先日も陛下とご一緒に六大学野球の早慶戦を観戦されるなど、公的ご活動に精を出される愛子さま。ちまたでは依然、「愛子天皇」を待ち望む声は高く、5月下旬に毎日新聞が実施した世論調査では「女性天皇に賛成」が72%に上った。さる皇室ジャーナリストが言う。
「今回は、本来話し合われるべき安定的な皇位継承を巡る議論が棚上げされ、もっぱら皇族数確保に特化した協議が展開されました。その上で取りまとめ案には、陛下から秋篠宮さま、そして次世代の悠仁さままでの『皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない』ことを『立法府としてもこれを確認する』とある。今後は、あくまで皇位継承順位を変えない前提で典範改正がなされることになります。悠仁さまの次の世代については当初から協議の対象になっておらず、女性天皇を巡る議論は、今後の課題となった格好です」
5月下旬に行われた読売新聞の世論調査では「女性皇族が結婚後も皇室に残る」ことに、実に75%が賛成。今回の取りまとめ案では、現在の内親王や女王については「経過措置」として、ご自身の意向を尊重するなど「一定の配慮」をすべきだとされている。
そうした前提の下、仮に愛子さまが一般男性と結婚され、併せて皇室にとどまられた場合には、いかなる生活が待ち受けているのだろうか。
「一等地に家賃も払わずに住むという状況が、世間にはどのように映るか」
先のジャーナリストが続ける。
「保守派の中には、今後養子入りする男系男子と愛子さまとの結婚をひそかに望む向きもあります。というのも『皇族同士の婚姻』となり、男子が生まれれば皇位継承権を有することになるというわけです。しかし、仮にお相手が一般人となれば、事情は大いに異なってきます」
この場合、夫や子の身分を一般人にとどめるよう保守派が主張するのは、彼らが皇族となることで「女系天皇」への道が開かれかねないとの懸念からである。それでも、
「お相手が一般人のままでは、結婚生活にさまざまな不都合が生じかねません」
とは、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉教授である。
「まずはお住まいです。愛子さまが結婚されて両陛下の元から独立された場合、赤坂御用地内に住まわれる可能性が高い。またこれまでの政府の説明では、内親王の配偶者も一緒に住むことは『十分ある』としています。とはいえ国有財産に住むことになるので、国民にすんなり受け入れられるのか懸念は生じます。皇族方は公務をなさっているから皇族費が支出され、御用地内に住まわれているわけです。われわれと同じ一般人が、あのような一等地に家賃も払わずに住むという状況が、世間にはどのように映るでしょうか」(同)
陛下をはじめ皇室は「国民と共に歩む」ご姿勢を何より大切にされており、
「もし国民感情に反するようなことがあれば、皇室のあり方にもそぐわなくなってしまいます」(同)
「一般企業には勤務できないのでは」
配偶者自身の振る舞いもまた、大いに制約されてしまう恐れがあるという。
「本来であれば、一般人はSNSを用いた政治的発言や選挙への立候補が可能で、信仰や職業も自由に選択できるはずです。ところが女性皇族の夫となれば、“皇室の中立性”という観点から、憲法で定められているはずのそうした権利は、実質的に制限されてしまうことになるでしょう」(河西教授)
加えて、皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授も、
「公務員や学術機関などはともかく、愛子さまの夫となる男性は、一般企業には勤務できないのではないでしょうか。というのも、愛子さまがなさるご公務が、場合によっては夫の仕事に利益を生じさせることになるかもしれません。そのような事態となれば“皇室利用”などと見なされ、国民の心が皇室から離れてしまう恐れもあります」
すなわち競合相手が存在するようなビジネスには就けないというのだ。そうした配偶者であっても、時には愛子さまのご公務に同伴する機会もあるといい、
「例えば国際親善の場が想定されます。宮中晩餐会などは夫婦で臨まれるケースが多いですが、一般人の夫の扱いはどうするのか。欠席となれば、ペアでの出席が世界的な潮流の中、日本は異質な国だとの印象を抱かれかねません。反対に出席するにしても、皇族である愛子さまとは別々のテーブルに座らされるなどの可能性があります」(同)
「夫の交通費や宿泊費、食事代は、誰がどんな名目で負担するのか」
昨年2月に開かれた与野党の全体会議では、皇室制度連絡調整総括官の山崎重孝・内閣官房参与が、女性皇族の配偶者が皇族とならない場合の処遇について、
〈内親王殿下と一緒にご出張なさるときに旅費が出るとか(中略)そのときに従来の自分のお仕事をお休みになって何かするときの費用弁償をするとか(中略)そういうことは十分にあるだろう〉
などと述べている。これに前出の河西教授は、
「地方ご公務に夫が同伴する際の交通費や宿泊費、食事代は、誰がどんな名目で負担するのか。また愛子さまと同じように夫も警備対象となるのか。このように数え上げればきりがなく、事前にどのような問題が生じるのかシミュレーションをしたところで、全てを洗い出すことは困難です」
その警備についても、宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司氏は、
「夫が一般国民だとしても、皇族の妻と同じく警備対象になるのは間違いありません」
そう前置きしながら、
「女性皇族の夫は警察庁が警護対象者とするでしょうから、外出の際は都道府県警察が警備にあたるとみられます。皇宮警察による護衛も必要とされるでしょうが、皇室の方々の護衛を目的としているため、警察法の改正が必要になってくるのではないかと思います」
また河西教授は、警備対象は夫にとどまらないといい、
「もしお子さんが生まれた場合、愛子さまの子だからといった理由で、よからぬはかりごとを企てる者が出てこないとも限りません。どちらの幼稚園や学校に通うにしても、やはりお子さんも警備の対象にせざるを得ないと思います」
後編では、愛子さまが「一般人」と結婚されることで生じるさらなる懸念について報じる。
「週刊新潮」2026年6月18日号 掲載
