今シーズン限りの退団が噂されているチェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督の後任として、2006年ワールドカップでドイツ代表監督を務めたユルゲン・クリンスマンの名前が浮上している。現役時代はプレミアリーグのトッテナムでもプレー経験のあるクリンスマン。この元ドイツ代表FWの監督就任を、チェルシーのロシア人オーナーであるロマン・アブラモビッチが熱望していると言われており、クリンスマンの住むアメリカのカリフォルニア州まで関係者を派遣したという。

 この噂について、ドイツ代表の英雄で、現在はバイエルン・ミュンヘンの会長を務めるフランツ・ベッケンバウアーがコメント。ドイツ代表監督時代にクリンスマンを直接指導した“皇帝”は、「ロンドンで指揮を執るチャンスを逃すな」と、42歳の青年監督にアドバイスを送っている。

「ユルゲンがチェルシーの監督だって? 実際の交渉がどれほど進んでいるのか、私にはまったく分からない。しかし、ユルゲンがロンドンのクラブで監督を務める姿は想像できなくもない。ユルゲンは、一度仕事を引き受けると、全く手を抜かない男だ。しかも、トッテナム時代の栄光は、今でもファンの記憶に残っている。イングランドで年間最優秀選手に選ばれたドイツ人選手など、ユルゲン以外には存在しない。ユルゲンにとっても、チェルシーは相性がいいチームだろう。ただ、カリフォルニアからロンドンに引っ越さなければならないのが、最大の問題だ。いずれにしても、目の前にチャンスがあって、ユルゲンが望むものであれば、引き受けるべきだと私は思う」

 カリフォルニアでの生活を優先するクリンスマンは、すでにチェルシーからのオファーを辞退したと伝えられている。しかし、アブラモビッチオーナーの指令で、近々年俸700万ポンド(約16億円)に増額した新オファーを提示すると見られているチェルシー。“皇帝”のアドバイスが、プレミア王者の監督人事を大きく左右する可能性は十分にありそうだ。