「ベレーザは負けてはいけないチーム」、「緑の血が流れている」と話すベレーザ一筋26年の岩清水は、名門ベレーザへの愛とプライドを併せ持つ『ベレーザの伝道師』だ。

 代表やクラブ、サッカー部のキャプテンを取材していると、「自分は言葉で引っ張るタイプのキャプテンじゃないからプレーで引っ張る」と話す選手が非常に多いことに気づく。それは言葉でチームを引っ張ることから、逃げてはいないだろうか。

 岩清水はプレーでも言葉でも、ベレーザを引っ張ってきた。「喋って伝えて、味方を動かしてゲームも動かすのが、本当にサッカーがうまい選手」と、言葉の重要性も説いてきた。どんなことからも逃げなかった岩清水だからこそ、その言動に重みがある。

 選手引退後の岩清水は、どのような道に進むのか。
 
「選手であったが故に、息子の授業参観や運動会をゆっくり見られなかった」と、母親の顔で穏やかに話す岩清水は、家族との時間を増やしたいとしながら、「選手としてはコンディショニングを大切にしてきたので、その間にできなかったことをやっていきたい。岩清水梓という名前が古くなるまでは、学校訪問だったり、みんなに会いに行く活動を」と、サッカーの普及に力を入れていくという。

 すでに選手時代から指導者ライセンスを取得しており、今後もその勉強を続けていく意向を示している。センターバックとしての信念も持つ岩清水が、未来のベレーザの強化だけでなく、なでしこジャパンの強化にも携わってほしいと考えるのは筆者だけではないだろう。

 岩清水のこれまでの知見と変わらないサッカーへの情熱は、日本女子サッカーの宝のように思う。

 5月20日のAFC女子チャンピオンズリーグ 2025/26準決勝、そして同23日の決勝を持って、レジェンド・イワシの選手生活は一区切りとなる。

 アジア最強クラブのタイトルを加えた(加えなかったとしても)、彼女の今後に期待したい。

取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)

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